コンテナ物語(マルク・レビンソン 日経BP)
今では当たり前のものに見える巨大コンテナ船の歴史は意外と浅く、1960年代にシーランドのマルコム・マクリーンを中心に、組合との協議や貧弱な港湾施設の改善とともに推進されてきた。
巨大コンテナ船による流通・貿易コストの劇的な低下がグローバルな分業体制の決定的要因になったことがうまく解説されていた。
海運関連会社は、船舶や港湾への過剰投資と不況による整理(立役者のマルコム・マクリーンも海運会社を破綻させている)を繰り返している。歴史を知る後世から見ると、「なぜ過ちを繰り返す?」と不思議に思える。
しかしそうしたサイクルを繰り返すことで海運業界全体としては拡大してきたわけで、巡り合わせが良ければ2021〜22年のように膨大な利益を計上できることもあるからやめられないのだろう。
同じようなことはどんな業界でもあって、典型的なのは半導体だろうか。そういうのを資本主義のダイナミズムというのかもしれない。
余談だが、コンテナを模した本書の装丁はなかなか素敵だ。