中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

マクワウリ

2008-08-05 08:15:55 | 身辺雑記
 養老の滝に上る道のそばで土地の農産物を売っていた。どれも新鮮そうだったが、その中にマクワウリ(真桑瓜)があった。久しぶりにマクワウリを見たので何となく懐かしくなり1個買った。200円だった。



 子どもの頃、夏の果物はスイカと並んでマクワウリだった。冷やしたマクワウリを食べるのは嬉しかった。中心の種子がある部分はかなり甘かったが。果肉はたいして甘くはなかったし、食感も名前のとおり瓜のようなものだったが、それでもメロンのような香りもあるので美味しいと思っていた。メロンとしては当時もマスクメロンはあったがやはり高級品でめったに口に入るものではなく、マクワウリで十分に満足していた。ウリはウリだが甘みがあるからなのか、アジウリ(味瓜)とも言っていた。

 古くから日本では食されてきたようで、2世紀ごろから美濃国(岐阜県南部)の真桑村(現在の本巣市)でよく作られていたのでマクワウリと呼ばれたようだ。養老の滝がある養老町も岐阜県の南部にあるから、このあたりでは今もかなり栽培されているのだろうか。明治の頃はこれをメロンと称して売られていたようで、その形を模したパンはメロンパンと呼び、これは今でもよく知られている。今のメロンパンは丸い形で、表面に格子上の筋が入っているが、初期のものは紡錘形をしていて、上に乗ったビスケット生地の表面には数本の溝が付いているその形が、マクワウリに似ているとされたようだ、

 今でこそ売られているメロンの種類は多く、どれも高品質でとても甘いが、そのはしりは1962年(昭和37年)に出たプリンスメロンで、このメロンによってメロンは大衆化した。プリンスメロンはマクワウリを父とし、ヨーロッパ種のメロンを母とした交配によってできた雑種で、たちまち父親のマクワウリを圧倒してしまった。

 家に持ち帰ったマクワウリは、一晩冷やしてから食べてみたが、やはり今時のメロンに慣れた口には物足りないものだった。ちょっとした旅で見かけたら買うこともあるだろうが、もしスーパーなどで売っていてもおそらくは買うことはないだろう。それに今の子ども達に食べさせても喜ばないだろう。かくてマクワウリは、ほとんど中高年者の思い出の中に生きるものとなってしまっているが、韓国では今でも夏場の果物として普通のもので、よく売られているそうだ。