中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

柔道

2008-08-16 20:31:41 | 身辺雑記
 北京オリンピックの柔道女子63キロ級で、谷本歩美選手が、フランスの選手を破って優勝した。豪快な内またを決め、胸のすくような勝ちっぷりだった。70キロ級でも上野雅恵選手が、すべて一本勝ちで金メダルをとった。

 谷本選手は、国際試合での最近の潮流であるポイントを取る柔道(点数柔道)に反発し、「一本を取る柔道がなくなってきていることに納得できない。誰かが守らないと。自分ができるなら背負っていきたい」と言っていたそうだ。その言や善しである。

 私は柔道をやったことがないし、国際試合のルールにも疎い。そんな私でも、最近の柔道の国際試合は面白くないように感じる。例えば、金メダル候補と騒がれた谷亮子選手がルーマニアの選手に敗れた準決勝の試合は、素人の私にはまったく面白くなかった。相手は谷選手に組まれることを嫌って終始避けるから、まるで猿の引っ掻き合いのような手つきで対峙するだけだ。そのうちに両者に警告が出る。それでも組もうとしない。そうこうしていると谷選手だけが「指導」を受け1ポイント失い、そのまま終了、敗退した。飛び上がって喜ぶルーマニア選手を見て、技でポイントを上げたわけでなく、相手の失点で勝った、こんな勝ち方でも勝ちなのだなとひどく白けた気分になった。この選手は決勝では相手に一本勝ちしたのだから、組めないことはないのだ。勝つことにこだわり、勝ち方を追求することは二の次にするようなことが、柔道の国際化、グローバル化がもたらした必然なのか。

 私は子どもの頃、「姿三四郎」の映画で豪快な一本背負いや巴投げの場面を見ると、胸がスカッとして、柔道とはこういうものかと思ったものだ。国際化に伴い欧米などの巨漢選手も登場して重量別になったから、小よく大を制するという豪快な場面を見ることは少なくなったが、それでも柔道の魅力は一本勝ちにあると思う。だから今回の大会で、予選からすべて一本を取る柔道で勝ち抜き、頂点に達した谷本選手や上野選手は素晴らしいと賞賛したい。これからも点数柔道の傾向はなくならないだろう。そのような潮流に逆らってはメダルは手に入らないのかも知れないが、せめて日本からは少しでもいいから、この2人のような選手が出てほしいと思う。