中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

飼い犬の想い出(2)

2009-08-26 09:26:30 | 身辺雑記
 新しく来たのはやはりメスのペキニーズで、前のメイメイとは違ってかなり活発な性格らしく、我が家に来るなり用意してあった寝る場所(ハウス)と周囲の間を行き来して、そのあたりにあった布切れなどの小さいものをハウスに取り込む様子が可愛くもありおかしくもあって、たちまち家の中は明るくなった。早速名前をということになり、息子達があれこれ考えた結果決めたのはノンノンだった。メイメイとは違って特に意味はなく、言葉の感じで決めたようだ。

 ノンノンはメイメイとは違ってかなりお転婆で、よく走り回ったり暴れたりしたが、元来穏やかな性格の犬種だから、成長するにしたがって落ち着いた。相変わらず息子達の愛情を集めたが、成長の途中で息子達は成人になり可愛がり方もメイメイの時とは違った。そのうちに息子達は家を出て結婚したので、我が家は私と妻とノンノンだけになった。メイメイにもそうだったが妻はノンノンもとても可愛がり、ノンノンも妻が大好きだった。いつも妻の後についてまわり、用事で外出するときには「お留守番よ」と言われるとクスンとしてハウスで丸くなっていた。


 それほど好きだった妻が12月に最後の入院をすると、ノンノンはすっかり元気をなくしてしまい、夜になっても寒い玄関にじっとうずくまってハウスに戻ろうとしなかった。そして妻が逝ってしまうとますます元気がなくなり体調も崩したようで、散歩に連れ出しても途中で立ち止まってぼんやりと考え込むような様子が、何か妻のことを思っているようで、「おかあさんはもう帰ってこないのだよ」と声をかけたこともあった。

 息子達と妻の弟の別荘に遊びに行ったときにS獣医の病院に預けたが、帰ってみるともう臨終の状態だった。入れられているケージの前に行くと身動きもしないので死んだかと思ったので「ノンノン」と声をかけるとかすかに目を開いてにじり寄るような様子を見せた。その姿に思わず涙が溢れ「おかあさんのところに行きなさい」と言うと小さく唸るように声を出し、前足を少し動かすとそのまま動かなくなった。大好きだった「おかあさん」という言葉を耳にして反応したのだろう。S獣医に後の始末を頼んで病院を出たが、ああこれで独りになってしまったのだなと思った。

 妻が逝ってから僅か2ヶ月後に後を追ったが、家族皆に見送られ、近所の動物霊園で供養してもらい、納骨もしたメイメイに比べてかわいそうな最後だった。14歳だった。妻が元気だったらもっと長生きしたかも知れない。そんなノンノンを思うと、今も哀れさに胸が詰まる思いがする。

 それ以来犬を飼っていないが、独居生活の寂しさがこたえてS獣医に相談すると猫を飼うことを勧められ、タウン紙を見て貰い受けたのが、今いるミーシャだ。猫は何もかもと言ってよいほど犬とは違うが、それでも心が慰められる存在になっている。