「ユベラ」という薬の名前は誰もが耳にした事があると思います。私は以前からユベラが漫然と投与されているケースに疑問を感じていました。
体内では絶えず活性酸素という毒性のある物質が生まれていて、活性酸素はコレステロールや中性脂肪を酸化して過酸化脂質を作り、それが動脈硬化の原因となっています。ビタミンEはこの酸化を阻害するので、ベータカロチンと並んで抗酸化ビタミンと呼ばれ、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞や、さらには癌を予防すると言われていました。しかしこれらの実験は試験管内や培養細胞での結果であり、実際に人が内服した調査の結果がでたのは最近の事です。
さて、ビタミンEは動脈硬化を予防するので心筋梗塞や脳梗塞の予防に有用だとテレビや新聞は盛んに伝えています。しかし不思議なことに、そんなデータはどこにもありません。Lancet. 2003;361:2017. からの報告です。(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)インパクトファクター、研究対象人数ともに申し分ありません。
この報告は、1つの研究で1,000人以上が調査されている7つの報告をまとめたものです。合計81,788人が対象になり、1.4年から12年間調査されました。ビタミンE内服群では非内服群と比較して全ての要因による死亡率(11.3% vs 11.1%, P = 0.42)、心筋梗塞の死亡率(6.0% vs 6.0%, P=0.86)、脳梗塞の発症率(3.6% vs 3.5%, P = 0.31)のいずれも改善されていませんでした。
さらに驚くべき事に、ベータカロチンの内服は若干ながら全ての要因による死亡率を増やし (7.4% vs 7.0%, P = 0.003)、心筋梗塞の死亡率を増やしてしまいました(3.4% vs 3.1%, P = 0.003)。
これらの結果から、この論文ではビタミンEの日常的な使用を支持できないとしています。
今月発表されたばかりの報告でもJ Hypertens. 2005;23:2013. (インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)、5,086人を6.5年調査したがビタミンEの内服は高血圧に全く効果がなかった(相対危険率1.04)とあります。
さてここで「おくすり110番」で「ユベラ」に関する解説を見てみましょう。
「ユベラはニコチン酸とビタミンEを合わせた薬です。ニコチン酸には、血液中の脂肪分を低下させ血行をよくする作用があります。また、ビタミンEには活性酸素をおさえ過酸化脂質を減らす働きがあると言われています。強力な作用はありませんが、副作用の少ないおだやかな薬として、古くから多用されています。この薬は血液中の脂肪分を減らします。動脈硬化をおさえ、将来起こるかもしれない心筋梗塞の予防効果が期待できます。」
ユベラニコチネートは1錠100mgが7円で、1日300mg~600mgを処方する事になっています。1日最低21円、5年で38,325円。心筋梗塞の予防効果が「期待された」だけで、こんな物質が漫然と処方されていてよいのでしょうか。これこそ医療費の無駄使いです。たとえ血液中の脂肪分を減らすとしても、心筋梗塞や脳梗塞を減らすレベルでなければ意味がありません。
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体内では絶えず活性酸素という毒性のある物質が生まれていて、活性酸素はコレステロールや中性脂肪を酸化して過酸化脂質を作り、それが動脈硬化の原因となっています。ビタミンEはこの酸化を阻害するので、ベータカロチンと並んで抗酸化ビタミンと呼ばれ、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞や、さらには癌を予防すると言われていました。しかしこれらの実験は試験管内や培養細胞での結果であり、実際に人が内服した調査の結果がでたのは最近の事です。
さて、ビタミンEは動脈硬化を予防するので心筋梗塞や脳梗塞の予防に有用だとテレビや新聞は盛んに伝えています。しかし不思議なことに、そんなデータはどこにもありません。Lancet. 2003;361:2017. からの報告です。(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)インパクトファクター、研究対象人数ともに申し分ありません。
この報告は、1つの研究で1,000人以上が調査されている7つの報告をまとめたものです。合計81,788人が対象になり、1.4年から12年間調査されました。ビタミンE内服群では非内服群と比較して全ての要因による死亡率(11.3% vs 11.1%, P = 0.42)、心筋梗塞の死亡率(6.0% vs 6.0%, P=0.86)、脳梗塞の発症率(3.6% vs 3.5%, P = 0.31)のいずれも改善されていませんでした。
さらに驚くべき事に、ベータカロチンの内服は若干ながら全ての要因による死亡率を増やし (7.4% vs 7.0%, P = 0.003)、心筋梗塞の死亡率を増やしてしまいました(3.4% vs 3.1%, P = 0.003)。
これらの結果から、この論文ではビタミンEの日常的な使用を支持できないとしています。
今月発表されたばかりの報告でもJ Hypertens. 2005;23:2013. (インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)、5,086人を6.5年調査したがビタミンEの内服は高血圧に全く効果がなかった(相対危険率1.04)とあります。
さてここで「おくすり110番」で「ユベラ」に関する解説を見てみましょう。
「ユベラはニコチン酸とビタミンEを合わせた薬です。ニコチン酸には、血液中の脂肪分を低下させ血行をよくする作用があります。また、ビタミンEには活性酸素をおさえ過酸化脂質を減らす働きがあると言われています。強力な作用はありませんが、副作用の少ないおだやかな薬として、古くから多用されています。この薬は血液中の脂肪分を減らします。動脈硬化をおさえ、将来起こるかもしれない心筋梗塞の予防効果が期待できます。」
ユベラニコチネートは1錠100mgが7円で、1日300mg~600mgを処方する事になっています。1日最低21円、5年で38,325円。心筋梗塞の予防効果が「期待された」だけで、こんな物質が漫然と処方されていてよいのでしょうか。これこそ医療費の無駄使いです。たとえ血液中の脂肪分を減らすとしても、心筋梗塞や脳梗塞を減らすレベルでなければ意味がありません。
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