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ホンダと日産自動車の経営統合を巡る協議が事実上、破談となった。子会社化を迫ったホンダに日産が強く反発。協議はわずか1カ月余で打ち切られ、日産の再建戦略は白紙に戻った。
ただ、日産は単独での生き残りが難しい状況が続く。現実と向き合い、次の統合・提携先を速やかに探さねばならない。
両社が協議入りした背景にあったのは日産の急激な経営悪化。2024年9月期中間決算で最終利益が10分の1に減り、経営の立て直しは急を要していた。このため昨年12月に浮上したホンダとの経営統合計画は、当初から「日産救済」という側面が強かった。
日産は対等な関係の維持に固執したが、株式の時価総額でみると日産はホンダの5分の1程度。両社間の経営体力には歴然とした差があったのが現実だ。
ホンダが求めていた日産の経営再建策の具体化も遅々として進まなかった。業を煮やしたホンダが一気に主導権を握ろうと傘下に置く戦略へと舵(かじ)を切ったが、日産のプライドがそれを受け入れず、協議は暗礁に乗り上げた。
ホンダが日産を子会社化すれば日産側の負債も抱え込む形となりリスクは大きい。社風の違いや両社内の不満の高まりから無用な摩擦が起きる可能性もあった。共倒れとなっては元も子もない。やはり経営統合計画自体に無理があったのではないか。
巨額の社債償還の期限が近づく日産の再建は時間の余裕がない一方で、主力の電気自動車(EV)が苦戦しており、立て直しは容易ではない。こうした中、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の経営トップは「日産との提携を目指している」と述べている。日産は鴻海と早急に交渉に入るべきだ。
日産は9千人の人員削減を公表するなど雇用維持にも失敗した。昨年3月には下請け企業に代金の減額を強要したとして、公正取引委員会から下請法違反で勧告を受けてもいる。
もはや現経営陣による企業統治は限界だ。若手の登用や外部からの招聘(しょうへい)で体制を刷新するしか、再生に向けた道はない。
国内の自動車産業は、関連企業も含めて約550万人が従事する基幹産業だ。日産に限らず自動車産業の経営陣には、人々の暮らしを守る気概を持って難局に立ち向かってほしい。
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