蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

グレイスは死んだのか

2024年12月11日 | 本の感想
グレイスは死んだのか(赤松りかこ 新潮社)

動物病院でグレイス(4歳メス)は衰弱していた。原因がわからず女医は苦慮する。グレイスの飼い主は30歳くらいの男で競馬の調教師をしている。男とグレイスは登山中にがけ崩れで遭難し長期間山中をさまよっていたことがあった・・・という話。

著者は獣医で、もう一つの収録作「シャーマンと爆弾男」(町中の小さな川べりを主人公が彷徨う話)で新人賞を取ってデビューしたらしい。

表題作のテーマは飼い主と犬の関係性で、遭難して食料や水に事欠くようになった極限状態において展開される異様な立場逆転は迫力がある。
なので、エンタメ風に読みやすく書いてくれれば、より多人気がでたのではないかと思うが、あまりに文章が”文学的”で必要以上にこねくり回した表現になっているように感じた。
コメント
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