6月2日(火) Needlesからヨセミテ渓谷へ入る。
トンネルViewから望むヨセミテ渓谷。ロケーションが良いため、多くの観光客が足をとめる。
手前の壁が言わずと知れたエルキャピタン、標高差1000mの大岩壁。右端はなだらかに見えるが、側面は被っている。中央遠くに見えるの
がハーフドーム。そして滝がブライダルフォール。
6時前、Camp4の受付に着くと、もう並んでいる人が。FULLになったら入れないため我々も並ぶ。受付は8時半から。
一人一泊500円。最大7日までしかCamp4には滞在できない。
受付の掲示板に、メモ書きが結構張られていたので暇つぶしに読んでみると、キャメロットを売るとか、パートナー募集といった内容のも
のが多く見られた。
一人で行っても、パートナーを現地調達できそうだが、募集している人たちの経歴を見ると中級以上はいないようであった。
6月4(木)
ヨセミテでのクライミング初日。朝。先ずはコーヒーを飲まないと始まらない。
右後ろのグリーンのテントが我々のテント。そして、後方にあるボルダーが、あの「
Midnight Lightning」のあるボルダー。
前回来た時は、マルチ主体(EL CAPのeast buttress、ミドルカシードラルのeast buttress、同じくセントラル・ピラー・オブ・フレンジー)のルートを登ったので、今回はショートを中心に登ることにする。
下記写真は、ヨセミテを代表するエリア、
cookie cliff。粒ぞろいのルートが揃っており、いつも人が取り付いている。
私のお気に入りのエリアでもある。
Meat Grinder 5.10c
名前からしてこわそうなルート名。上のほうは被っており、長く、しかもワイドときた。
出だしでスリップしてフォール。後は、持久力は要るものの見た目より悪くはなっかた。ヨセミテの岩質は、すべすべでスメアが効きずらい。
トポにもよくポリッシュと書かれている。グレードは低くともそうしたところで落とし損ねてしまう。早く岩質に慣れる必要がある。
Waverly Wafer 5.11a OS
やはり長く持久力が必要なルート。なんとかOSする。やはり、Meat Grinderよりも一枚上だ。
Catchy 5.10d OS
outerlimitsの次に人気のルート。核心部まですたすた登っていける。核心部も10dにしては難しくはない。
6月6日(土)
Nose正面 下部より撮影。左右にポーターレッジが8つほど見られた。いわずと知れたビッグウォール。
ピッチ数31、抜けるまでに平均3泊四日。
今日は、我々は左手下部のEL Capitan Baseエリアの行くことにする。
Moby Dick 5.10a
核心は離陸のみ。後はさくさく。
Sacherer Cracker 5.10aを今日は狙ってきたが、このエリアの人気ルートとあって混雑してしているために、となりの
THe Mark of Art
5.10dを登ることにした。ところが、このルート、出だしが悪い。シンクラックのうえ、足が乏しい。加えて、私の場合、出だしに
苦手意識を持っているため、一層、悪く感じる。2度程テンションを入れてムーブを探った後、抜ける。
下りてみると、アメリカ人の女性クライマー3人が来ており、一人がSacherer Cracker を登っていた。日本ではなかなか見られない光景
であるが、女性だけのパーティーはよく見かける。ムーブを見ていると安定している。結構上手である。それを応援する下の二人の声援た
るや、実に華やかで明るい。アメリカ人の本領発揮といったところか。羨ましい。こういう応援をされると私のグレードもランクアップが
図れそうである。
私もつられて声援に加わる。
この日は、昼過ぎから雨が降り出したため、早々にCamp4に引き上げることにした。どうもこの時期、渓谷内は上昇気流が発生して、午後
は雨がぱらつく傾向にあるようだ。渓谷からちょっとはなれればエリアでは雨はまったく降らなかったりする。
THe Mark of Art 5.10d
アメリカ人のクライマーは動き出すのが遅く、10時過ぎごろエリアに上がってくるパーティーが多い。夜遅くまでだべっているというの
もあるかもしれないが、朝は結露しているからだろう。渓谷から離れたところは結露は少ないが、渓谷内のエリアはそれが顕著のようだ。
当然ではあるが。狙うルートは10時過ぎまで待ったほうがよさそうである。
6月7日(日)
Reed's Pinnacle エリア
トポにも載っていない無名のルートでアップした後、ここの看板ルートを登る。
看板ルートだけあって、見た目もすっきりしている。
Lunatic Firnge 5.10c(OS)
Stone Groove 5.10b(OS)
ヨセミテのルートにしては短いルート。(18m) コーナーのクラックに沿って登っていく。
Five and Dime Cliffエリアへ
Reed's Pinnacle の近くにあるエリアでトンネル基部(黄色い看板)のところから下りていく。
ここの人気ルート
Five and Dime 5.10dを登る私。
10の卒業課題となっているらしいが、私はテンションが入ってしまう。とっくに卒業していると思っていた私は??
6月9日(火)
また、
EL CAP BASEへ
先日、混雑で取り付くことが出来なかったSacherer Cracker 5.10aを登る。
下部はすたすた行けるが最後のワイドが悪い。人気ルートだけのことはあってよいルートだ。
いよいよサラテに取り付こうと下りかけるとサラテの取り付きあたりに熊が出たという。念のために1時間ほど待って、行くことにする。
Salathe Wall(pitch1&2)10c (OS)を登攀中の私。
ほぼ垂直、すばらしいルートだ。1ピッチでこの高度感である。上まで抜けるとどんなものだろうか。この日は、4pほど行ってみるつも
りであったが、熊の件もあり、時間切れで2ピッチまでで懸垂で下りることにした。
このサラテ、10pまでを登るFree Blast(11b)というものがあるが、次回、来る機会があったら10pまで行ってみたいものだ。
フォロー中のI辺氏
対岸に見えるMiddle Cathedral Rock
前回、ここのEast Buttress(5.10c 11pitch)を登ったが、お勧めのマルチだ。
6月10日(水)
ヨセミテ最終日は、どうしてもCookie
Cookieを代表するルートといえば、Outer Limits(5.11a)、これは前回登っているのでアップに利用し、途中まで登ってクライミング
ダウンする。
これを見たら、誰しも登りたくなるだろう。
Crack-A-Go-Go(5.11c)
Outer Limitsのすぐ左にある。これまた登る気にさせるルートだ。下部がシンクラックで、足が乏しい。
取り付いてみたものの離陸からすぐに核心部に入るために、グランドフォールが怖い。ナッツをセットした後、ムーブが読めず、フォ
ール。怖さのため、動きがぎこちなくなる。ムーブを探るために3度ほどフォールしただろうか。やはり、11cともなるとムーブ解決力
が必要となってくる。
核心を越えると、後は簡単になるが上部のフレークが安定していないため、カムの設置場所が限られる。
The Enema (5.11b)
最大斜度は110度ほどあるだろう、かなりの角度でワイドクラックが伸びている。この角度のワイドで11bとなれば要所〃にがっちり
ジャムが効くところがあったり、ホールドがあるだろうと楽観視しながら取り付くと、3分の1ほど行ったところで、ジャムの効きづら
いところがあり、あっさりフォールしてしまった。
やはり、かぶってくるとギアの重力にも引かれ、予想以上に体感斜度がましてくる。どうも、本匠に行かなくなってからというもの、
傾斜に弱くなったようだ。
気を取り直して、再度取り付くもまだ悪いところがあり、テンション。
なんとかかぶった部分を抜け上部を仰ぐと、なんとまだクラックが5,6m続いている。壁にだまされた感じだ。傾斜は落ちているもの
のフレアーしてジャムが効きにくそうである。
やはり効きがあまい。下部で苦闘したせいで手が汗でヌメッテいることもあって、あまく決めていたジャムが外れ、5m程フォールし
てしまった。落ちるときに映像が流れながらも、足がロープに絡まないことに集中したために怪我も無く、事なきを得た。ビレイして
いたI辺氏も被りが終わって立ち込んだ辺りで終了点と思っていたとのこと。思わぬフォールに驚いた様子であった。
昨夜、アメリカ人女性にEnemaを登るといったらWawo!と言われたが、こちらは「ヒェー!」であった。