天と地の間

クライミングに関する記録です。

比叡Ⅰ峰Bフェース ムササビファミリールート「浮石撤去」完了

2024年04月20日 | ルート整備
2年前の日向灘沖地震の影響だろうか1ピッチ上部20m辺りが大崩壊した。幸い、ルートから少し外れたも
のの、その余波でルート上に浮石が出来た。推定重量600K。ここまで大きいと石というよりも、むしろ岩。
取りあえずは落ちないように処理をしているが、いずれ本処理をしなければと思いながらも、先延ばしに
なり、ずっと気になっていた事案。
動けるうちに切りをつけねばと、昨日、人の少ない平日をねらって、整備に行って来た。
当初は、真夜中に上がって、手っ取り早く落とそうかとも思ったが、それではルート途中の岩に落ちて、
岩を不安定にするだろうと止めにした。
他に思い付いた方法は振り子でルートから遠ざけながら下すこと。手間はかかるが、それが最善だろうと、
そのための事前工程を3月30日(日曜日)に行った。
その日はBフェースのピークから懸垂で浮石の地点まで下りて、ボルトを4ヶ所設置。この日に備えた。


近年、比叡はハイカーが多くなってきた。平日であっても
用心するに越したことはない。
早速、トランシーバで呼んできた方がいた。トランシーバの
効果は大きい。


こちらは下りに設置。
トランシーバは2台しかないので、声掛けのみのお願い。

この日の重量はほぼ30K。久しぶりのホールバックの荷揚げは重い。プーリーとアブミを使用して、体力の
温存につとめる。
何が一番重いかといえば、なんといっても3/4tのレバーブロック。重たいだけのことはある。これが無け
れば出来る作業ではなかった。
ルートを傷つけることなく、岩は無事に取り付きから離れたところに着地させることが出来た。


丸印の箇所が岩があった場所。
右下の白い擦れ後へと下した。


30Kほどの荷。
久しぶりのボッカで今日は肩がバリバリ。情けない。


このツールのおかげで作業できた。750Kの重量を持ち上げ
られる設計になっている。
やっと持ち上げられたので、ひょっとすると、石は700K
くらいあったのかもしれない。
それにしても重かった。10kほど。

昨日は自宅を出たのが午前5時前、帰宅は午後8時前。いささか手こずり時間がかかった。かなり疲労もしたが
残滓が一つ減って、ほっと一息ついているところ。

追記
ハンガーをすべて撤去するつもりでしたが、時間的に無理となったので、懸垂用に鉄製のマイロンを掛けて一つ
だけ残しました。浮いた岩があった個所の右上です。
ルートから外れているので、登りに行く方は使用しないようにしてください。
願わくば、余裕があれば外していただければ幸いです。
ブッシュも結構生えてきています。小型の鋸を持参したほうが良いでしょう。


2枚歯の鋸
一枚は枝切りに、もう一枚はクラックの掃除、草刈に。
ちょっとした整備に重宝する。
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比叡Ⅱ峰下部、整備終了

2023年04月17日 | ルート整備
比叡Ⅱ峰下部、整備完了。
日曜日、整備最後の「国民のフェース」のリボルトに行って来た。これで目標とした整備はすべて完了。
昨年は怪我などで一度も入れず、長くかかった。
Ⅱ峰下部のエリアのハンガー、ボルトは40年ほど経っても、輝いていた。しかし、ボルトを外すとアンカーはイオン化で、完全腐食の
箇所がほとんど。しかもボルトはすべて8㎜。
経験則で何とか持つだろうと、ソロで終了点まで上がって作業してきたが、怪我なく終えたことは幸いなこと。


ロープが掛かった箇所が「国民のフェース」
右の凹を上がるのが「日向(ひむか)の黒馬」
苔が年月の長さを物語る。


焼けて刃先が丸くなったビット。
花崗岩は風化しやすいが固い。
一見、相反するように思えるが、造岩鉱物の多さゆえの特性。
五穀米のおにぎりのようなもの。
花崗岩を扱う折には、ビットは最低2本は必携。

整備は開拓と違い、何の面白みも達成感もない。それでもやってきたのは、今でも十分に通用するルートが埋没したままというのがも
ったいないという思い。触ってみればその質を実感するでしょう。ここが登られていた当時は、ジムもなく、シューズもそれなりの時代。
当時の初登者、クライマーのレベルの高さも窺い知ることができるでしょう。
今回整備した「国民のフェース」は何十年と登られていないルート、よって苔が多い。
この日は、体力的に掃除は出来なかったので、取り付く際はワイヤーブラシ必携です。


ダニにたかられそうな「女は世界の奴隷か」の取り付き。


しっかりとスプレーを振りかけて、取り付きに立てる様、
「女は世界の奴隷か」の取り付きを下刈り。

今回で「整備完了」としますが、オールアンカーのルートが5本あります。何れも10㎜ステンレスです。取り付きは自己の判断で行ってく
ださい。
なお、該当のルートは以下の通り。
・「五右衛門ぐんまちゃん」先の丸太階段正面のアップルート(無名)
・「マイフレンド」マザーカンテの右
・「ハネムーン」から左の3本
(注)エリアの左端「女は世界の奴隷か」(国民のフェースの左横)は未整備。
Ⅱ峰下部の整備の主要メンバーは、私の他は陣内、兵頭(両氏ともに当時の開拓者)。
他に、伐採、階段作り等の力のいる工程時に戸高氏、その他数人の方に協力いただいた。おかげで、昔よりも格段にアプローチしやすく、
見栄えも良くなった。
皆さん、お疲れ様でした。
ルート図は近いうちに作成予定です。


「女は世界の奴隷か」の取り付き。
手の届く範囲はザっと掃除したが、生き生きとした苔が上まで続く。
日常的にクラックを伝って染み出しが伝っているようだ。


国民のフェース」と「日向(ひむか)の黒馬」がある壁。写真では
寝て見えるが、実際は結構立っている。

最後に
比叡では、今月8,9日にⅢ峰のクラックエリアが公開されました。試登会に参加しましたが九州最大級のクラックエリアです。内容も充実
しています。
おりしも、同日に新ボルダーエリアの公開イベントも行われました。
矢筈では整備、開拓も行われています。
いまや、比叡周辺はマルチ、ショートルート、ボルダー、クラック、そして冬には氷瀑と、あらゆるジャンルのクライミングを行える魅力的
なエリアとなっています。
皆さん、怪我のないよう、そして地元に迷惑のかからない範囲で楽しみましょう。
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比叡Ⅱ峰下部「翼をください」リボルト完了

2023年02月15日 | ルート整備
一昨年の秋にⅡ峰下部の整備の区切りがついて、楽しもうと思いながらも、それから一回しか訪れていない。
たまには行かなければと思っていたところ、後2ルートの整備が終わっていないのを思い出した。
というわけで日曜日はリボルト整備へ。整備したルートは、マザーカンテの左横にある「翼をください」。11c/d
整備後はビレイヤーがいなかったために、取り付いて改めてグレーディングすることもできなかった。
登る方がいれば、その後に体感グレードを知らせいただければ幸です。


「マザーカンテ」カンテ近くを登る。

さて、残るは後、一本。日向の黒馬の左横にある「国民のフェース」。
これについては、春先にでも。完全に錆びたボルトを使ってソロエイドで登るのは一本が限界のため。


未公開ボルダーエリアにて


おなじく、未公開ボルダーエリア。

整備を終えてからは、ボルダー新エリアの開拓メンバーに合流。
やはり、比叡。そそられるボルダーがごろごろしていた。
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比叡Ⅲ峰北壁ルート整備 2021/11/21

2021年11月21日 | ルート整備
ふと気づくと、肝心の自分で引いたルートがおろそかになっていた。最後に整備してからもう6年
にもなる。木々もかなり育っているだろう。
ということで、20日に整備に行こうかと考えていたところ、折君が鹿児島のクライマーとⅢ峰北壁
に21日に行く計画を立てているというので、同行させてもらうことにした。


前夜は一人侘しくソロキャンプ  午前5時起床、至福のひと時


だいぶへたってきたホールバック。あちこち破れが見えてきた。


ルートは左上したクラック沿い。

二人とも初トライというので、せっかくのクライミングに邪魔にならないよう、セカンドにフィッ
クスを張ってもらい、二人が登っている間に私がユマーリングしながら整備するというスタイルを
取った。
全ピッチ、ユマーリングしたが、重荷を背負ってのユマーリングは全身汗だくになり、予想以上に
疲労した。





今回の整備で行った工程
ルート開拓・整備をソロで行ったため、やむなく多めに打っていたボルトを以下のように整理した。
・2Pビレイ点・・・・・1本撤去、1本グージョンに打ち替え
・4Pビレイ点・・・・・2本撤去
・5Pビレイ点・・・・・1本撤去 

・ルート上に伸びた木や小枝の刈り取り。


朴葉の落ち葉
敷き詰めたように落ちていた。
Ⅲ峰近くには朴の木が多い。
次回は持ち帰って朴葉味噌でも作ろうか。


朴の木
朴の木は一様にかなり高く、登るのは不可能
比較的新しい落ち葉を拾うしかなさそうだ。

最後に
鹿児島のKさんには初対面にもかかわらず、私の申し入れを快く応じて頂いたことに感謝する次第です。
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ボルダーエリア草刈参加 and 比叡Ⅱ峰下部整備

2021年10月24日 | ルート整備
比叡Ⅱ峰下部 ルート整備完了間近

今日は昨年に引き続き、ボルダーエリアの草刈りに参加。
今回はヤケダケと鳥居の2か所に分かれての草刈り。私と今日の相方、重さんは鳥居エリアへ。2時
間ほど草刈り機を振った。


萱に覆われた鳥居ボルダー


地元の方にも参加していただき、感謝です。

作業終了後はⅡ峰下部へ。草刈り参加のメンバー(ほぼボルダラー)も訪れて久々の賑わいに。
帰りには、階段作りを手伝ってくれて大いにはかどった。やはり、人。ありがたいかぎりだ。


久しぶりの賑わい。ほとんどボルダラー。


流れ作業で楽に捗る。


これで登りが楽になった。


先週、草、苔を落としてすっきりとなった壁


大分から一緒に来た重さん。


撤去した終了点のビナ。
捨てるのももったいないので袋をぶら下げるフックとして使っていただこう。

昨年春から始めた整備、やっと、先が見えてきた。後は少々のボルトの打ち替えと、ルート図の改訂のみ。
これから絶好のシーズン、さあ、これから登るぞ、と思うものの、まともに登ってきていないツケがきて、
かなりの筋力低下を実感する今日この頃。
先ずは調整からと思うが、季節はぼちぼち冬支度のシーズン。
下半身を鍛えれば上半身の筋肉が落ちる。如何ともしがたし。
本調子になるのは春先だろうか。
焦らずにぼちぼちと継続して登ることとしよう。


五右衛門ぐんまちゃんをリボルトするJIN氏(先週)


五右衛門ぐんまちゃんの下部を登る私
下部から悪い
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