天と地の間

クライミングに関する記録です。

比叡エンドウォール第2エリア

2024年12月25日 | クラック
体調不良により、クラックから離れていたが、今秋より再開した。
感覚が戻ってきたところで、先週、エンドウォールの第2エリアに行くと、すっきりとしたルートが目に
入った。食指が動く。
ガイドブックを見ると公開プロジェクトの事。
すでに登られているだろうと思いながら取り付くと、苔多く、チョーク跡なし。染み出しを予想して、最
近は誰も登っていないのだろう。苔に足をすくわれないように慎重にすすんで行くと、クラックの中が凍
結した個所があった。文字通りに冷えた。そこは何とか越えたものの、2/3ほど上がった個所でムーブ解決
に手間取り、後一手のところでフォール。その後は手足が疲労して解決できないままエイドで抜けた。


登りがいのある良いルートだった。もう、名前が付いている
だろうが、ガイドブックではプロジェクト。
どちらかというとナチュプロを使うフェースルートと言える。

その時の歯がゆさから、昨日、懲りずにまた第2エリアに上がった。
着いた瞬間、寒風と低温で意気消沈。Ⅱ峰下部に転戦しようかとも考えたが、気を取り直して、先ずはア
ップをと安全志向(10a)に取り付いたが、岩が冷たすぎて、手足の感覚がなく、やっとのことで登れた。
またも転戦が頭によぎったが、コーヒーを飲んだり、ホッカイロで暖を取った後、気合を入れてプロジェ
クトに取り付く。

核心部のムーブ解決がなかなかできず、いろいろ試しているうちに右足がよれてきた。その足を何度もシ
ェークして疲労が取れたところで、だめもとで考えた動作をすると、かろうじて指先がかかった。なんの
ことはないビビっていただけだった。フォールによる恐怖もあるが、それ以上に、ここまでせってとプロ
テクションを取ってきた苦労が無駄になる。そのことを意識して必要以上に慎重になっていたようだ。
長時間のビレイでヒデさんには負担をかけてしまった。
そのひでさん、トップロープで何のよどみもなく登ってしまった。トップロープとはいえ、すごい。次に
来たときには、これまた軽くリードで登りそうだ。

岩は湿気った個所がいくつかあったが、時期的に一番いい状態だったのではないだろうか。しかし、寒す
ぎた。最後までソールの効き具合がつかめなかった。
グレードは11aといったところだろうか。
なお、知り合いに本日確認したところ、予想通りにこのルートは登られているとのこと。


JOMG(10b)を登る山ちゃん。

1時過ぎ、遅くなると言っていた山本君が上がってきた。
〇〇町役場にあいさつに行ってきたという。
なかなか出来ることではない。今後のことを考えると大事なことだ。
私も昔、本匠の開拓時に役場もうでをした経験から、その苦労が分かる。
今後、宮崎の岩場は九州各県はもとより、本州からも開拓に入る人が増えそうな気がする。
開拓も整備もルールを決めて、トラブルのないように、そして事故のないよう心がけてほしいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山の口谷100m滝、4ピッチ オールフリーで完登

2024年10月14日 | 
市房山頂へと至る山之口谷を遡行したのが12年前、途中の100m滝を仰いだ時に、これは登れそうだ。いつ
か登りに来たいと思いながらも年月が流れた。
年齢的にも今年が限界だろうと、相手を探った。
第一優先はこの滝を見たことのある人、そして当然、指向性のある人。該当は3人。しかし、その内の折〇君
は転勤。片〇君は行きたいが休みが確定できないとのこと。残る熊本の山本君に話をすると、私も行きたいと
思っている所という。理想は3人だが、身近には他に見当たらない。
2人で行くことに決めてから計画するも、豪雨や台風で3、4度延期した。やっと天気が安定した10月11日に
決行としたが、急に気温が下がってきた。長雨も続いている。覚悟がいるだろう。

7時、入渓点近くまで行くと、民家から犬がついてきた。
ザックを担いでふと見ると、杣道の入り口で待っている様子。我々が歩き出すと、先導して歩いていく。案
内してくれるのだろうか。
道はすぐに途切れたが、我々にとっても楽なルート取りでひょこひょこ迷いなく歩いていく。遅れれば振り
返って待ってもくれる。真にガイド犬だ。
目的の100m滝まで2時間近くも案内してくれた。
お礼にチーズかまぼこをあげたが食べてくれない。撫でようとすると避ける。
とてもシャイな女の子だ。
しばらくすると、慣れて来たのかチーズかまぼこをやっと食べてくれた。体力もかなり使ったはず。帰りの
ことを考えるとひと安心だ。
ここでワンコとはお別れ。一人で下山させるのが申し訳ない。


優しい顔つきのワンちゃん。待ってくれている。
短いしっぽが特徴だ。


先導して歩いてくれる。時折、地図で確認すると方向は間
違っていない。行き先は言わずとも分かっているようだ。


滝を真下から撮影。

滝を見上げると、「こうも立っていたか、水量も多い。行けるだろうか。」と印象は一転。過去の自分がうそぶい
たのか、それとも12年の年月で心身ともに退化したのか、滝に威圧されたのが正直なところだ。
しかし、何もせずに敗退は出来ない。なにしろ大分から麓まで一人で5時間運転し、ここまで重い荷物に喘いで
もきた。
とりあえず、1ピッチ登って、様子を見ようと、私がトップで取り付く。


ロープを延ばす私。
ここから激しい水流に向かう。

滝の近くはさして苦労もなく進むも、滝に近づくと水流でカムをセットする箇所が判別できない。手探りで
セットしても効いているか目視できない。ここは経験と勘で行くしかない。
カムを信じて、怒涛の水圧に堪えながら思い切って、滝の下をトラバースする。なんとか剝がされずにすんだ。
このピッチで最も緊張する箇所だった。
予定していた箇所でビレイ点を作って、セカンドを待つ。
ここまで来れば、もう行くことしか考えない。彼もそのようだ。
後はルート取りを慎重に見極めなければならない。間違えればとんでもないことになる。


滝のトラバースへと入る手前の山本君。ここは気合がいった。


普段の水量ではないだろう。



2ピッチ目は山本君に交代
滝へと回り込む箇所が悪そうだ。実際、私がセカンドで行く折に、よく行ったなと思うほど悪い部分だった。
ビレイ点直下に打ったハーケンは良く効いている。小型タガネで何度も上下に打つと、なんとか回収。
3ピッチからは私
ここは比較的大きなホールドが多いものの、如何せん、岩質が悪い。砂岩質特有のスレート状の割れたホー
ルドが多い。思いっきり掴むことはできないし、足も安易に乗せられない。落とせばビレイヤーに直撃しそう
だ。だましだましの前進といったところだ。
当然、プロテクションを取る箇所も限定される。フォールすれば、ナッツやカムが岩を押し開きそうな箇所が
多い。確実に効く箇所を入念に選定し、プロテクションをセットして、水が落ちてこない狭い凹に入り込んで、
ここをビレイ点とした。
4ピッチ目、最後のピッチだ。ここからは山本君に交代
ここまでは緊張感で寒さはさほど感じなかったが、ビレイ中に震えが止まらなくなった。状況を見ようと凹から
少し体を出すと怒涛の滝。さながら映画の中の弾の飛び交う塹壕のようだ。
トップはというと、順調にロープを伸ばしていく、滝の落ち口近くは樹林帯へと逃げ込めそうだが、果敢に落
ち口で粘っている。流石だ。飛沫とともに、緊張感が伝わってくる。
飛沫を浴びながら震えていると、突如、飛沫が止まった。
見上げると彼は落ち口に立っていた。


終了点の落ち口へと登る私。
落ち口はやや被っていた。



側壁にへばりつく私。

1人が2ピッチずつ担当、4ピッチ、オールフリー。そして残置物なしという理想的な内容で終えることが出来た。
今回のような未知なるものへのチャレンジは何年ぶりだろうか。何も情報がない中での登攀は何物にも代えがたい。未だ余韻に浸っている。
こうゆう事が出来るのも、同じ思い、そして力のあるパートナーがいてこそのこと。あらためて感謝である。


無事に下りて記念撮影。
写真では小さく見える。
上部はやや被っているようにも見えた。

追記
滝には残置のハーケンもボルトも確認できなかった。昔に登られていれば、なにかしらの形跡があるだろう。近年に登られていれば情報がアップされているだろう。
初登かもしれないがさだかではない。

下山後、ワンコへの下山報告かたがた、ガイドのお礼に飼い主さんの所へ向かうと、ワンコが吠えて家人に訪問
を知らせたのち、出迎えに来てくれた。なんとお利口で優しいことか続いて家人も出てきたので、ガイドのことを話すと、飼い犬がそういう事をしているのが以外そうであった。
名前はクロちゃん、歳は10歳を超えているとのこと。
放し飼いで周りは野山。犬にとっては理想的な環境だ。その反面、ここはぽつんと一軒家。周りに遊び友達が
おらず、いつも一人で遊んでいるのだろう。
それにしても、10歳を超える歳での今回の行程は、退屈しのぎで出来ることではないだろう。ありがたいガイ
ドであった。
次回来るとすれば完全遡行で来るときだろう。それまで元気でいてほしい。また会いたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気がかりな本匠リボルト

2024年07月15日 | フェース
残滓消滅
年齢的なこともあって、この数年は気になっていた箇所の解消に努めてきた。
それが終わった。
と言っても、個人的にはできないものがある。それは本匠のリボルト。

20年前にJFAと遊歩道のリボルトを行ったが、やったのは1/5ほど。残りはカットアンカー。
とりわけ、魚道、切り株、宮前エリア、猪鹿ロックはほとんどカットアンカーが残されている。
カットアンカーはステンレスの14㎜。ボルトは10㎜。
今すぐどうなるというものでもないが、被りの箇所を優先に何れは手を付けなければならないだろう。
これまで、鉄製アンカーや効いていないアンカーを一つ、二つとリボルトしてきたが、ルート単位でするのは
費用、時間、労力ともに個人レベルでは無理な話。組織的に動くのを期待したい。


ムササビファミリールートの浮石処理をする折に破壊された
ビナ。浮石は推定重量700K近かった。こうゆうこともあろう
かと、バックアップを取っていたのが幸いした。

私もカットアンカーを開拓や整備で使ってきた経緯がある(当時はそれが優れていた)。当然、要請があれば、労
力は惜しまないつもりだ。
後、マルチで少々気になっているのが、小積の蜘蛛の糸。
32年前にに整備に入ったが、その後、岩の崩壊やボルトの打ち増しでルートが判別しづらくなっていると聞いた。
折を見て、検証に行こうかと思うも、なかなか足が遠い。
いずれにせよ、目下の残滓は消え去った。
これからは、もう少しクライミングはもちろんの事、開拓もやっていきたい。残照があるうちに。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

比叡で送別クライミング

2024年05月16日 | マルチ
タカピーが6月に転勤するというので、14、15日、九州最後のクライミングにT氏とともに同行した。


めったにない快晴。
これからは、比叡は北面がいい。


掃除しながらフォローする私。

14日は雲一つない快晴。ニードルを登ったのち、継続して隣のサマーホリデーを継続して登攀。
サマーホリデーは3ピッチと短いが良いルート。


ウォータークラックをRPしたタカビー。
知らないうちにかなりの進化を遂げている。
20年ほど前に終了点をリボルトしたが、来るたびにビナが取
られていた。
おそらくクライマーではないだろう。最近はそういったこと
はないようだが、取り付く前には確認が必要だ。


ウォータークラックの私。
ナチュプロを使うフェースルートと言える。
私にとっては、今の状態を推し量るのに最適
なルート。
久しぶりのクラックで緊張した。技も力もか
なり落ちているのを実感。



14日は菅原の公民館泊
タカピーの鍋に舌鼓を打つ。

翌15日は、ウォータークラックを登った後、20年ぶりくらいに大谷(おたに)エリアに案内を兼ねて行ってきた。
残念ながら、どこも染み出しで登れず、案内のみに終わりましたが、私も久しぶりのクライミングで楽しい送
別クライミングとなった。


ホライゾンにて。
ここに初めて来たときには、これを真っ先に落とせえるのは、小山田 大氏しかい
ないだろうと 思たものだが、実際、その通りになった。


20年前に私が設定したクラック。
松の木から1/3ほどが土と木の根で埋まって
いて 、半日かけて鍬で掘り起こした。


昔は右端のバンドから取り付いたりしたものだ。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

比叡Ⅰ峰Bフェース ムササビファミリールート「浮石撤去」完了

2024年04月20日 | ルート整備
2年前の日向灘沖地震の影響だろうか1ピッチ上部20m辺りが大崩壊した。幸い、ルートから少し外れたも
のの、その余波でルート上に浮石が出来た。推定重量600K。ここまで大きいと石というよりも、むしろ岩。
取りあえずは落ちないように処理をしているが、いずれ本処理をしなければと思いながらも、先延ばしに
なり、ずっと気になっていた事案。
動けるうちに切りをつけねばと、昨日、人の少ない平日をねらって、整備に行って来た。
当初は、真夜中に上がって、手っ取り早く落とそうかとも思ったが、それではルート途中の岩に落ちて、
岩を不安定にするだろうと止めにした。
他に思い付いた方法は振り子でルートから遠ざけながら下すこと。手間はかかるが、それが最善だろうと、
そのための事前工程を3月30日(日曜日)に行った。
その日はBフェースのピークから懸垂で浮石の地点まで下りて、ボルトを4ヶ所設置。この日に備えた。


近年、比叡はハイカーが多くなってきた。平日であっても
用心するに越したことはない。
早速、トランシーバで呼んできた方がいた。トランシーバの
効果は大きい。


こちらは下りに設置。
トランシーバは2台しかないので、声掛けのみのお願い。

この日の重量はほぼ30K。久しぶりのホールバックの荷揚げは重い。プーリーとアブミを使用して、体力の
温存につとめる。
何が一番重いかといえば、なんといっても3/4tのレバーブロック。重たいだけのことはある。これが無け
れば出来る作業ではなかった。
ルートを傷つけることなく、岩は無事に取り付きから離れたところに着地させることが出来た。


丸印の箇所が岩があった場所。
右下の白い擦れ後へと下した。


30Kほどの荷。
久しぶりのボッカで今日は肩がバリバリ。情けない。


このツールのおかげで作業できた。750Kの重量を持ち上げ
られる設計になっている。
やっと持ち上げられたので、ひょっとすると、石は700K
くらいあったのかもしれない。
それにしても重かった。10kほど。

昨日は自宅を出たのが午前5時前、帰宅は午後8時前。いささか手こずり時間がかかった。かなり疲労もしたが
残滓が一つ減って、ほっと一息ついているところ。

追記
ハンガーをすべて撤去するつもりでしたが、時間的に無理となったので、懸垂用に鉄製のマイロンを掛けて一つ
だけ残しました。浮いた岩があった個所の右上です。
ルートから外れているので、登りに行く方は使用しないようにしてください。
願わくば、余裕があれば外していただければ幸いです。
ブッシュも結構生えてきています。小型の鋸を持参したほうが良いでしょう。


2枚歯の鋸
一枚は枝切りに、もう一枚はクラックの掃除、草刈に。
ちょっとした整備に重宝する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする