セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

マティアス&マキシム

2020年10月04日 | 映画

グザヴィエ・ドラン監督の最新作は、恋と友情の間で揺れる青春ラブストーリーです。

マティアス&マキシム (Matthias et Maxime / Matthias & Maxime)

楽しみにしていたグザヴィエ・ドランの最新作を、早速初日に見に行ってきました。「ブックスマート」「ミッドナインティーズ」と最近の私はなぜか青春映画づいていますが、本作も偶然ながら青春映画。ドラン自身もマキシム役で出演しています。

友人の湖畔の別荘でバカンスをすごすマキシムたち。仲間のひとりが撮る短編映画に出ることになったマキシムと幼馴染のマティアスが、キスシーンがきっかけでお互いの秘めたる思いに気づくという物語です。

湖畔のバカンスで生まれるこのラブストーリーは、ドランが「君の名前で僕を呼んで」にインスパイアされて作ったとのことですが、これまでのドラン作品の一環したテーマである、男性同士の恋愛と、母と息子の確執が、本作でも重要なテーマとして描かれています。

婚約者がいて、新しい仕事に就き、順風満帆な生活を手に入れつつあるマティアス。一方のマキシムは老いた母の世話を叔母に託し、オーストラリアで2年間暮らす手はずを整えます。しかし2人は互いに芽生えた感情にとまどい、先に進めずにいるのでした。

うーん、私は男性同士の恋愛よりも、30歳にして生活の基盤を築こうとせずにふらふらしている2人に、どちらかというともやもやしてしまいました。^^; 失恋の痛みを忘れるために海外に逃避するってどうなんだろう。

マキシムにオーストラリアに行って欲しくなくて?頼まれていた手続きを止めていたというマティアスの行動にも疑問を持ちましたし、そのことを知ってうれし涙を流す?マキシムにも疑問を感じてしまいました。

今後の行く末は、映画を見る人の想像に委ねられていましたが、2人には自分の気持ちに正直に、そしてしっかり地に足をつけて生きて欲しいと願ってやみませんでした。

本作は、ドランのホームグラウンドであるフランス語圏ケベックが舞台ですが、仏語と英語のカナダでの位置づけがさりげなく描かれていたのも興味深かったです。アメリカだと仏語はおしゃれなイメージですが、カナダでは英語がパワーワードになっているのだな、と。

マキシムの仲間たちが、強気になる時や内緒話の時に英語を使ったり、トロントからやってきたビジネスマンが上から目線で英語を使ったり。ラスト近くで、マキシムがたどたどしく話す英語もかわいかったです。

コメント (8)