「星宿海への道」・・・宮本輝 著

中国本土を流れる黄河の源流と言われていた、「星宿海」

海から遠く離れた内陸にあるようですが、

小さな湖がたくさん集まっているところが、
まるで海に映った星のように見えるのでその名が付いたとか・・・


その「星宿海」をテーマにした
物語です。



辛い生い立ちの末に、母を亡くし、
８歳のときに里親に引き取られた雅人。

その義弟である、紀代志の回想から物語は始まります。


二人が兄弟となってから５０年がたち、
５８歳の時に、
雅人は中国旅行の際に中国のタクラマカン砂漠付近で自ら消息を絶ってしまうのですが・・・


雅人が想い続けた生母。
生母のふるさとは瀬戸内のどこか。


そして、瀬戸内にも「星宿海」があったのです。
亡き母の思い出は、雅人の娘に受け継がれていく・・・



静かな感動といったらいいのでしょうか、
雅人が何を考え、どういう気持ちで生活していたのか、
戦後の混乱のなかで、こういう生い立ちをした子供たちも
本当にいただろうな～