天と地の間

クライミングに関する記録です。

比叡Ⅱ峰奥壁 三つ子ハング開拓 第1弾

2009年08月30日 | 開拓
8月29日(土)

これまで、手付かずだった比叡Ⅱ峰奥壁の三つ子ハングの開拓をしようとI辺さんと比叡に入った。
三つ子ハング基部までは、最近引かれた右ルートバリエーション(2ピッチ)をとることにし、取りあえず今日のところは基部までデ
ポに上がることにした。
1,2ピッチ共にリードしたが、1ピッチ目はなかなか秀逸なルート。10c位はあるだろうか?核心が2箇所ある30mのルートである。2ピッ
チは、残念ながら基部まで行くためのプロテクション無しでもいけるようなアプローチルート。
ルーフ基部に明日の開拓に備えて、ギア、工具をデポした後、狙っている三つ子ハングの1番目と、2番目の間のコーナーを覗くと、ク
ラックがジャムが良く効きそうなサイズに見え、また、コーナーから下りている壁のスタンスが使えるため、グレードはかなりひくく
なりそうで少々落胆する。



  千畳敷より撮影

    
赤の矢印が3ピッチ目の予定ルート


8月30(日)

  メンバーにK山君が加わり、今日は日が当たるまでにルーフの部分を解決しようと早めに出発する。
 アプローチは大したことはないが、暑い。昨夜のビールが噴出すような勢いだ。


  
クラックに見えるが。


 1、2ピッチをI辺さんリードの後、3ピッチ目、いよいよ開拓が始まる。私のリードで枝を払いながらルーフまで行くと、なんと!ク
ラックが無い。昨日確認した手ごろなサイズに見えていたクラックは、黒いコケが遠目にそう見せていたのである。ルーフの末端まで
は3mぐらいで短いが、何も無ければ絶望的である。コケを掃除すれば出てくるかもしれないと、鋸で基部のコケを払いながら突いて
も岩の感触しか伝わってこない。鋸をピックの付いた鍬に切り替え突いていると、何とかカムをセットできるクラックが何箇所か現れ
た。しかし、ジャムを聞かせることが出来るクラックは限られ、しかもフレアーしている。だが、ルーフから下りている右壁のホール
ドを使えば何とかなりそうである。プロテクションをとった後、試登すると、どうにかムーブはつながった。

     
ルーフ基部で掃除中の私             

     
何とか越えたが


 ルーフを越えて、15m程、右上ししたところにある松の木でピッチを切ろうと上がって行くと、クラックに詰まった草付きで、ホール
ドが乏しいため、土の中に汗まみれの指を差込み進むも、滑っていつ落ちるかきわどい状態。2m先には、直径5cm程の木の枝がこち
ら向きに張り出しており、これに飛び移ろうかとも頭をよぎったが、根元ならともかく、離れたところであれば持たないだろうと、考
えを改め、また、じりじりと進むがとうとう限界が近づいてきた。このまま落ちるよりましかと、イチかバチか片手で飛び移ると枝は
大きく上下にしなる。祈る気持ちでしなりが治まるのを待って、恐る恐る枝の根元に近づき、体を引き上げたときには、吹き出た汗と
冷や汗の入り混じった体で喘ぐことしきりであった。そして、つくづく思った。「こんなことをしていたら、いつかはジョーカーを引
くだろう。それも近いうちに。」

 夕方が近づいてきたので、松を支点に懸垂で下りようと思ったが、10m下でスズメバチが、群れをなして飛んでいる。なんてこった
!おそらく、蜂の巣の真上にいるようだ。ここから下りれば間違いなく攻撃されるだろう。後から上がってきた二人に相談のうえ、樹
林帯まで抜けることしたが、抜けるまで、ここも草付きでえらい目にあってしまった。

 結局、樹林帯を左へと回りこみ、3ピッチの懸垂の後、再びデポ地点へと2ピッチ上がって、荷物を回収して2ピッチの懸垂。ライトを
灯して下山したときには7時を過ぎていた。
久々の大仕事になってしまった。
マルチの開拓では、とりわけ先が分からない場合、なんとも刺激的なんであるが、もっと慎重を期すべきであった。身にしみて分かっ
ているところであるが、今日は、先を急ぎすぎたようだ。

追記・・・・Ⅱ峰奥壁は、比叡の中ではアプローチがあるためか、といっても30分程度であるが、あまりルートが開かれておらず、当
然入っている人も少ない。しかし、壁は立っており、マルチ、クラック、ショートに魅力的なルートを多数引ける可能性が残されてい
る。また、ボルダーも良いものが点在している。




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日向神 弁財天エリア

2009年08月23日 | フェース
 今日はパートナーの確保ができなかったため、多分、ここなら誰かいるだろうと、日向神にアポなしで行くことにした。
 予想通り、K1さん、Y崎ファミリー、その他知り合いのクライマーが来ており、一緒に登らせていただくことにした。

 K1さんがプロジェクトルートに取り付くというのでビレイをしてあげたが、今日、落とせばほかほかのルートを触れる幸運にありつ
けると思うと、本心から応援に力が入る。

1便目、トップロープであったが、ノーテンで上まで抜ける。軽いようだ。
2便目、リードでトライするも、上部の核心部でテンション。カチホールドなんだろうか。
3便目、実質、今日最後のトライ。本人は当然、ビレイする私も応援にいっそう力が入る。
核心部で、スタンスの位置に躊躇したようだが何とか核心部をクリアし、終了点直下で大レストをした後、みごと完登した。

ここのエリア、昼から日差しがもろに当たるようになる。よくこの悪条件で登れたものである。

 この後、トライさせてもらったが、下部の核心部がわからず、ムーブを探るため、上がったり下がったりしてねばっているうちに力
尽きホール。
休んだ後、なんとかムーブをこなせたが、粘ったのが災いして上部の核心ではかなり手こずってしまった。それにしても後ろから直射
日光に晒され、ヌメルことといったことはなかった。
やはり、秋の課題になりそうだ。暑すぎる。
グレードは12bといったところか。


  
核心手前でレストする私。


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一年ぶりに本匠へ

2009年08月16日 | フェース

このかぶり部分は、染み出しで全滅でした。あと2週間もすれば登れるでしょう。

 お墓参りの帰省をかね、一年ぶりに本匠に行ってきました。予想通り、下流側のどっ被りのルートは染み出しで上流側はなんとか登れ
る状況でした。
 やはり、最近の豪雨の影響を考えてのことからか、来ているパーティーは3パーティー。この時期にしては珍しく少ないものでした。
替わって、水遊びできている人の多きこと。駐車場が一杯になるほどでした。


この時は、まばらだった人がどんどん増えていって・・・

 この日は、竹田のGさんと9時に現地で待ち合わせ、二人でのクライミングです。
 アップで3本登った後、「思えば遠くへ来たもんだ」11dに取り付きましたが、核心部で気になって下を見ると、子供が真下で泳いでい
るはないですか。岩が欠けて下に落としたら大変なことになる。そう思うとクライミングどころではなく、セルフビレイをとって、やり
過ごし、1テンでぬけました。
 みなさん。本匠で夏場に登るときは下を確認しましょう。いくら安定したエリアとはいえ、何があるか分かりません。特に、石灰岩は
欠けやすいので注意が必要です。

 その後、時間と共に水浴び客が多くなったこともあって、集中力は低下。昼過ぎから猪鹿エリアに移動することに。
 このエリア、車から取り付きまでアプローチは5分程度なんですが、着いたときには、あまりの暑さで登る気も失せ、先に来ていた福岡
のパーティーと共に川で遊ぶことにしました。手ごろな壁を見つけ、水の中から取り付くウォーターソロクライミングをしましたが、こ
れが結構楽しめました。何しろ、やばくなったら飛び込めばいいのですから。ただし、飛び降りるときの高度と水深の見極めが必要です
が。足が水底に着いたら怪我の基です。

 発想は跳びますが、水の中での涼を楽しむ中で、意外と沢登りも面白いかもしれないと感じたところです。実は、沢やさん達に沢登り
を勧められたりするのですが、どうも沢は怖く、かつ、水から上がったときの脱力感がいやで未だに敬遠しているのです。

ひとしきり、川の中で過ごした後、猪鹿エリアに戻って、11bぐらいのルートを登った後は水遊びの疲れでぐったりとなり、明日からの
大崩での開拓を考えて早仕舞いとしました。

 ところが、車に戻ると開拓メンバーの一人から明日から崩れるとの予報メールが来ており、様子を見ようかと思っているところへ、も
う一人のメンバー、沢Gさんから行けなくなったとの連絡。敵前逃亡を謀られてしまいました。
 結局、開拓は天候が気になり延期としました。
 そういうわけで、土曜日はオフ。そして、日曜日に日向神に行くことにしました。




8月16日(日)
沢Gさん、M本さんと日向神弁財天エリアへ。
この日は、K1さん、T長女史。フェニックス5人。たみさん御一同7人と大盛況。みなさん、それぞれ楽しんでいるようでした。私はと
いうと5本登りましたが、あまりの暑さで「善秋君のおかげですIII 」11bのOSがせいぜいで、そのとなりの「日曜日の使者」12aを
狙って来たのにもかかわらず、取り付く気にもなりませんでした。

「善秋君のおかげですIII 」は、長く持久系のルートですが、要所〃で休めるし、核心部ではやり直しが利くので登りやすいルートです
。下部エリアではお勧めの一本です。



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比叡Ⅰ峰 ムササビファミリールート 整備完了

2009年08月11日 | 開拓


写真中央の壁がBフェース。ここを登ります。


関西のパーティーが登っているところを真下、横から撮影


比叡Ⅰ峰北面のBフェースにあるムササビファミリールートの整備が終了したので遅まきながらアップします。
 北面のため、昼過ぎまで日が差さないので、夏向きのルートです。お盆に比叡に入る方はどうでしょうか。おすすめです。
ルート整備の模様は、とある会に原稿依頼されたので、ここでは、その原稿をそのまま転記します。

比叡Ⅰ峰 Bフェース ムササビファミリールート整備報告 

メンバー I辺・H井・S田

5月2日、ヨセミテの合宿をかねて、ムササビファミリールートの最終整備を行おうと比叡に入ることにした。
 整備は、一昨年の秋に始まり、今日で5回目になる。途中、私の転勤が入ったために前回の整備から実に一年ぶりとなる。
 今回は最終とあって、整備に関わったもの全員でと、Iさん、S君を誘ったが、S君には、腰痛とかコンタクトを無くしたとかの理由をつけられ、敵前逃亡を謀られた。
彼が尻込みをしたかどうかわからないが、そうであればその気持ちも分からぬでもない。比叡の北壁は、気軽に取り付けさせないえも言えぬ独特の雰囲気があるのである。Iさんが言うには「おどろおどろしい」ということであるが、言いえて妙である。日中は日が差さず、岩質は黄色みがかり、脆そうで傾斜も強い。そして、岩の角はスパッと鋭利になっているため、いやがうえにも恐怖感を高めさせる。 こうした環境が登るものに威圧感を与え、体感グレードを実際よりも高く感じさせる。しかし、逆に言えば、近場でこれほど「アルパインクライミング」を体験できるルートも珍しいのではないだろうか。
 話は1年半ほど前にさかのぼる。Ⅲ峰北壁の整備を終えた我々は、次のルートを開拓しようと考えたが、アプローチが短いところは開拓されつくしており、かといってアプローチのあるところは足腰の弱ってきた私はなるだけ敬遠したいところ。 そこで、今は昔となり、完全に消え去った感のあるルートで、しかも手ごわそうなものをと検討した
結果、「ムササビファミリールート」を対象に選んだ。

開拓は1984年 開拓者はUさんを筆頭にKさん、KW君である。
記録を見ると開拓はかなり苦労したようである。最終ピッチは行きつ戻りつ立ち往生した様子が伺える。しかも、かのKさんもKW君もセカンドで登っているにもかかわらずフリーでは登れていない。そのころはキャリアを積んでなかったにせよ、かなり手ごわそうなのが分かる。食指が動く。
 先ずは、整備の承諾とルートの状況を聞こうと開拓者に聞いてみたが、何せ遠い昔のこと、記憶があいまいになっているようである。

2007年10月28日 メンバー:I・H・S

 取り付きから仰ぐと、いたるところブッシュが生え、ピトンは完全にさびている状態で完全にルートは消え去っている。ここ20年来、取り付いた形跡がないようである。無論、ピトンは使えないが、クラックは走っている。カムとナッツがあれば何とかなるだろうと、取りあえず、私がトップで行ってみることにする。
 のっけから小ハングの乗り越しがある。ムーブはさして難しいものではないにしても、浮石が目立つために細心の注意を要する。途中にあったハーケンを摘まむと力を入れていないにもかかわらず、ポロリと落ちた。つわものどもが夢のあとといった風情である。が、撤去には楽そうである。
 15m程上がったところにある手ごろなテラスでカムとスリングでビレイ点を作りピッチを区切る。2番手、S君が上がってくるが苦労しているようである。続くIさんが掃除をしながら上がってくる。比叡で鍛えたまるで耕運機がごとき整備。
なんとも大胆である。落とした浮石が谷にこだまする度、ぞっとする。音がした後、「らーく」と言っていたような気がするが。
 2ピッチ目は、正面のフェースを右に巻いて上がり、ダブルクラック直下にビレイ点を作る。ムーブは問題ない。


3ピッチ目のダブルクラックを登攀中の私。


    このピッチが変化に富んで一番楽しい。

 3ピッチ目、ビレイ点のすぐ上から走るダブルクラックに快適にジャムを利かせて上がると、つまったところが短いチムニーとなる。荒れているため、このチムニーからどっちへ行くのかしばし迷ったが、どうやら右に乗り越えるようである。ここが第一の核心だろうか、ブッシュに覆われ、先がどうなっているか判らないが勘を頼りに被り気味のカンテを乗り越え上がる。幸い、ルートは間違っていないようだ。5m程上がるとまた短いチムニーが現れた。上部は水平クラックへつながっている。記録によるとかなり悪い箇所のようだ。
 短いチムニーは、上部が狭く背中側の岩が被ってくるため、水平トラバースへ移りにくくムーブを起こしづらい。なおかつ、水平クラックはカンテのほうへ伸びており、先がどうなっているのか判らない。クラックがカンテで消えてスローパーになっていたらどうするか?途中のクラックは、浅くてカムをかませられない。落ちた場合、振られて狭いチムニーに激突するのは明らかだ。


トラバース部分の関西パーティー


 いつまでも考えていても始まらない。北壁ならば何かある。と根拠のない確信の基、水平クラックに移りこみ、カンテへと移動して覗き込むと幸いクラックが続いている。クラックの中は、土とブッシュが詰まっているが何とかなりそうである。ここで、片手で土を掘り、カムを咬ませるとホッとする。
 このクラックを上がり込んだ所を3ピッチの終了点とし、次が上がってくるのを待つが、どうも人工登攀の練習さながらの様相で上がってくる。無理でもないか。ドリルに加え、ボルトキットを抱えてのクライミングではかなりきつかろう。
今日は、これで終了としよう。

2008年5月3日 (H、I、HI、S)
前回のメンバーにHI君を加え、再び3ピッチまで整備を行い下る。

2008年8月16日 (H、I、HI)

4ピッチ以降を整備しようと取り付いたが、3ピッチまで上がったところで雨が降りだしたためにやむなく降りることにする。
 途中から、雨は豪雨となり、ずぶ濡れになりながらの懸垂下降となる。

2007年11月(H、I、S)
4P 前回の最終ピッチ(3P)までは、整備のおかげで快適に登ることができた。初登では、ここから松本ルートに合流となっているが、ボルトダラーのうえ、ルートがすっきりしないため、我々は松本ルートのやや右側にボルトを2本設置し、ダイレクトに登るルートとした。フェースを直上した後、右上すると石板状の岩が何枚か立った場所に出た。左手の壁は茶褐色。なんとも宗教がかった場所に感じて、早くやり越したくなるが、こういう箇所に限って、ムーブが悪い。落ちたら下は石板。恐怖感も加わる。躊躇するも、思い切って大ガバにランジ気味にしがみつき、上がったところで4ピッチの終了点とする。
 5P 少し上がるとクラックが消えてプロテクションを取れない。たのみのハーケンは腐って使えない。勘を頼りに右手でホールドをつかみながら、左手に持ったナッツキーで土と草付が縦に走っているあたりを掘ると、かろうじてナッツが使えそうなシンクラックが出てきた。が、浅い上に北壁特有の頼りない岩質である。不安ではあるがいつまでも掘っていては右手がもたない。多分利く。いや利いてくれと半ば自分をだまし、半ば祈りながらナッツを設置してムーブを起こすが、そこは掘ったばかりのクラック、土と手のヌメリが相まってジャムは効かない。スローパーを第一関節で押さえつけるムーブとなる。その状態で勢いよく引き付けた頂点で左手を差し入れ、ジャムを利かせる。辛うじて止まった。冷や汗ものだ。
 最近は年のせいか、デッドで手を伸ばすのと同時に手のひらのアーチを作ってジャムを効かせるという厳しいムーブになると、一連の動作の連携に時間差が生じ、しばしば失敗をしでかす。今日のところは調子は良いようだ。

7m程登ったところで茶褐色の被ったフェースが現れる。記録に2時間あまり行きつ、戻りつした場所であろう。ルートは左にとっていたはずである。周りには終了点の形跡はないが、流れを考えてここを5ピッチの終了点とする。
 6P 薄被り気味の凹角をステミングで上がる。その後、トラバースに入るがなるほどわかりづらい。初登者が2時間あまり躊躇したというのもうなずける。スタンスが乏しい上に、ホールドが遠いのである。初登者のUさんは、当時、よくここを突っ込んだものだとつくづく感心する。慎重にトラバースを開始するも、落ちた折の軌道が気にかかり、手は先に出るものの心がそれについていっていないのが判る。一度戻り、ムーブを修正して再トライする。微妙なバランスで左へと移りこみ、遠い縦リスを取り、一安堵するが、すぐ先がカンテを回り込んでいるためにどうなっているかわからない。幸い、カンテに伸びているクラックはジャムがばっちり利く。カムを咬ませた後、覗き込むとピークが近く、傾斜は緩くなっている。
あと少しだ。 このカンテを越えた後、本来のルートは、また、松本ルートのボルトダラーへ合流しているようだが、我々はクラック沿いに直上するルートをとるようにしてピークに立った。

整備を終えて
 ここも時代の波に押されて、長い間、忘れ去られていた。こういう私自身、20数年前はショートルートに没頭し、登る機会も無いまますっかり忘れてしまっていたわけであるが、今回、3人の仲間の協力を得て20年以上もの空白を埋めることが出来た。
 整備は、すっかり消えたルートの掘り起こしであったために、大変ながらも初登の気分も味わわせてもらった。そして、初登者の緊張感と気概そして力を窺い知ることが出来た。20年以上も前に、よくもこれほどのルートを作ったものだと感心することしきりである。
初頭の記録を読むと、開拓のために何度も比叡に運んで最後はうんざりしたと書かれていたがさもあろう。ルートは、カンテを回り込んだり、トラバースしたりと変化に富んでおり、行って見なければわからない箇所が多い。これを楽しみととるか、不安ととるかは個人の力量に分かれよう。ある程度、力のあるものが今登っても遜色のないートであるのは確かである。
 近年、連休になると関西、関東の若いクライマーが比叡、矢筈、鉾と訪れ始めているようである。折りしも、ムササビルートの整備を終えた次の日に関西のパーティーが取り付いてくれた。
 開拓冥利はあっても、整備冥利というものは無いのであるが、やはりうれしいことである。
今後も、ルートが消え去らない程度に訪れる人がいることを期待したい。

関西のパーティーの記録は下記ブログで見れます。所見トライだったので、よりリアリティーがあります。
今日もお天気

 最後に、
 整備の間、終始、浮石を落とし、ブッシュを切りながら上がってきたIさんは大変な労力であったろう。そして、荷揚げに3回も付き合ってくれたS君・HI君、お疲れ様でした。

注意点
 ビレイ点は1ピッチ終了点(ナチュプロ)を除いてすべてステンレスボルトとハンガーとした。プロテクションは既設のハーケン、ボルトについては、落とせる範囲は落とし、新設したプロテクションは、4ピッチ目のフェースに打ったステンレス製のボルト3箇所のみとした。
 注意として、1ピッチ目の8m程、頭上にある巨大な浮石をチェーンを用いて吊り下げたが、くれぐれもこれをプロテクションにしたり、人工的手段に用いることの無いようにしていただきたい。また、整備は終わったが、まだ不安定な箇所も存在する。これは北壁の岩質の特質で脆い箇所が多くあり、整備に限界があるためである。十分認識して取り付いていた
だきたい。

使用ギア
キャメロットC4=1~4番×2セット、0.5×2、0.75×3
エイリアン=黄色×2、青1、緑1
ナッツ=1セット



肝心のアプローチですが、ニードル左岩稜の取り付きを通り過ぎ、ほぼ壁伝いのアプローチを上がっていきます。
ニードルを過ぎて5分ほどでアプローチルートを外れ、壁の基部へと上がります。分岐点から取り付きまで黄色い反射板(カードの半分程)をぶら下げているので、分岐点を見逃さなければ導かれるでしょう。なお、取り付きはちょっと高くなって
います。


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弁財天エリアの岩場と比叡

2009年08月02日 | フェース
ラリーグラスの面々3人とを日向神の弁財天エリアに行く。
下部エリアの9でアップした後、上部エリアの11bのルート「ワイヤード」をRP。
このルート、グレードこそ高くないが、ムーブを読みづらい。所見では、簡単には登らせてくれない。ボルダーチッ
クなルートである。


上部エリアで登る安さん。

午前中は、開拓者のK1さんが来ていたので、皆に、エリアの解説をしてもらったり、K1さんがトライするプロジェ
クトのビレイをしたりして過ごす。
 昼から、下部エリアに12aのルート「日曜よりの使者」があるというので下りてみると大牟田のフェニックスの
メンバーが取り付いていた。終了点直下でかなり苦労している様子が伺える。見るからにかち系のルートで悪そうだ。
 しばらく待って私の出番になった時には、運悪くかなり暑くなってきた。かち系の12aのルートでは、ヌメればお話
にならんだろうが、とりあえず、ムーブだけは探ろうと取り付いてみる。やはり、上部直下が悪い。何度がテンショ
ンを入れてぬけることができたが秋以降の条件の良いとき
でないと行けそうにない。コンペで完登者がいないだけのことはある。

夕方、比叡に向けて日向神を立つ。
 今日のお宿は庵。かねてより一度は泊まりたかったという御三人方を案内して庵に行くと、10人ほどの人が来てお
り、にぎわっている。さっそく、間に入れてもらったが、初めての人も受けてくれるのがここの良いところ。綾吉つ
ぁんの10年来の旧知のように接するパフォーマンスも相まって、3人ともにすぐにうちとけて一安心。それにしても、
あれは天然だろうか。
 
 この夜は、調子付いて1時過ぎまで飲んでしまい、寝たのは2時。当然、次の日は最悪の状態。結局、水場の鳥肌ス
ラブを登っただけで終わってしまった。
 最近、どうもこうゆうパターンが多くなった。気をつけねば。


鳥肌スラブの吉つぁん。

コメント
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