遅すぎる支援策を手柄にする気か──。政府・与党が月内にまとめる追加の物価高騰対策。自民党の世耕参院幹事長は5日のNHK「日曜討論」で今年度の予備費5兆円をフル活用する考えを示した。4月の統一地方選前の“アメ”なのはミエミエだが、露骨なのが公明党だ。
ここへきて、公明党が国会質疑などでLPG(プロパンガス)の負担軽減策を必死に求めるようになった。5日の日曜討論でも西田実仁参院会長が取り上げている。
「政府の追加の物価対策には、目に見える形でLPGの負担軽減策が盛り込まれる方向です。LPGユーザーは地方を中心に2200万世帯もあり、大票田です。統一地方選で公明党はLPG支援を主導したと訴えるはずです」(経済紙記者)というが、ちょっと待ってほしい。
昨年10月に閣議決定された財政支出39兆円の「総合経済対策」には電気代・都市ガスの軽減策が盛り込まれたが、LPGは外され、地方創成臨時交付金を活用した自治体による支援にとどまった。「地方切り捨て」との批判が噴出したが、西村経産相は「LPGは値上げ率が都市ガスより低い」と突っぱねた。
「都市ガスよりも価格上昇は抑えられている」と言い訳していたのに…
閣議決定直後、経産省の石油流通課は日刊ゲンダイの取材に「都市ガス業者は200~300社。LPGは1万7000社もある」「LPGはほとんどが中小企業で値上げ額を明細に記載するなどの対応ができない」「原油価格に連動するLPGは足元、先々とも都市ガスよりも価格上昇は抑えられている」などと“できない言い訳”を並べたてた。
「LPGはガス代以外にも、容器、充填、運搬費用などがかかり、都市ガスより割高です。本来、都市ガス以上に支援が必要と言えるでしょう」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
月20立方メートル使用した場合、首都圏(3月検針)の都市ガスは4528円(政府支援で600円値引き)だが、石油情報センターによると、関東地区のLPGは1万4536円(2月28日時点)。LPGは都市ガスより2.18倍の熱量があることを考慮しても、1.5倍も割高だ。
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