瞳さんがご紹介されていて、おもしろう!と思った「レベッカ」をNetflixで見ました。ヒッチコック監督の1940年の同名作品のリメイクです。
ヒッチコックの「レベッカ」は残念ながら未見ですが、大きなお屋敷の御曹司に嫁いだ若い後妻が、亡くなった前の妻の影におびえながら暮らすうちに精神のバランスを崩していく...というストーリーはなんとなく知っていました。
でも前妻の秘密については全く知らなかったので、後半の思いがけない展開に引き込まれました。序盤は、リリー・ジェイムズ演じるヒロインの抜け目のなさに、ちょっと眉をひそめてしまったのですが
後半はしっかり、夫を支える妻の顔になっていましたね。二人の間に隠し事がなくなり、二人それぞれの心の中からレベッカという亡霊を追いやることでができて、ようやくふつうの夫婦らしくなれたのではないでしょうか。
レベッカの置き土産ともいうべきダンヴァース夫人 (クリスティン・スコット・トーマス)。そしてレベッカの悪しき記憶が染みついたマンダレイのお屋敷。すべてが無に帰す結末は、二人が新しい一歩を踏み出すための最高のエンディングと言えそうです。
冒頭のモンテカルロでの優雅なバカンス。風光明媚な風景、ゴージャスなリゾートホテル、クラシックなファッションの数々にうっとりしました。
それから、舞台が変わってマキシム (アーミー・ハマー) が先祖代々から受け継いだマンダレイの壮麗なお屋敷、豪華なお部屋や、調度品のすばらしさに目をうばわれました。
本作「プライドと偏見」(Pride and Prejudice)「つぐない」(Atonement)のスタッフが関わっていると知り、なるほど!と納得しました。どちらもイギリスのクラシカルな雰囲気がたっぷり味わえて、大好きな作品です。
リリー・ジェイムズの愛らしいファッションにも目が釘付けでした。豪華なドレスよりも、日々の何気ない装いの方が若々しさが感じられて、似合っていたような気がします。
モンテカルロのリゾートで、初めてのデートで着ていたのはリバティのブラウス。ミセス・ハリスといい、当時のイギリスではメイドさんの間で人気があったのでしょうか?
アーミー・ハマーの貴公子ぶりもさまになっていましたが、圧巻だったのはクリスティン・スコット・トーマス。ねちねちとした小姑ぶりに、再就職した時の意地悪な先輩を思い出しちゃいました。
最初は新妻への嫉妬?と思いましたが、長年仕えた奥様への異常ともいうべき忠誠心だったのですね。「日の名残り」(The Remains of the Day) の執事を思い出しましたが、イギリスの執事、メイド文化恐るべしです。