天と地の間

クライミングに関する記録です。

映画「MERU」鑑賞

2017年02月18日 | 映画

2月11日土曜日、期待していた映画が来たので、見逃してはならじと初日に見に行ってきた。題名はMERU。

前評判が良いためにさぞ多くの観客がいるものと早めに行ったが、予想に反して少なく、かつ年配者ばかりであった。世は空前のクライミングブームであるが山を舞台にしたアルパインクライミングとなるとやはり、興味はないのだろう。

さて、肝心の感想はというと、引き込まれた。脚本されたものではなく、全てがドキュメンタリー。こういったクライミングをやって来た身には共感、共振する場面が多く感じ入った。映像も素晴らしい。カメラマンが実際にクライミングをするメンバーならである。

私も高所でのクライミング経験はあるがたかだか5500m程度。その時は順化がうまくいって行動に差支えはなかったがメルーの6500mでのクライミングは想像できない。とりわけ荷揚げ、ユマーリングはかなりきつかったであろうことが想像できる。

メンバーの内の一人は2度目の遠征前にスキーで脳挫傷を負い、脳に損傷を受けていたにもかかわらず参加を決め、激しいリハビリに励んでいた場面が印象的。よくあんな状態で参加を決めたものだ。そして、他の二人もよく連れて行ったものだ。葛藤の場面があったが死ぬ確率がかなり高かったはずである。平地ならともかくも高所である。登るための執念を感じる。それほどの壁が目標になり、よきメンバーに恵まれた3人。実にうらやましい。この映画を見てまた行きたくなった。

 余談であるがリーダーのコンラッドは著名なクライマーであるがマロリーを発見した人でも知られている。盟友のアレックス・ロウはチョーオユーで雪崩に巻き込まれて遭難した。彼は昨年、16年ぶりに発見された。

今回の映画、ボルダラーやリードクライマーは興味がないかもしれなが見れば得るものがあると思う。ジャンルが違えど同じ登る行為。攻略する情熱に変わりはない。

おすすめの1本である。

 

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エベレスト

2015年11月09日 | 映画
久しぶりの山を題材にした映画が封切りになったので土曜日に行ってきた。
題名は「エベレスト」。迷わずに3Dを選択。事前にチェックした案内は実話を元にした作品とのこと。こうくれば、普通ならば期待が膨らむところ。だが、私はちょっとさめていた。なぜなら、公募隊がメインだからだ。
おそらくは、クレバスに事前に設置したアルミ梯子を使って渡り、登行はフィックスにユマールを設置した状況だろう。当然、スリリングな場面はあまりないのでは。低酸素と悪天による疲労凍死の場面が中心になるだろう。と想定して劇場に入った。
実際、その通りだった。とはいえ、スリルを感じるのは個々人の問題。高所登山と冬壁を経験した目線で見るほうが間違いなのは分かっているが、どうしてもそうなる。



ストーリーはというと、実話を基にしているだけに計算された作為というものはなかったように思う。
ベースキャンプで、なぜ山に登るのかという質問が出されたが、その答えを日常の場面で表せたらもっと興味を引く作品になったように思えた。
肝心の映像は、3Dとあって見ごたえがあった。空から映す山容や、雪が降るところなど、3Dならではの映像が楽しめる。
一般の人が見れば(それが前提の作品なんだが)十分に堪能できるだろう。

いろいろと言い出せばキリがないし、見ていない人は興ざめするのでこの辺でやめるが、一つ気になったことを一言。
日本人の女性(実在した難波さん役)が出ていたが、その演技の演出にがっかりした。今もって、アメリカ人の日本人に対するイメージはこんなものかと思わせる演出だった。

最後に・・・エベレストを題材にした映画といえば、「Beyond of The edge」(2014年秋封切り)がある。こちらは初登の模様を扱ったもの。ドキュメンタリータッチの作りのために映像は地味であったが、登攀の場面はスリルを感じたし初登の苦労がしのばれ、印象に残る映画であった。お勧めの1本である。
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Beyond of The edge

2014年09月01日 | 映画

10日ほど前に腰を痛めた。こういうときはじっとしておくに限る。

週末は、当然オフ。といっても何もしないのももったいないので映画を見に行くことにした。題名は「Beyond of The edge」。

内容はエベレスト初登頂の模様をドキュメンタリー風に描写したもの。

当時のアーカイブした映像と、かかわった人のインタビュー、写真などを織り交ぜた構成になっていた。

ヒラリー、テンジン扮する配役も登場する。その映像はアーカイブした映像に近く、時代がかっている。その効果でよりドキュ

メンタリーに近い印象として見れる。この辺はストーリー性を期待してみた人にとっては評価が低くなるかもしれないが、私に

はアタック隊が選ばれる過程、葛藤などうかがい知れて楽しめた。
                                               

この先は割愛しよう。

国の威信を賭けた遠征だけに大量の物資、サポートがあったにせよ、よく登頂できたものだ。60年も前のことである。

今の装備と比べると、その差が著しくあるのがアイゼンだろう。当時は出っ歯のないアイゼン。傾斜のある箇所は一歩一歩、

ブレードでカッティングしながら登るしかない。そのようなスタイルでヒラリーはサウスコルから第9キャンプまで28k担いで

いたという。いくら酸素を吸っていたとはいえ驚きだ。とりわけ、ヒラリーステップからは良くそんな装備で登ったものだと感

心する。そのシーンでは見ていて緊張した。

彼らの成功が伝わったのはエリザベス女王の戴冠式の日である。やはり、持っている人という人はいるものだ。これ以上の国威

発揚があろうか。

遠い昔のこと。エベレスト遠征に手を挙げたことがある。結果的には遠征は頓挫し、行くことは叶わなかったが、今にして思え

ば、行っていればどうなっていたか。                                                               

個々人に等しくアタックの機会が与えられるという条件だったが、それでも中央の海千山千の人たちにチャンスを独占されたで

あろうことが容易に想像できる。無論、当時の私も分かっていたがそれでも手を挙げた。田舎にいればチャンスは少ない。その

チャンスをものにしたかった。ほろ苦い思い出がよみがえった。



10月11日から17日まで、シネマ5bizにて「アンナプルナ南壁」が上映される。これまた、遠い昔に目の前に見た山。またほろ

苦い思い出が湧き上がるだろうか。

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ヒマラヤ 運命の山

2011年11月27日 | 映画
待っていた映画が来た。
メスナーとその弟、ギュンターが主役の映画である。


スケジュールはこちらから
http://cinema5.gr.jp/index.html(大分)


メスナーは尊敬するクライマーである。当然、その著作も何冊か読んだ。
この映画には、そんな本には載っていなかった弟の死の真相が含まれていた。
感想をくどくどと述べるとまだ見ていない人に悪いので割愛する。
娯楽性は期待せず、ドキュメンタリーと割り切って見たほうがよいように思う。

映画館を出て・・・
かつてはヨーロッパの北壁を目標にしていた時期がある。そして、8000mに思いを寄せ、エベレスト遠征に手を挙げたことも。
しかし、そのことごとく、成し得ていない。
その悔いがよみがえって、なんともいえない余韻を残してしまった。

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127時間

2011年08月07日 | 映画

腕が挟まったチョックストーンのイメージ写真と
思っていたが、127時間の砂時計を模したもの
かもしれない。

題名は127時間。内容は、クライマーがトレース中、チムニーの中で落ちてきた岩に手を挟まれ、脱出不能となった実話を基にしたもの。
衝撃的なシーンがあり、それを聞いた人の中には、それゆえに行くのを躊躇った人もいると聞くので、ここではその衝撃的なシーンを語
るのはやめよう。それほど引くようなシーンではなかったのだが、それ以上に、極限状態がリアルに描がかれていて似たような経験を持
つ私は引き込まれた。
すべては今日のこの時に繋がっていたという死へ向かうときの達観と生への執着。どちらに天秤が傾くかは微妙なところだろう。主人公
は、これまでの人生と真摯に向き合う。そして、ある決断をし、未来を手にする。その模様が良く描かれていた。


お薦めの映画である。


この辺りは一度は行ってみたいエリアの一つ
砂岩のクラックがある。

危険と隣り合わせのクライマーにとっては(内壁専門は別)、シュチュエーションは違えども、何が起きるかわからない。一人で出かけ
る時は、必ず出先のメモを残しましょう。本人も反省していた。
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