さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

芒種・蟷螂生ず~佐伯祐三展

2023-06-05 | たわごと・できごと
新暦の、およそ6月5日~9日ごろの今の時期は
旧暦では芒種の初候、
「蟷螂生ず(かまきりしょうず)」
です。

芒種とは、
稲や麦など穂の出る植物の種を蒔くころのこと。

蟷螂生ず とは、
かまきりが生まれるころ。
かまきりは、稲や野菜には手をつけず、
害虫を捕まえてくれるのだそうですね。

先日は、お誘いをいただき
「佐伯祐三展」におでかけしました。
昨年できたばかりの大阪中之島美術館です。
近くの中之島公会堂には、そのころ通っていた合唱団の練習会場として
毎週のように出かけていたころがありましたが、
中之島を訪ねるのも、ひさしぶりのことでした。

 

近頃は、美術展会場での撮影がOKのことが多くなっていますね。
 「この絵は撮っちゃダメよ」
という表示のあるもの以外は許可されていました。

日本からパリへ。
いったん帰国してから、再びパリへ。
そのパリで、30歳という若さで帰らぬ人となった佐伯祐三ですが、
およそ10年ほどの画家としての活動期間に、数多くの作品をのこしました。

親しい人々の死や、自身の病弱さという人生の困難の中で、
自分の絵に迷い悩みつづけ、
ブラマンクやユトリロの影響を受けつつも、
自身の絵を確立してゆくさまが感じられるような美術展でした。
節目節目で、その色合い、筆遣いが、絵が変わってゆくのがわかります。

 

 

 

 

 


 
「人形」

風景画が多い中で、心魅かれた静物画のひとつがこの絵です。
生きた少女のような存在感のあるこの絵のモデルはお人形。
佐伯祐三がひとめぼれして買いもとめ、
当座の生活費に困って知人に借金したり、日本から送金してもらった??
などのエピソードがあるらしく、なんだか親しみがわいてほほえましい。。。


 
「レ・ジュ・ド・ノエル」

 
「酒場」(オー・カーヴ・ブルー)

 
「靴屋」(コルドヌリ)

 
「バーの入り口」

 
「共同便所」


 
「モランの寺」

 
「煉瓦焼場」

 
「扉」

 

もう外に出て絵を描く体力のなくなった佐伯祐三が、
モデルを頼んで家の中で描いた、絶筆といえる「郵便配達夫」。
いのちの灯が消えかかっている人とは思えぬエネルギーを、
力強さを感じます。
あるいは、だからこそ、なのでしょうか。


 亡き画家と対話している美術展 さくら



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする