〈安倍総理、本当にお疲れ様でした〉――。昨年8月に退任表明した安倍元首相をそうねぎらう一方、〈立憲は本当に不必要な政党だと思う〉などと野党を“ディスり”まくり、物議を醸してきたツイッターの匿名アカウントの正体に注目が集まっている。
問題投稿を繰り返してきたのは「Dappi」なるアカウント。2019年6月に開設され、フォロワーは16万を超えている。
プロフィルには〈日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです〉などと記載。個人の「つぶやき」のように見えるが、実は違った。
立憲民主党の小西洋之参院議員が、Dappiから誹謗中傷ツイートを投稿されたとして、6日に名誉毀損の訴訟を提起。その過程でプロバイダーに「発信者情報開示」を請求した結果、Dappiを運営するのが「個人」でなく「法人」だったことが分かった。
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日刊ゲンダイは独自取材により、問題の法人を特定。調べていくと、同法人には自民党の影が垣間見える。
都内に本店を構える同法人の登記簿には、会社設立の目的として〈ウェブサイトに関する企画及び制作業務〉などと記されている。会社情報検索サイト「ユニゾナス」によると、主要販売先として「自由民主党」の記載がある。
■「主な販売先」から数々の政治資金
政治資金の流れをチェックすると、より深い自民党との関係性が浮かび上がる。
東京都選管に届け出のある「自由民主党東京都支部連合会」の政治資金収支報告書(17~19年分)を見ると、〈宣伝事業費〉などの項目で、毎年、数十万円を同法人に支出していることが分かる。北関東の閣僚経験者が代表を務める資金管理団体も〈宣伝事業費〉として17~19年に、数十万~100万円超を支出している。同法人にとって自民党は“お得意さま”と言えそうだ。「ツイッターの紹介文で〈国会中継を見てます〉とも書いているDappiは、与党寄りの維新や自民党の議員が国会で質問する動画を投稿し〈その通り!〉などと礼賛する一方、野党系の質疑については〈悪夢の民主党政権〉などと徹底してこき下ろす。“右寄り”のユーザーには受けるようで多くの投稿に4ケタ分の〈いいね〉が付けられている。投稿が平日朝の8時ごろから夜9時に集中していることから『特定の組織がDappiを運営しているのでは』と、以前から指摘されていました」(政界関係者)
これまで、野党批判を繰り返すネットメディアの背後に、自民党の「影」がチラついたことが何度かあった。例えば、19年参院選前に改選を迎えた共産党女性議員のデマを流したネットメディア「政治知新」の運営者だ。安倍元首相主催の「桜を見る会」に招待され、自民党神奈川県議を兄に持つ人物だった。同じ参院選の前には、自民党本部が野党批判を展開した「テラスプレス」なる正体不明のニュースサイトを基にした“トンデモ冊子”を、所属議員に配布していた。
ネットを使った世論操作はまるで自民党の“常套手段”。今回のDappiもビジネスの一環で安倍氏礼賛、野党攻撃を繰り返したのか。今後も注目である。
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