蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

なずな

2024年11月20日 | 本の感想
なずな(堀江敏幸 集英社)

菱山秀一は45歳独身で地方紙の記者。弟夫婦の生後2ヶ月の娘なずなを(夫婦が病気や怪我で育児できなくなったので)預かることになる。未経験の乳児の世話に苦戦するが、新聞社は時短&在宅を認めてもらい、近所の医者やいきつけの居酒屋のママに助けられ、育児に慣れていく・・・という話。

2011年末ころ、本の雑誌ランキング1位というオビの宣伝文句にひかれ、また、著者らしくない?分厚いフィクション?ということで買ったのだが、以来十数年、全く読まずにいた。
引っ越しするときに発見して、10年以上経つのに、1ページも読まずに押入れの奥にあったので、出来立ての新刊のような外観に驚き?読んでみた。

フィクションなんだけど、400ページ以上あるのに、事件や波乱は全く起こらず(冒頭でボヤ未遂があるくらい)時間がゆったりゆったり流れて、主役のはずのなずなの登場場面は非常に短くて、菱山さんの子育てエッセイみたいな感じ。
そのくせ、読んでいても飽きず、毎日寝る前に30ページずつ読んだのだが、割と幸せに入眠することができた。
コメント
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