@「女の妬みは怖い」とはこの捕物小説である。女と女の妬み、自分たちより可愛く、美人と言われた女が自分たち以上の格上の旗本奉公先の話が出た事で、その女を妬み、傷物にするべく遊び人に暴漢依頼、それが原因で女は死んでしまう。女・娘の死を恨んだ育ての親が暴漢した者を殺害していく複雑に仕組まれた捕物小説だ。ここで思うことは「人の妬み、恨みは終わりが無い」程に人の心も動かされることである。やはり人間はどうしても「妬み」が何処かにあるものだが、それを表に出す事でいい事は無い。初めは些細な妬みことで事でも、思った以上に最悪な状態になってしまう事は人生何度かあるものだ。それに自分の思い違いなども多々ある、気が付いた時には取り返しのつかない事になる場合もある。ただ、結果が最悪の場合、人生のやり直しは非常に難しく、時に時間が必要な場合すらある。現代は、特に目先の事ばかり(嫉妬、妬み、陰口)気に掛かける人も多くなった気がするが、自分を知り、他人を思いやり、何事も急がずじっくり考え、欲を出さず自分ができる範囲で行動したいものだ。
『江戸の検屍官 女地獄』川田弥一郎
- 夜鷹の稼ぎ場所・柳原堤で凍りついた男の死体が発見された。男の自業自得なのか、それとも凍死に見せかけた殺しか。探索で謎の夜鷹、紫の影が浮かび上がるのだが。 江戸の検屍官こと北町奉行所定町回りの同心北沢彦太郎が医師玄海、絵師お月とともに事件の隠された真相に迫る。
- 主な登場人物
- 彦次郎・同心
- お竹・お玉と市次郎の娘
- お弓・商人の娘
- 卯吉・商人の次男・遊び人、仲間がもう一人
- 市次郎・職人
- 八重・商人の娘
- お玉・市次郎の年の差がある妻・お竹の育ての母親(名前を変える)
- 館・同心・お玉と関係を持つ
- 二人の男の他殺事件を同心彦次郎が捜査するが、浮かび上がったのは美人の女。証拠も手探りするものが少なく、別件の他殺事件の依頼があり捜査する。それは美人のお竹が強姦にあい破傷風で亡くなる。それから他の二人(お弓と八重)の娘の話からお竹の奉公先が旗本で、それに妬みを持ったお弓と八重が卯吉と仲間にお竹を強姦するように依頼、それが思いもよらず死亡した事で、父である市次郎が恨みで卯吉とお弓を殺害、お玉も仲間を殺害、最後に残った八重を暗殺を実行するが別の同心館に捕らえられ拷問される。お玉が死亡したと報告したがお玉も館の弱みである枕絵(淫乱絵)を餌に偽装させ逃した。