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★<東京新聞社説>朝鮮戦争休戦70年 対話を重ね終戦に導け

2023年07月27日 09時08分03秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 朝鮮戦争の休戦協定締結から二十七日で七十年を迎えた。韓国、米国と北朝鮮との対立は続き、終戦には至っていない。軍事的関与を強める日本にとって「対岸の火事」では済まされない。
 一九五〇年六月、北朝鮮軍の韓国侵攻で始まった朝鮮戦争。米軍主導の国連軍が韓国を支援し、中国は義勇兵が北朝鮮の援軍として参戦した。三年間続いた戦火は、五百万人近い死傷者を出した。
 休戦協定締結後、韓国と北朝鮮は平和構築をうたう複数の首脳宣言を発表したが、いずれも有名無実化している。
 最近では二〇一八年四月、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)現朝鮮労働党総書記が板門店で「朝鮮半島に、もはや戦争はない」と宣言、朝鮮半島の非核化を誓った。
 しかし一九年二月にベトナム・ハノイで行われたトランプ大統領と正恩氏との二回目の米朝首脳会談が決裂すると、文政権が目指した終戦宣言は立ち消えに。米国との関係改善が不調に終わった正恩氏は米韓との対決路線へと再び、かじを切った。
 昨年五月、北朝鮮に強硬な尹錫悦(ユンソンニョル)韓国大統領が就任して以降、北朝鮮はミサイル発射を繰り返す一方、韓国も米国との軍事演習を拡大し、緊張は高まるばかりだ。
 偶発的衝突を回避するには南北対話を早期に再開するしかない。その前提として北朝鮮には、今年四月に一方的に遮断した南北通信線の速やかな復旧を求めたい。

◆日本は事実上の参戦国

 朝鮮戦争は、太平洋戦争で壊滅状態にあった日本経済に特需をもたらし戦後復興を加速させたが、その陰で少なからぬ日本人が危険にさらされながら、韓国を支援したことを忘れてはなるまい。
 連合国軍総司令部(GHQ)からの要請を受け、日本政府は北朝鮮が敷設した機雷除去のため、海上保安庁に所属する掃海艇など延べ五十四隻の船舶と、延べ約千二百人に上る人員を朝鮮半島周辺の海域に派遣した。
 このうち一隻は北朝鮮の元山(ウォンサン)沖で触雷して爆発、沈没した。乗組員一人が犠牲となり、十八人が重軽傷を負った。戦時下の掃海作業は戦闘行為に当たり、戦争放棄を定めた憲法九条に抵触するため、活動は極秘とされた。
 「米国の占領下にあったがゆえに問題にはならなかったが、元山や仁川(インチョン)(韓国西岸)の掃海を担当したのは日本だった。日本は事実上、あの戦争に参戦していたといってよいのかもしれない」
 朝鮮戦争で活躍し、最初の韓国陸軍大将となった故・白善燁(ペクソンヨプ)氏は開戦四十年の一九九〇年に行った講演で、こう指摘している。
 日本の関与は掃海だけではなかった。米軍から貸与された戦車揚陸艦(LST)に日本人船員が乗り込み、国連軍兵士と物資を朝鮮半島へ運んだ。日本人船員の数は二千数百人に上るとされる。
 元山沖では、米軍の大型えい航船が触雷して沈没し、日本人船員二十七人のうち二十二人が、異国の海に沈む惨事も起きた。

◆軍事への関与より強く

 朝鮮半島で再び戦争が起きた場合、どうなるのか。朝鮮半島情勢や安全保障に詳しい政策研究大学院大学の道下徳成教授は「日米同盟の核心的な目的のひとつは韓国防衛。日本が自動的に巻き込まれるのは明白だ」と指摘する。
 九七年の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」改定と九九年成立の周辺事態法で、朝鮮半島有事の際、自衛隊は米軍を後方支援できるようになった。
 二〇一五年には集団的自衛権を行使するために安保関連法成立が強行され、昨年末には敵基地攻撃能力(反撃能力)が保有できるよう国家安保戦略が改定された。
 「朝鮮半島有事における日本のコミットメント(関与)は、七十年前より、はるかに強くなっている」(道下氏)のが実態だ。
 朝鮮戦争当時や冷戦期とは異なり、北朝鮮は日本を射程に収め、核弾頭も搭載可能とみられる弾道ミサイルを多数保有する。日本に軍隊を駐留させる米国と対立する中国の軍事力強化も著しい。
 朝鮮半島で本格的な軍事衝突が起きれば、日本も無傷では済まない。朝鮮戦争を終戦に導き、北東アジアで再び戦火を起こさせないことが、平和国家の道を歩んできた日本の役割ではないか。
 岸田文雄首相が休戦協定七十年に当たり再確認すべきは、軍事力強化一辺倒ではない、外交や対話による平和構築の重要性である。日本の外交力が試されている。

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