こわれた腕環(ゲド戦記2)(アーシュラ・ル・グイン)
多島海の東方?カルガド帝国のアチュアンでは大巫女が死に、その後継者として少女テナーが選ばれる。テナーは大巫女となるとアルハと名のり、その地位は帝国の大王にさえ脅かされないものとなった。アルハは神殿の地下に広がる大迷宮を探検し、そこに侵入者がいることを知る・・・という話。
ゲド戦記1は、ゲド(ハイタカ)が多島海をぐるりと経巡る話で、スケールの大きさを感じさせたし、冒頭に添えられた地図で航路をたどるお楽しみ?もよかった。
本書では、一転して舞台がアチュアンの神殿のみに限定され、狭苦しい迷宮をアルハとゲドがぐるぐる回る対照的な展開。冒頭の迷宮の地図?は戦記1のアースシーの地図に比べると、詳細さに欠け、話を読みながらたどることが難しいのは残念だった。
ファンタジーでは付属している地図が重要で、作品世界への没入感を高めるにはできるだけ詳細なものが望ましいと思う。
「炎と水の歌」シリーズの地図の出来のよさは印象に残っているし、グイン・サーガも刊が深まるに連れ詳しくなっていったのは、そういったファン心理をよく理解していたからではないかと思う。