@現職の未来は、決して明るくはない。IT・AI/ロボットにより今ある職種が消滅、交代(後退)、統合、もしくは入替え時代がもう始まっているからだ。既に多くの記事等で紹介されている通り、消える職種が多い、そして人は失業・転職を余儀なくされる。が、ここ日本にとっては決して悪いことばかりではない。それは今の「人材不足」、「退職者増」など、空席に時代が変わるたび新たな職種も増えていることである。ところが希望に見合う給与、待遇は果たして見つかるかどうか、現存の職種では選択の余裕はないに違いない。3K等の職種・求人は無くなる事は無いが、待遇面と中長期雇用は難しい。今の内に適職をいち早く察知し、備えることが必要だ。この書は「グローバリゼーション」(モノ・アイデア・ヒトの移動が時短軽減になること)からの変化を示しているが、特に「距離」革新で未来の新職種もチラホラ予測できる。いくつかある中、ヒント2つ。「人が世界を自由に移動できるとしたらどんな職種が生まれるか」、「人ではなく技術でその移動をカバーできるとなればどんな職種が生まれるか」。それは高技能者(ICT技能者)、専門家(あらゆる分野の知識経験者)などである。だが中途半端な知識・経験ではベストな職種を得られないことだ。その為に何をするか。 それは、人に上手く、充実した内容を教えられる程度のスキルを持つことだ。今からすることの一つは、他の人と比べ自分の得意なスキルとスキルレベルを認知し、更に補強強化、勉強・経験することだ。職種で人間関係を上手く築く(会社組織の重要な要素)が嫌いであれば、ベストは、「起業」する事だろう。
『世界経済、大いなる収斂』リチャード・ボールドウイン
- 「グローバリゼーションを考える3つのコスト」
- モノ・アイディア・人のコスト
- 「グローバルバリューチェーン革命」とは
- 生産工程の移転に不可欠な要素
- マーケティング・経営管理・技術のノウハウ
- グローバリゼーションのもとで「距離」の役割が変わった
- 「グローバリゼーションの4つの局面」
- フェイズ1:人類が地球上に広く拡散する
- 食料の生産は特定の場所や季節と結びつく
- 人が食料のあるところに移動
- フェイズ2:グローバル経済がローカル化する
- 農業革命によって食料を人のいる場所で生産
- フェイズ3:ローカル経済がグローバル化する
- 蒸気革命と産業革命によって距離との関係が完全に変化
- 近郊の諸外国との物貿易が盛況
- フェイズ4:工場がグローバル化する
- 情報通信技術革命により世界の工業化が進化
- 輸送技術改革で貿易コストが劇的に低減
- 高効率の動力で工業化が進み輸送への需要が拡大
- ガット体制のもとで貿易の国際ルールが確立・関税を引き下げ
- 都市化が特に北(アメリカ・欧州・日本・G7)で加速
- 「ICT革命」3本の鎖
- 情報インフォメーション(計算コストとデータ保存コスト)
- 通信コミニケーション(伝送技術の進化)
- 技術テクノロジ(組織編成)
- 「GDPシェアのシフト」
- G7のグローバルGDPに占める世界シェアは1990年には3分の2だったのが今では半分を割り込んでいる。その勝ち組にいるのが中国、インド、ブラジル、インドネシア、韓国等である。その政策は:
- 国内関税を撤廃し、インフラを整えて国内市場を統一
- 対外的な関税障壁を築いて製品の競争力を削ぐ
- 産業投資に資金を供給し通貨を安定
- 大衆教育を確立して人材を農場から工場への移行
- 生産工程を細分化、生産工程を近隣の低賃金国に移転
- 国際生産ネットワーク化し、ノウハウを売り込む
- 「都市化」
- 都市の規模が拡大、他国と結びつく(生産性向上)
- 都市の通信コスト節約・人々がアイデアを交換する場と化す(関係構築)
- 都市の技術革新と市場拡大・スタートアップ企業勃興(起業化)
- サプライチェーン保証とオフシェアリング保証の確立
- 「成長の論理」
- 物的資本(機械・インフラ)
- 人的資本(技能・訓練・経験)
- 社会資本(信頼・法の支配・社会正義感)
- 知識資本(テクノロジー・製品開発)
- 「人的資本が鍵」
- 新しく創造された資本(人材)は、報酬が一番高い国へと流れやすい、よって海外で教育を受けた高技能労働者を呼び込む政策が必要となる
- 「イノベーションは取り巻く生態系全体で決まる。イノベーションの拠点を移動させるには伝統的な製造業を移動させるよりも難しい」
- 「ダイソンの生産拠点をマレーシアに移転した例は、実質的に賃金率も付加価値の水準も上げた。2020年までにはイギリスで3千人規模の科学者とエンジニアの雇用を生み出すことを発表」
- 「知識経済はその性質上、伝統産業以上に地理的に集積する傾向がある。熟練労働者や良い仕事を呼び込むことができるコミュニティには、熟練労働者やよい仕事がさらに集まる傾向があるので、成功した都市はますます発展する。熟練労働者を呼び込めないコミュニティには、どんどん沈んでいく。」
- 「21世紀には、都市に高学歴の人々が集積し、スタートアップ企業が栄え、顔を合わせた交流が盛んになって、生産性が高まる。そして都市の生産性はますます上がる」
- 「先進国の経済政策」
- 豊かな国は、競争力に関連する政策、成長政策、産業政策、貿易政策、社会政策を組み立て直す必要がある。2つのポイント
- 1、財産権の保障
- 2、国際生産ネットワークでの阻害をとり除く政策
- 世界レベルのビジネスサービスの提供
- 人々の移動しやすい環境
- 成果物、生産物の速やかで確実に移動できる体制
- 「生産拠点における改善」ベトナム・ハイハ社の取り組み例
- 「5つのS」他者との差別化と生産性向上
- ソーティング(選別)
- スタビライジング(固定)
- シャイニング(美化)
- スタンダーダイジング(標準化)
- サステイニング(持続)
- 最終的な問題は「市場の変化」を如何に「生産工程の実行」に移すか
- 「グローバリゼーションの未来」
- 大いなる収斂は給与賃金が豊かな国・企業へと移動する
- 物・アイデア・人が国境を越えて移動するコストを低減
- 通信技術・情報技術による統合技術での注目は
- テレプレゼンス(遠隔会議・面談システム)
- テレロボティクス(遠隔ロボット操作システム)
- (等身大の映像で映し出すことでのリアリティー性)
- 3Dプリンティングによる製造革命
- 今後の予測発展途上国は東アフリカ(欧州・に近い)
- 「2つの未来予測」
- 1、貿易による賃金格差ではなく企業レベルの卓越性が基本
- より高度な中間財を生産(量から質・性能)
- 2、ITの進化によってタスクが関係した職種が変わる
- 技能集約度の高い職種
- 「人を移動させるコストが急激に下がり、入国・移住の阻害要因も無くなりつつある」