岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が十一日、衆院本会議で始まった。岸田氏は経済政策「新しい資本主義」に関し、「成長なくして分配できるとは思えない」と述べ、当初重視した「分配」が後退した。「所得倍増」や「金融所得課税の強化」など独自政策は棚上げ。安倍・菅政権の経済政策との違いはさらに見えづらくなった。岸田氏は九月の自民党総裁選で、経済成長を促し、その果実を分配してさらなる成長に結び付ける「経済の好循環」を政策の柱に据え、「新しい資本主義」との看板を打ち出してきた。この日の代表質問では、立憲民主党の枝野幸男代表が「好循環の出発点は適正な分配だ」と指摘すると、「まずは成長を目指すことが極めて重要」と反論した。これまで掲げてきた分配政策も急速にトーンダウンした。株式の売却益などに課税し、主に富裕層が増税となる「金融所得課税の強化」の方針は、実施見送りを表明。岸田氏は「賃上げに向けた税制の強化などやるべきことがたくさんある」と軌道修正した。「賃上げ税制」は安倍政権が実施。四日の就任記者会見で岸田氏は、「金融所得課税(の強化)も考えてみる必要がある」と述べていた。
岸田氏はこの...
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