詰むや、詰まざるや(長谷川晶一 インプレス)
1992年と93年の西武とヤクルトの日本シリーズを、出場選手・監督のインタビューを中心に振り返るドキュメント。
印象に残ったこと。
●1992年第7戦 8回裏 この回からベンチに下がった清原が、先発した石井(丈)をベンチから大声で応援していた。石井は、「あんなスター選手が応援していくれている」と感激したという。
年齢も石井の方が上なのに、そんな風に感じるものなのだなあ、と意外に思った。同じチームの選手間でも無言の格付けみたいなものがあるんだなあ、ということと、ベンチからの応援って案外力になることもあるんだ、ということ。
●ギャンブルスタートがこの2年の日本シリーズで生まれたことは有名。それを考案したのは野村監督だが、この作戦が生まれた経緯が詳しく、かつわかりやすく書かれていた。それにしても野村さんってやっぱり偉大だよね。投手のクイックモーションをはじめとして、彼が始めて今や球界のスタンダードになった作戦は数多いが、その全てが彼一人の考察によって創造されたというのがすごい。
●当時のヤクルトのピッチャーがやたらと故障している。岡林、川崎、西村、伊藤、荒木等々。当時は今ほどには分業制はできていないから、今から見るとありえないような起用法が多いが、それにしてもエース級が軒並み故障というのは、使える、と見たら使い倒す野村さんの方針のせいだろうか???
●当時西武の伊東捕手は、試合中の配球をほぼ全て覚えていて、試合後のミーティングなどでソラでなぞることができたと、複数の人が証言している。コーチや監督で引く手あまたな理由がよくわかった。(ただ、伊東さんってテレビの解説でのしゃべりがイマイチなのが残念。解説中に次の配球とか聞かれるとズバリ当たることが多いのに、地のしゃべりが当たり前すぎることしかいわんような気がする)