天と地の間

クライミングに関する記録です。

祝子川ゴルジュ2020 8/11

2020年08月17日 | 
サマン谷の後、竹田の温泉でゆっくりしながら、さて、明日はどうしようかと相談。雨はまだ降っている。
祝子の雨量計を見ると53㎝と昨日よりはかなり減ってきている。実際の水量を見てから判断ということで明日は
祝子川ゴルジュに入ることにした。

8月11日、山の日にして私の誕生日である。今日のメンバーはUさん、アリキチ君、徳さん、私の4人。登山道入
ると、祝子川を流れる音が大きい。木々の合間から川をうかがうと、やはり、かなりの水量である。
8時40分、入渓。なんとか行けそうだ。さあ、行こうとした矢先、40mほど先の岩に黄色スズメバチの巣がある
のが目に入った。巣の周りは蜂が飛び回っている。入渓早々、左岸へと回り込み沢を巻いて回避する。


川のど真ん中に作っているのを見るのは初めてのこと。
蜂にとってはリスクがありそうな場所に見えるが。


一見、穏やかに見えるが・・・


いよいよゴルジュ。リードするはアリキチ君。


怒涛の如く流れ落ちる水。
右壁から落ち口へとトラバースする箇所が悪かった。
ものすごい水圧の中、よくみんな行けたと思う。





第二の核心に向かう私。
一見、右が弱点のように見えるが、持ちこたえられないほどの水流。


ここまで水量が多ければなるベルブリッジで高度を稼ぐしかない。
きついブリッジを強いられる。


普通ならば、右壁から行くところであるが、水量が多く、どう見てもいけそ
うにない。そこで左から抜けることにした。
傾斜の強いスラブへ立ちこみ、落ち口へと抜けるねらいであったが、右足を
水流に足をすくわれる。5分ほど留まって、何度か試みたが不可能と諦め、
右に突破口を見出すことにした。


一度落ち口に両手を添えることができたが、水圧で体を引き上げることができない。それどころか、も
たもたしているうちに保持もできなくなり、激しく落下。
一人では水圧に抗うことはできないだろうと、アリキチ君を呼ぶことにする。幸い、水がかからない退
避場所が奥にある。彼が来ると入れ替わり、しばし、降り注ぐ水に我慢をしてもらい、にショルダーで
何とか上へと抜けることができた。


いつ来ても清流が迎えてくれる。ここへ来るとホッとする。

今回はいつにもまして水流が激しく、何度か水中に叩き落さた。撤退も一瞬、頭によぎった。どうにか突破する
ことができたのは皆の協力のたまもの。
苦労も楽しさも共有できれば酒の場もまた楽し。





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祖母山系サマン谷

2020年08月14日 | 
9日に比叡で登った後、スコールのような雨が降り出した。降っては止みの繰り返し。これでは明日の祝子川が
思いやられる。
予報を見ると明日もかなりの確率で雨となっている。祝子の水位計は91cm。これではゴルジュは無理だろうと、
雨の確率の低いサマン谷へと変更した。
今回のメンバーは大分からは私。熊本から4人


2段の釜 自然の造形美だ

サマン谷は初めての沢。初心者を連れていくには程よい沢と聞いていただけに、期待はしていなかったが、予想
に反して渓相は素晴らしいものだった。形のいい釜が多く、ゴルジュもある。


おなじみゴルジュのチョックストーン。
こういう箇所をくぐるのはなぜか楽しい。



順調に遡行していくと、眼前にこれはという滝が現れた。登れないことはなさそうだが、水量が多く、かなり難
しそうだ。登攀意欲をそそられる。微妙な決断のはざま。今日の仲間のサポートがあれば行けるだろうと、取付く。
1段目に、古いハーケンが打たれてある。しかし、錆びて体重を預けるには心もとない。3度ほどフリーを試みたが、
フットホールドが乏しいうえに、水圧に抗うことも出来きない。セカンドの補助を借りて、何とか1段目に立つこと
ができた。2段目も同様の方法をとり上がった。
だが、一番の核心は最後のトラバースであった。ビレイ点を作れない。手掛かりはない。落ちられないという状況で
よけいに緊張する。右足を水の流れ落ちるスラブへ飛ばし、微妙なバランスで乗り込み、落ち口へとぬけた。


取付き以外にはプロテクションはない。巻く方が無難だ。


二段目に手を伸ばしたところ、ほぼ絶望的なほどのすべすべ


何とか越えて進むと、すぐに7mほどの滝が現れた。先ほどの滝より易しそうだ。しかし、水量が多く、すごい勢い
で落ちている。
滝壺へと必死に泳いで真下に行くもすぐに押し戻される。一度戻って態勢を整え、再び滝に近づいたが、猛烈な勢
いの水が耳へ続けざまに入り、戦意喪失。ここはあっさりと巻くことにした。

サマン谷は最後の堰堤と距離の短さを除くと、実に魅力的な渓相であった。終始雨が降ったが、その雨が気になら
ないほど楽しめた。これも頼れる仲間がいてのこそ。
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ケイセイ谷 遡行

2020年08月04日 | 
待ち望んだ梅雨明け、8月2日、祖母・傾山系のケイセイ谷に入った。
ケイセイ谷は傾の九折登山口(380m)より入り、笠松山(1522m)近くの稜線に抜ける谷。標高差もさることながら長さも申し分ない。「九州の沢と源流」には遡行時間7時間~9時間とある。
近年、類を見ない豪雨の梅雨だっただけに、沢はかなり荒れているだろうと予想していたがまったくの杞憂。水量も梅雨明け直後のわりには多くない。
しかし、慎重に越したことはない。今季二度目の沢だけにまだ足がこなれていない。慎重に進むことにしよう。


ケイセイ谷に架かる青橋。ここより入渓。

入渓してすぐにニホンカモシカに遭遇。距離にして4mの至近距離。しばし見つめあった。
祖母傾も他の地域同様、鹿の食害防止のフェンスが張られている。仕方のないことだがニホンカモシカにとってはとんだとばっちり。自由に山を行き来できず、生息域が狭められていくのではないかと、心配なところだ。
彼らのこと、鋭い蹄で鹿の行けない急斜面や岩を飛び回っていると思うが。


ばったり出会って、思わず声が出た。
侵入者はこちら、向こうはもっと驚いただろう。 申し訳ない。


長い体毛、鋭い爪、そして角。
九州の山、それも大分の山にに生息していることに感動をおぼえる。
環境悪化の中、この先も無事に生息し、個体数を延ばすことを願わずにはいられない。




シャワーを浴びながら快適に登る。


巨岩が重なって出来たトンネルを落ちる水。こういう箇所があると、なぜか通りたくなる。


ここは正面から。カムが効き、快適に突破。2段目が被り気味になり、
意外に悪い。ジャムで乗越す。


さすがにここは左より巻いた。


傾斜の強い狭いゴルジュ。
横たわっている倒木は直径70㎝ほどの巨木。
左の壁は苔、右は巨木の苔で滑る。
結局、ここが最大の核心部だった。

沢は明るく、飽きさせない滝の数とスケール。何といっても、よかったのは崩れた炭焼き窯をのぞいて、人造物に出くわさないことだった。橋や林道が横切ることもなかったことだ。
天気に恵まれ、最高の沢になった。

遡行距離 8.8km、遡行時間5時間27分
下山距離 6.2km、時間2時間27分
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