中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

中国の結婚式-接新娘-

2007-11-03 08:52:21 | 中国のこと
 10月28日、日曜日。西安の李真の結婚式の日。中国では八は縁起の良い数字とされていて、車のナンバープレートも8が含まれるものをほしがるようだ。前日は大雨で李真は心配していた。結婚式当日が雨になると、新婦は将来鬼嫁になると言い習わされているからだ。幸いこの日はかなりどんよりしていたが雨ではなく、一緒に李真の家に出かけた友人の袁毅や謝俊麗も喜んでいた。新中国になっても、このような旧い考えが現在の日本よりもずっと根強く残っているのは面白い。

 結婚式の午前中には新郎が自分の家から新婦の家に新婦を迎えに来る、接新娘(チエシンニャン)あるいは迎親(インチン)と言うセレモニーがある。接は迎える、新娘は花嫁。親には花嫁の意味がある。もっとも李真たちはすでに新居に住んでいて、新郎はこの新居から迎えに来るのだから、あくまでもセレモニーである。

 李真の家のドアや窓のガラス、室内の壁には縁起の良い双喜の文字をデザインした切り紙が貼ってある。
  




 李真は朝早く起きて化粧したり花嫁衣裳に着替えたりして、自分の部屋で新郎を待つ。


 新郎は簡単には新婦には近づけない。新郎とそれに付き添う男性である伴郎(バンラン)を先頭に迎親の一行が新婦の家があるマンションに入ろうとすると、新婦の親戚の若者や子ども達がドアを押さえて入れようとしない。外では伴郎がドアを叩きながら開けてくれと叫ぶが、中でも何やら騒ぎ立ててなかなか開けようとしない。そのうちに伴郎が用意した紅い祝儀袋(紅包 ホンバオ)を僅かに開いたドアの隙間から中の者に渡す。その間も開けてくれと叫び続ける。この辺りは阿吽の呼吸があるのだろう、やがてドアが開かれ一行はなだれ込んでくる。


 しかし、この後にも関門があって、家のドアも中から押さえられていて、前のような遣り取りがしばらく続いた後にやっと新郎は家の中に入れる。


 最後の難関は花嫁の部屋で、部屋の前のドアには迎親の青年達がひしめき合い、伴郎がドアをドンドンと叩きながら開けてくれと叫ぶのだが、中からは李真の親戚の女性や友人達が頑強に押さえていて、なかなか開けてくれない。


  伴郎が紅包をドアの下の隙間から差し込んで頼み続け、やっとドアは開かれて一行は部屋の中になだれ込む。

 一行の中には司会者の男性もいて、この男性の指示に従ってそれからのセレモニーが進行する。まず、新郎は新婦のベッドの裾の床にひざまずいて新婦に花束を渡そうとするが、そうすることが決まりなのか、ぐずぐずとなかなか渡そうとしない。そのうちに1人の青年が業を煮やしたように背後から新郎を押し倒す。新郎は新婦の上にかぶさるようになり、周囲はどっと囃し立てる。


 新郎は新婦に持ってきた薔薇の花束を渡し、その中の1輪を新婦の胸元に挿す。


 そのうちに、誰かがごそごそと室内にあるピアノの辺りを探し回る。やがて何やら大声で歓声を上げ、紅い靴を差し上げ、皆が拍手する。これは找鞋(ジャオシエ)-靴を探す-と言うセレモニーで、鞋は邪と同音で、将来2人に何か良くないことが起こったら、それは新郎が邪を探したからだと言うことになるようだ。この靴を新郎は新婦に履かせる。


 これで新婦の部屋でのセレモニーは終わり、一同は部屋を出て居間に移った。