夕景
とまりぎ 駅のホームから富士を探す。
ビルがなかったころはよく見えたのだが、ビルとビルの隙間に頭が見える。
夕暮時のほんのわずかの時間だけ、見える。
山梨県の犬目峠へ行ったときに、やはり夕方のことだった。
富士の見える空き地にふたりの人が立っていたので、聴いてみるとこれから日没前の富士の写真を撮るということだった。
暗くなる前に太陽の紅が右側を照らして、浮かび上がるように見えた。
近くの宿に泊まることになっていたから、翌日は早朝の富士が左側を紅色にしていくのをじっと見つめた。
「とまりぎ」の5人で行ったときのことだった。