医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

タミフルの有効性

2007年11月16日 | インフルエンザ
インフルエンザの季節になってきました。インフルエンザの治療薬タミフルがいったいどれくらい有効なのかという事はあまり知られていないようです。

タミフルはリン酸オセルタミビルといってヒトA型、B型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたインフルエンザウイルスが感染細胞から遊離することを阻害することによりウイルスの増殖を抑制します。

Journal of American Medical Association. 2000;283:1016.からの報告です。
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★☆☆)

18歳から65歳までで発熱性の呼吸器症状があり38℃以上の発熱が36時間以上続いていない629人が対象となりました。タミフル75mgを一日二回内服する群(211人)(日本での通常量です)と、150mgを一日二回内服する群(209人)と、プラセボ群(209人)(タミフルと同じ形の偽薬を処方する群。この研究の調査がアンケートに基づいているために、単に内服しないというだけでは、内服していないから調子が悪いなどという先入観が結果を左右してしまうため)に分けられました。

全体の59.6%がインフルエンザだと確定診断されました。もちろん確定診断されなかった人でもインフルエンザの可能性はあります。

症状のある期間はプラセボ群が97時間、75mg投与群が76時間、150mg投与群が74時間でタミフルが有意に病期を短くしました。

病状は詳しくスコアー化されていているのですが、プラセボ群が686、75mg投与群が629、150mg投与群が887で、タミフル投与群で有意に改善されていました。

副作用として、嘔気と嘔吐がタミフル投与群でそれぞれ18.0%、14.1%認められ、プラセボ群の7.4%、3.4%と比較して有意に多かったようです。

タミフル75mgを一日二回内服すれば、内服しない場合の病期4日を1日短くする事が出来ます。内服しても病期は3日間ですから過剰な期待は禁物です。

ちなみに、タミフル75mgの薬価は363.7円で治療に用いる場合は5日間内服するので合計3,637円で3割負担だと約1,090円。予防に用いる場合は7日間の内服が必要で、保険が効かないので合計5,090円です。




ランキングに参加しています。できるだけ多くの方にこのブログを見ていただくためにも、ここをポチッとご協力宜しくお願い致します。

クリック、宜しくお願いします



↓こちらもぽちっとよろしくネ

なかのひと

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メタボリック症候群、診断基... | トップ | 小児に対するインフルエンザ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

インフルエンザ」カテゴリの最新記事