天と地の間

クライミングに関する記録です。

かのう谷 遡行

2012年08月25日 | 
今回は宮崎県にあるかのう谷を遡行する。
25日、金曜日の夜、大分を出た直後から、ぽつぽつと雨が降り出し、見立峠へと向かう九十九折の狭い道を上げって行くと、本降りと
なってきた。左に現われる小滝からはかなりの水が落ちている。今回もまた、沢の水量は多そうだ。
集合場所である見立のキャンプ場で仮眠を取りながら待っていると、1時間半遅れで、メンバーの白きりさんと事件記者こと島美人が
到着。島美人といっても、ふっくらしているが男である。彼は、甲子園の取材からやっと開放され、久々の沢になる。しばらく歓談し
たが、到着が遅れたため、そうそうに寝ることにする。明日は曇りの予報。空を見上げると満天の星。天気が回復したのか。期待が持
てる。
就寝 1:30

6時前 起床。
すぐ脇を流れる日之影川は前夜から大きな音を立てていたが、実際見ると、その流れはすごいことになっている。ここを少し下ったと
ころには河原に日之影ボルダーエリアがある。近県のボルダラーが集う人気のエリアだ。私も何度か訪れたことがある。その時とは比
較にならないほどの水量である。期待した天気も前夜とうって変わって、雨。今回もまた、水量に悩まされそうだ。

7時05 入渓
3人とも、かのう谷は初めて。何をするにも所見は楽しい。迷って時間のかかるリスクはあるが、それもまた、味わいの一つだろう。
沢に入ると、懸念であった水量も思ったほどではなく、ほっとする。もともと少ない沢なのであろう。


予想のほか少ない水量であったが、涸れ沢と記載され
ている場所が流れているところを見ると、やはり、通常
よりも多めなのだろう。


胸まで浸かる箇所は少ない。

さて、沢へと入って、私は靴の選別を間違ったことに気づいた。山域からして、花崗岩だろうと思っていたところ、砂岩であった。時
折、チャートも混じったりする。コケが多く、良く滑る。今回のソールはステルスだ。それも専用の沢靴であればまだ良いが、3年も
履いて擦り減ったアプローチシューズのため、余計に滑る。フェルトにすべきであったか。滑れば、体勢を立て直すために普段は使わ
ない筋力を使い、余計に消耗する。最近、良く聞くインナーマッスルとかコアとかいわれている部分だろうか。



石垣の箇所に来て、遡行が間違っていないことにほっ
とする。
それにしても、ここまで来て、これほどの石垣。山を
生活に糧にしてきた先人の思いが伝わる。

滑りやすいが、岩は順層なために快適に滝を越えられる。越えられない滝は何本か巻いたがこの箇所が悪い。終始、雨が降っているた
めに足元が不安定。岩のほうへ行くと、ほとんどの岩が浮いている。自分はもとより、下を来る人に岩を落とさないよう細心の注意を
要する。


ここは巻いた箇所。


滝の左を登る私。

昼前に、兜巾岳直下の滝に達する。ここは右の尾根を登って、トラバースして滝の上部へと出るとなっている。傾斜がかなりある。結
構大きな木が在るのだろうと登っていくと、目の前に現われる木や根は枯れ木ばかり、要所要所にある木は直径1、2cmのもの。緊張を
強いられる。トポには中級と紹介されているが上級とされている祝川よりも悪い。枯れ木が生きていた当初は確かにそのグレードにな
るだろうが自然は刻々変化する。滝の上に立ったら、後は藪を少し漕げば兜巾岳の山頂だ。
ピークに立ったのは、12時55分。ほぼ6時間の行程であった。


ここが兜巾岳山頂。
標識は風化して、ごらんの有様。
長く人が訪れていない雰囲気がある。

帰りは林道へと下り、洞岳経由で下りることにしたが、これが非常に悪かった。
登山道はほとんど消え去っている上、足元はぬかるみ。文字通り、泥沼にはまってしまった。下りは登りよりも体力を消耗した。近く
を林道が通っている場合、その下の登山道はとかく荒れるものだ。山が、兜巾岳や洞岳といったマイナーな山ではなおさらそうなるの
であろう。予測はしていたがこれほどまでとは思わなかった。

今回の遡行は一日中雨に見舞われた。時折、激しく降った。視界はきかず、景色を十分に満喫することが出来なかったが、沢は十分楽
しむことが出来た。




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由布川渓谷 遡上 第3弾

2012年08月22日 | 
由布川は日程が合わず、昨年の11月に行ったきりとなっていた。
残された課題は「めくらの滝」。ぼちぼち行こうかという話になったが、7月の豪雨に続き、お盆は毎日のように雨が降った。当然、水
量はかなりの量が予想される。もう少し、様子を見ようかとも考えたが、とりあえず、状態でも見ておこうかと、18日に入ることにした。
金曜日の夜、キャンプ場バンガローで久しぶりに白きりさん、ますもちゃんと再会する。ますもっちは、3日前にスイスの新婚旅行から
帰ったばかり。こんなことしてていいんだろうかと、ちと心配になったりするが、日本は猛暑の折、仲良くスイスアルプスを登ってきた
ことを思えばどうでも良くなってきた。

土曜日、6時起床。
椿大橋に一台車を置いた折に、橋から見下ろすと、昨年よりは増水は見られるものの、思ったほどではない。
椿の駐車場に車を置き、長い階段を下りる。

入渓8時15分。
水温は昨年よりはかなり暖かく感じられる。それもそのはず、最後に行ったのは11月であった。かなりの差であろう。
15分ほど遡上すると、3m程度の見覚えのある小滝が現われる。昨年よりは流れ落ちる水量が多い。ここは、白きりさんがトップで突破。


白きりさんと私。これから滝へと向かうところであるが、
まるで地底に行くよう。


ますもちゃんと私。快晴というのになんという暗さだろうか。
私は今回、はじめてライフジャケットを着用。


下流を撮影。ここからがらっと様相が変わる。

さらに10分ほど行くと、めくらの滝へと向かう狭いゴルジュに到着。ここからはめくらの滝まで70m。突破しない限り、足を休めるとこ
ろは無い。

登攀用具を身に付け、流れに逆らいながら狭い屈曲したゴルジュを泳ぐこと数分。広くなった箇所に出る。めくらの滝がある場所だ。滝
は瀑音とともにすさまじく大量の水を落としている。 流れるという形容はあたらない。直ぐに気づいたことは、前回来た時と景観が大
きく変わっているということ。流れが変わったためだろうか。また、今回は晴天の上、午前。前回の薄暮のような時とは違うのも違って
見える要因なのだろうか。もうひとつ気づいたことは、これを越えるのは絶望的だということ。
とはいえ、ここまできたからにはこのままでは引き下がれない。ひとまず、体勢を整えようと、滝下りのグループが打ったのであろうピ
ンに白きりさんが体重を預けると、スポット抜けてしまった。ピンを見ると径は細いものの長さは30cmあまりある。ホームセンターで購
入したものだろうか、だいたいそんなものが簡単に入る自体、岩質の弱さを推して知るべしといったところだ。代わりに白きりさんが長
めの厚いハーケンを打つが苦労している様子。当然だろう。立ち泳ぎしながら打っているため、コントロールが定まらず、打っても力が
逃げるのだ。それでも、少しずつでも効いていけば良いのだが打った先からリスが崩れ、ぐらつく。まったく効かない。実に厄介な岩質
だ。こうなると、カムしかない。近くにポケットを見つけ、カムを効かせて体重を掛けたところ、あっさりと外れ、放り出された。壁が
削られ開いたのである。今度は浮力を利用し、体重を掛けないようカムに縋る。
一息ついたところで、白きりさんが弱点を探りに滝へと向かうが翻弄されすぐに戻ってきた。代わって私がに向かうが流れが速い。なん
とか直下まで近づいたが、勢いよく落ちてくる水のため、呼吸が出来ない。無理にしようとすると水を飲み、一部は肺にまで入りそうな
る。危ない。咳き込みながら滝から離れる。


滝へ向かう白きりさん。
暗いため、シャッタースピードが落ちて滝は霧状に見えるが、
実際はすさまじい勢いで落ちている。


滝の周りは広くなりこれまでより、やや明るくなる。


喘ぐ私。満足に呼吸ができない。


波立つ水面。近づくのも体力を消耗する。

再び、白きりさんが果敢に向かう。何とか滝の右端にたどり着き奮闘するも、またも撤退。
戻ってきた白きりさんが云うには、体を引き上げる手がかりがあったとのこと。しかし、一歩上がったところで、この水圧には耐え切れ
ないだろう。それに呼吸も出来ないだろう。
条件の良い日を選び、出直そうということで撤退することに決めた。

椿が近づくにつれて、カメラを持った観光客がぽつぽつと現われる。登り口まで来ると家族連れの人も結構見られ、あらためて、ここが
観光地だということを確認する。


椿の駐車場へと上る階段。地上へ出た感がある。
行動時間は短かったが、水の中で予想以上に体力を消耗したのか
階段がきつかった。

椿大橋へ車の回収に行くと、折りしも滝下りの人がお客さんを連れてきていた。彼らは由布川渓谷には詳しいようだ。聞くと、水量はい
つもと変わらないという。しかし、大きく流れが変わったという。
それで納得。前回よりも難しく感じたはず。水量に関しては、いつもと変わらないということは無いと思うが、彼らが言うからには大幅な
違いは無いだろう。


入渓当初、高いと感じていた水温も1時間も浸かっているとさすがに冷えてくる。なんど震えがきただろうか。もたもたしてられない。も
っと保温を考え、速攻で攻めなければならないだろう。
それにしても、脆い岩質、あらゆるプロテクションをもってしても墜落を止めてくれる保障は無い。落ちても最終的には水の中だろうが、
それまでに岩で何度かバウンドするだろう。それを考えれば、次回も多少動きづらくともライフジャケット必携か。
いずれにせよ、次回は周到な準備と覚悟で望まなければならないだろう。
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何年ぶりかの本匠 魚道エリア

2012年08月12日 | フェース
お盆期間中は天候不順という予報+体調不良のため、遠出は止めて近場でクライミングをすることにした。
体調不良といえば、2ヶ月ぶりのクライミングとなる。どうなることやら。

ちょうど、東京から知り合いが来るというので一日だけ付き合うことにする。
どこも状態が悪いため、暑いのを覚悟の上で魚道エリアに行くことにする。魚道エリアは4年ぶりくらいだろうか。こういうときでない
限り来ることがない。
今日にメンバーは、東京からの3人、シバタ君、そして、岩が始めてのモリ君、ウエノ君、フジタ君の3人。


魚道エリアは増水して渡れず、大きく迂回して対岸に渡った。


東京からはるばる来たが、天気が悪すぎた。
この後、比叡に行くといっていたが、満足に登
れなかっただろう。

彼らの後、同じ12のルートに取り付いたが、久しぶりのため、ちょっと怖い。その上、そうとう昔に登ったきりで、ムーブがまったく
頭に無い。出だしから苦労する。なんとか核心を越えたものの、レストしていると岩が欠けてあえなくテンション。取り付いたルート
はこのエリアでは、一番長い。くわえて炎天下で猛烈に汗をかき、下りたときにはかなりの体力を消耗してしまった。久しぶりのクラ
イミング、今日はこの1本で終えることにする。



ビレイ用めがね。

彼の掛けているめがねはビレイ用めがね。実物を見るのは初めてだ。上を振り向かずに正面を見ながらビレイができるという優れもの
だ。首筋が疲れずに楽にビレイできそうだが、掛けた時と外した時との脳の視角の変換が上手く出来るのかなんとなく心配。掛けてい
る本人に聞くと、スムーズに出来るとのこと。視界も広いという。ただ、老眼鏡のようでちょっと、かっこ悪い。日本では12000円で売
っているようだ。けっこう高いが、凝りがひどい人には、良いアイテムになるだろう。
http://www.powernplayusa.com/


小さいボルダーだが以外に面白い。

あまりに暑いため、水中ボルダーをすることにしたが、増水による流れが急で、落ちるたびに下流へと流される。取り付くときも必死
に漕がなければならないため、こっちのほうが疲れる。3度ほどで止めることにした。
その後、簡単なものを2本登ったが、泳いだ後の脱力感で体の重いこと。最初から分かっていることではあったが、まあ、調子が悪く、
暑いときはこんなものでいいだろう。

岩、初デビューの3人はトップロープだったとはいえ、十分に外でのクライミングを満喫したようで何よりだ。

コメント (2)
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