だいぶ間があいてしまいましたが、京都旅行記(2023・夏)の続きです。前回までの記事はこちら。
1.京都旅行記(2023・夏)松粂さんのミニ会席 ~ 鹿苑寺 (金閣寺)
2.京都旅行記(2023・夏)新島旧邸 ~ kawaCOFFEE
3.京都旅行記(2023・夏)草風土 うしのほね @先斗町
4.京都旅行記(2023・夏)高木珈琲店のモーニング
5.京都旅行記(2023・夏)畳アート @東福寺光明院
畳アートを見た後は、東山五条のオムライス屋さんでお昼をいただいてから、河井寛次郎記念館を訪れました。
清水寺からほど近い住宅街にある、味わいのあるこのお家は、柳宗悦、浜田庄司らとともに民藝運動に携わった、陶芸家の河井寛次郎が生前住んでいた住宅で、現在は寛次郎の記念館となっています。
太い梁と柱、どっしりと風格のある住宅に、寛次郎のぽってりとした厚みのある陶芸作品、ひいては日々の暮らしを見つめ続けた、寛次郎の実直な生き方に通じるものを感じました。
古風で伝統的な日本住宅ながら、どことなくモダンで粋なところも感じられるすてきなお家でした。
住宅から長く続く廊下を通って、奥の窯のあるエリアへと向かいます。白砂が敷かれたシンプルな中庭に、凛とした清潔感を感じました。
廊下にはガラスのケースがあり、寛次郎の作品が展示されていました。ルーシー・リーを思わせる美しいローズピンクにうっとりしました。
八角形ですが、角の取れた四角形といった感じで、やわらかさを感じる器です。温かみのある青色と、幾何学模様の美しさに惹かれました。
寛次郎の作品を見ると、飾りたいというよりは、日常生活に取り入れて日々大切に使ってみたい、と思います。まさに民藝運動が目指した用の美、ここに極まれりです。
廊下を抜けたところから奥は、窯のある作業場となります。これは素焼窯。乾燥した粘土の段階の作品は、この窯に入れて焼きます。
奥の離れも、趣のある建物で、庇に藤棚がありました。この離れにも、寛次郎の作品のほか、東京高等工業学校 (現・東京工業大学) の窯業科を卒業した寛次郎の、克明に記された勉強ノートなどが展示されていました。
さらに奥にある登り窯です。素焼きにした作品は、釉薬をかけた後、この窯で焼きます。登り窯は共同窯で、近隣の20軒が使っていたそうです。このあたりは清水寺に近いので、清水焼の窯元がたくさん集まっていたのでしょうか。
登り窯には階段状に窯が並んでいます。
各窯の室は、こんな風になっています。
再び住宅にもどって、今度は2階に上がってみることにしました。奥に見える階段を上ります。階段の下に収納がついていて、家具のようになっています。
寛次郎の書斎です。
再び1階にもどりました。お座敷の中央に寛次郎のオブジェがあります。
寛次郎は猫を飼っていたようで、今も看板猫が受け継がれていました。ちょっぴりおデブな猫ちゃんが気持ちよさそうにお昼寝の最中でした。
寛次郎の作品、寛次郎の暮らしぶりに触れ、東京にもどったら、寛次郎らが開館に携わった駒場の日本民藝館も訪れよう、と心に決めました。
これで京都旅行記(2023・夏)の〆といたします。長々とおつきありくださり、ありがとうございました。