小積の開拓を始めたのが二年前、その時に一ピッチ伸ばしたままである。その時の友はもういない。
雨の影響と、重荷を背負ってのこのアプローチを考えると簡単には踏ん切りがつかず、延び延びとなってしまった。区切りはつけた
い。本来なら、秋に行うべきところであるが、今秋も雨が多かった。それならば、冬しかないかと、今日を選んだ。短い日と寒さを考え
ると開拓にリスクを伴うが致し方ない。
朝起きると、昨日の疲れが残っているが予定通り、小積に行くことする。気になるのが天気。予報では晴れであったがどんよりと曇
っている。大分を出たあたりから、どじゃぶりとなった。念のために延岡のクライマーに天気を聞くと晴れているという。安心して大崩
へと向かったが、一向に晴れる兆しがない。登山口についても降り止まない。唯一、救いなのが小雨ということ。決行することにする。
昨年は小積の基部まで上ったところで雨が降り出し、そのまま引き返した経緯がある。そのときの重量が30k近くあった。アプローチで
疲労し、そのまま継続しての開拓は無理と悟った。後から考えると、雨が幸いした結果となった。
その折の反省を踏まえ、今回は開拓道具を2回に分けて運ぶことにした。今日の予定は16kのデポ。
今回のアプローチは、前回よりも荷物が少ないため、工藤新道をとる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/98/e6d2922e4721b27e07d4574201963cf7.jpg)
崩壊した林道。四駆でも通行不可能。
フリーのリードをする人も少なくなり、パートナーに苦労する現状、こんなことに付き合ってるれるパートナーはそうそういない。今回
も一人だ。
小雨交じりの中、崩壊した林道に歩を進める。
『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない』
唐突に先日読んだ伊坂幸太郎の『フィッシュストーリー』の一節が浮かんだ。その孤独と折り合いをつけながら、牛歩よろしく歩く。
歩き出して1時間。登山道から外れたあたりから、早くも疲れがでてきた。「僕のひ弱さが魚だとしたら、メダカさえも襲ってくるので
はないだろうか」と思えるほど、体力のなさを感じる。先の開拓が思いやられる。
工藤新道は昔、通ったきり。登山道をから離れると記憶にはない。所々にテープがあるが何度も見失い、行きつ戻りつしながらおよそ2
時間ほどで小積の基部へ着いた。冬の開拓を考えると、反射テープをぶら下げる等、したほうがよさそうだ。暗くなれば確実にテープを
見失うだろう。
岩陰に担いできた荷物をデポして、1ピッチ目を見上げると、すっかり苔むしている。また、掃除からかからなければならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/54/18c4fbee68347f572032802ff601cce4.jpg)
前回と同じ場所にデポ。多少の雨ならしのげそうだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/22/fcb2aee277da57c474cf2b16881ab047.jpg)
唯一完成の1ピッチ50mのクラック。
雨とあって、苔が生き生きしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/8b/f9172e3220ee68e4ed8e238e9ebcf0c3.jpg)
蜘蛛の糸の1ピッチ目チムニー、中央稜が
リボルトされて以来、そちらにはたまに訪れ
る人がいるらしいが、こちらは、行ったという
噂はあまり聞かない。フリーの要素が強く、
秀逸なルートであるのだが。
下山するころになると、やっと雨が上がった。
帰りはほぼ空身、調子に乗ってスピードを出していたら、足元の岩が崩れて足を挟んだ。多少の打撲ですんだが危うく映画「127時間」
の足版になるところであった。雨の後であるだけに足元は緩み、よく滑る。登山道から外れた携帯も使えないこんな場所で怪我をすれ
ば、結果は知れてる。その後は、かなり気を引き締め、車まで戻る。
追記
小積で開拓をしても訪れる人はいないだろう。私一人のルートであれば宣伝する気はもうとうないし、どうでもよいが亡き友との共同制
作となれば、やはり考える。まだ完成はしていないが1ピッチだけでも良いの出来たと云おうか。
そういえば、大風呂敷のことをフィッシュストーリーというとか。
雨の影響と、重荷を背負ってのこのアプローチを考えると簡単には踏ん切りがつかず、延び延びとなってしまった。区切りはつけた
い。本来なら、秋に行うべきところであるが、今秋も雨が多かった。それならば、冬しかないかと、今日を選んだ。短い日と寒さを考え
ると開拓にリスクを伴うが致し方ない。
朝起きると、昨日の疲れが残っているが予定通り、小積に行くことする。気になるのが天気。予報では晴れであったがどんよりと曇
っている。大分を出たあたりから、どじゃぶりとなった。念のために延岡のクライマーに天気を聞くと晴れているという。安心して大崩
へと向かったが、一向に晴れる兆しがない。登山口についても降り止まない。唯一、救いなのが小雨ということ。決行することにする。
昨年は小積の基部まで上ったところで雨が降り出し、そのまま引き返した経緯がある。そのときの重量が30k近くあった。アプローチで
疲労し、そのまま継続しての開拓は無理と悟った。後から考えると、雨が幸いした結果となった。
その折の反省を踏まえ、今回は開拓道具を2回に分けて運ぶことにした。今日の予定は16kのデポ。
今回のアプローチは、前回よりも荷物が少ないため、工藤新道をとる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/98/e6d2922e4721b27e07d4574201963cf7.jpg)
崩壊した林道。四駆でも通行不可能。
フリーのリードをする人も少なくなり、パートナーに苦労する現状、こんなことに付き合ってるれるパートナーはそうそういない。今回
も一人だ。
小雨交じりの中、崩壊した林道に歩を進める。
『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない』
唐突に先日読んだ伊坂幸太郎の『フィッシュストーリー』の一節が浮かんだ。その孤独と折り合いをつけながら、牛歩よろしく歩く。
歩き出して1時間。登山道から外れたあたりから、早くも疲れがでてきた。「僕のひ弱さが魚だとしたら、メダカさえも襲ってくるので
はないだろうか」と思えるほど、体力のなさを感じる。先の開拓が思いやられる。
工藤新道は昔、通ったきり。登山道をから離れると記憶にはない。所々にテープがあるが何度も見失い、行きつ戻りつしながらおよそ2
時間ほどで小積の基部へ着いた。冬の開拓を考えると、反射テープをぶら下げる等、したほうがよさそうだ。暗くなれば確実にテープを
見失うだろう。
岩陰に担いできた荷物をデポして、1ピッチ目を見上げると、すっかり苔むしている。また、掃除からかからなければならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/54/18c4fbee68347f572032802ff601cce4.jpg)
前回と同じ場所にデポ。多少の雨ならしのげそうだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/22/fcb2aee277da57c474cf2b16881ab047.jpg)
唯一完成の1ピッチ50mのクラック。
雨とあって、苔が生き生きしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/8b/f9172e3220ee68e4ed8e238e9ebcf0c3.jpg)
蜘蛛の糸の1ピッチ目チムニー、中央稜が
リボルトされて以来、そちらにはたまに訪れ
る人がいるらしいが、こちらは、行ったという
噂はあまり聞かない。フリーの要素が強く、
秀逸なルートであるのだが。
下山するころになると、やっと雨が上がった。
帰りはほぼ空身、調子に乗ってスピードを出していたら、足元の岩が崩れて足を挟んだ。多少の打撲ですんだが危うく映画「127時間」
の足版になるところであった。雨の後であるだけに足元は緩み、よく滑る。登山道から外れた携帯も使えないこんな場所で怪我をすれ
ば、結果は知れてる。その後は、かなり気を引き締め、車まで戻る。
追記
小積で開拓をしても訪れる人はいないだろう。私一人のルートであれば宣伝する気はもうとうないし、どうでもよいが亡き友との共同制
作となれば、やはり考える。まだ完成はしていないが1ピッチだけでも良いの出来たと云おうか。
そういえば、大風呂敷のことをフィッシュストーリーというとか。