港の見える丘公園からさらに奥に進み、県立神奈川近代文学館で開催されている特別展「巨星・松本清張」(5月12日で終了)を見に行きました。場所は、大佛次郎記念館のわきから霧笛橋を渡った先となります。
円い展示室を2つ並べた形が個性的。緑の中のすてきなミュージアムです。
昭和を代表する作家、松本清張の作家人生を、約400点の資料とともにに紹介する企画展です。膨大で多岐にわたる作品の中には映像化されたものも多く、展示内容は変化に富んでいて、興味深く見れました。
松本清張といえば、戦後の経済成長の陰にひそむ心の闇を描いた社会派の推理小説を数多く残していて、私も一時期夢中になって読んでいました。「砂の器」「点と線」「ゼロの焦点」などは何度も映像化されている代表作ですが、最近では、男性社会の陰で暗躍する女性たちを描いた「けものみち」「黒革の手帳」なども話題になりました。
私が好きな作品をひとつあげるとしたら、短編小説の山岳ミステリー「遭難」です。緻密に計画された殺人と、登山日誌をもとに真相を暴く登山家。殺人者と登山家の緊張感あふれる心理的かけひきに、ぞくぞくするような興奮と、静かな感動を味わいました。
遺品の万年筆とインクボトル
松本清張といえば推理小説のイメージが強いですが、古代史や近・現代史、ノンフィクションや実在の人物を評した作品も、数多く残しています。
清張と同じ福岡出身の2人の洋画家、青木繁と坂本繁二郎の評伝を書いていると知り、興味を持ちました。またノンフィクションの「日本の黒い霧」や、事実から真相究明を試みる「小説帝銀事件」も、いつか読んでみたい作品です。
取材旅行先のパリで