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県の財政が、待ったなしの状況に追い込まれている。09年度には「貯金」が底をつきそうだ。過去に借金返済を先送りをしたことなどのツケが回ってきた。今後、支出をカットし、身の丈に合わせないと「破産」する恐れもある。県財政の現状と今後を分かりやすく説明するために、「飛騨美濃之助さん」の家計に置き換えて、シミュレーションしてみた。(磯崎こず恵、イラスト・岩見梨絵)
◆飛騨美濃之助さん。20年ほど前にローンで住宅を建てた。その後、親元からの援助もあったが、借金のことはあまり気にせず、車や家電製品の買い替えに充てた。会社の給料は右肩上がり。ローンの返済期間を延ばして毎年の返済額を少なくし、自由に使えるお金も増やした。だが最近になって、「首が回らなくなってきた」と気付いた。
県は90年代、道路などの社会資本整備を積極的に進め、県債(借金)残高が増大。さらに財政(県の家計)の余力が残っていた97年、さらなる投資を進めるため、県債の償還期間延長に踏み切った。毎年の返済額は軽減されたが、借金は先送りされた。08年度は毎年の支出に占める公債費(借金の返済費用)は17・4%となった。経常収入に占める、社会保障関係費や人件費などを加えた経常経費(毎年決まった支出)の割合(経常収支比率)は07年度決算ベースで98・4%と、全国平均(94・7%)を上回った。比率の悪化は全国的な傾向だが、岐阜県は急速に進む。
◆09年が明けた。心配になってきた飛騨美濃之助さんは電卓をたたいて、計算してみた。すると来年度は収入より支出が上回り、家計は赤字になりそうだ。銀行の通帳を開くと、毎年減ってはきたが、まだ少しは蓄えがあった。不足する金額には足りないが、このお金を使うしかない。虎の子の貯金を吐き出すことを決めた。
09年度の予算編成が本格化している。県財政課では、徹底的にムダを削って教育や福祉などの必要な予算をひねり出そうと、連日、深夜まで作業を続けている。予算を要求している部署と厳しい議論も交わしてきた。その結果、毎年の新たな借金額は02年度の1598億円をピークに、増加から減少に転じ、08年度は947億円にまで減った。だが借金残高は約1兆3千億円にまで膨れ上がっており、毎年の返済額は増加を続けている。収入と支出の差は500億円以上になりそうで、財源対策活用基金(貯金)を取り崩そうとしているが、貯金は226億円と底を突く寸前。
◆09年X月。巨大な台風が日本列島を襲った。飛騨美濃之助さんの家は、雨漏りや窓のたてつけを補修する必要があったが、お金がなくて、そのままに。台風が直撃して屋根がとばされた。おろおろしていると、心配した実家から臨時の仕送りが届いた。だが修理費に消え、家計のやり繰りは相変わらず苦しい状態が続いたままだ。
貯金がない状態で不測の事態が発生したら、必要なお金も出せなくなるかも知れない。災害で道路や堤防などに被害が出たら、県の財政負担軽減のために国は、災害関係地方債発行を許可したり、補助金を出したりする。しかし地元負担分もある。そうでなくても道路などの社会資本は、使っていれば少しずつ傷みが出てくる。普段からの補修が大切だが、予算を切り詰めれば、そのための費用も出せなくなる恐れがある。貯金がなくても、法人税などの収入が見込めれば、何とかやり繰りできるが、昨年秋以降、世界景気の急速な悪化で、赤字となる企業が増え、税収の落ち込みは避けられそうにない。
◆10年X月。さらに飛騨美濃之助さんを悩ませる事態が起こった。不景気で給料が予想よりもぐっと下がりそうなのだ。もともと収入が足らなかったのに、追いうちをかけられた。毎月、家に入れるお金は減り、敷地も切り売りした。子どもたちへの仕送りもカット。不満も出そうだが、説明するしかない。苦しい状況はしばらく続きそうだ。
社会資本整備のための公共事業を中心とした投資的経費を削減すれば、新たな借金は減らせる。しかし人件費や公債費、社会保障関係費といった経常経費を削減するためには、県民へ十分な説明責任を果たす必要がある。しばらく続くと予想される景気悪化で税収の落ち込みが見込まれ、職員の人件費カット、県有地や公共施設の売却、市町村への補助金にも改革のメスを入れなくてはならないはずだ。財政状況が悪化すれば、新たに借金する際の金利も高くなる可能性も。貯金を取り崩せば09年度予算はメドが立つかもしれないが、10年度予算のやり繰りは非常に困難になる恐れがある。
◆経常収支比率の急上昇、深刻
年度ごとの収入の変動を補う財源対策活用基金をゼロにすれば、次の年の財政運営は非常に厳しくなることは間違いない。岐阜県の場合、それ以上に深刻なのが、経常収支比率の上昇が急ピッチで進んでいることだ。この指標は経常収入に占める経常経費の割合で、経費の内訳は借金返済や人件費、社会保障関連費など。いずれも簡単にカットすることはできない。07年度決算(見込額)では98・4%に達し、新たな政策を打つために使えるお金が経常収入の1・6%しかないことになる。これでは雇用対策や景気対策を求められても、十分なお金が回せない状態だ。今後は、岐阜県が全国の都道府県と比べ、なぜ経常経費が急速に上昇したのかを分析し、財政再建のための対策を立てる必要がある。
■のぼる・ひでき=京都大法卒。旧自治省に入り、三重県財政課長、同省府県税課長補佐などを経て、自治大学校部長教授を歴任。95年から名城大都市情報学部教授。専門は地方自治論。 +++
↑お役人の給料を三割カットが先決でしょう。(^^)
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20090203/200902031103_7032.shtml
県職員給与4―6%削減 税収減で県が方針 2009年02月03日11:03
世界的な景気後退で大幅な税収減が見込まれる県は2日、2009(平成21)年度に教職員や警察官も含めた県職員の給与を削減する方針を固め、県職員組合に削減案を提示した。
同案によると、給料と期末・勤勉手当を合わせて削減率は一般職4%、管理職6%。対象者は約2万7000人。期間は1年で、約60億円の削減効果を見込んでいる。
実施が決まれば、県職員の給与カットは初めて。県の財政状況の悪化に加えて景気後退の影響が直撃した形で、県内の市町村にも影響を与えそうだ
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3割位カットしないと焼け石に水!