@「政治家の役割は問題を提起、説明すること、国民はその提起をどのように判断するかを議論、決定する」とはこの書にある言葉。世の中、どれを選択、決定しても不満が残る時代となっている「選択不可能な選択」である。それは、最大多数を持って決定する「民主主義」にも問題が残る。民主主義・資本主義の課題は多いし、これからも数多く矛盾と不満が発生するだろう。現代はSNS,Twitterなど発信力は少数派にも有利に働き、少数派意見をシンプルに反古にできない環境にある。だから政治家にとっては「役割」(提起・説明)することで最後は国民・有権者に任す方法を考えなくてはならない。また政治も官僚体制に頼りっぱなしではなく政治家としての判断材料をもっと持つべきだと考える。
『欲望の民主主義』丸山俊一
- 「Book Data出典」世界中で民主主義が劣化している。アメリカのトランプ現象、イギリスのEU離脱、フランス極右政党の台頭など、多数の民意を反映した選択は、目先の利益のみを優先し、自国の生き残りを賭けたものばかりだ。協調、協和といった精神からかけ離れたむき出しの欲望が民主主義と結びつき、社会の分断は加速する。今、世界の知性たちは何を考えるのか―人々の心の闇を見続けてきた老練な社会心理学者から、若き天才哲学者まで六人が考察する政治変動の深層と、民主主義の混迷。世界の現実を知る必読書。
- 「民主主義の課題」
- グローバル化=人・物・金が移動する、共存し合うことでの課題
- 思想・宗教・習慣・物価格差・生活レベル差・言葉・食
- トランプのTPP・NAFTAからの離脱
- イギリスEU離脱
- 移民問題・保護主義
- 代表制民主主義=政治家の利権・権威・欲望vs 国民の問題
- 国民=有権者vs 政治家=代表者との認識のズレ
- 政治家は諸問題を明確に提示すべきだが政治家の意識不足
- 有権者の政治不信、政治家不信(恩恵不足)
- 分極化=エリート層だけの政治・経済思案発想(官僚体制・弱肉強食)
- 競争のための試験はエリート層が作る(高学歴者囲い込み)
- 極右ポピュリスト政治家の出現(多くの政党政治が発起)
- グローバル化=人・物・金が移動する、共存し合うことでの課題
- 「今の民主主義は」・「失われつつある民主主義」
- 渇望、不安から欲望が欲望を生み出した資本主義
- 恐怖を煽ることで人間の欲望を手なずける政治が横行
- 個人・自国の利害(欲望)関係のみの政治政策実行
- フェイクニュースを作り出し有利に働きかける体制(メディア規制)
- 多数決採用は弱者を無視すること・最大多数が衆愚政治を招く
- 恩恵のない政治に対して関心度低下(市民生活との繋がりがない)
- ポピュリスト勢力(シンプル化は反対だけで問題処理も単純)
- 国(官僚体制)が全てを管理下に置き政治力を行使
- 「我々は何を民主主義に期待しているのか」
- お互いに矛盾するものの間での均衡を実現する社会を作り出す
- 政治家の役割は問題解決ではなく、問題提起、説明すること
- 有権者の自由・理性を持った発言(話し合いの場)と行動採用
- 「嫌悪を生む欲望」ではなく未来「希望」に基づいた社会の構築
- 暴力をコントルールするには大きなツールは唯一「言葉」になる
- 「声なき声・者を尊重すること」
- どの選択肢も無理のある時代「選択不可能な選択」を迎えている
- 国(官僚制度)から地方(団体)への権限委譲・分散化の可能性
- 「ポスト真実」から「ポスト構造主義」
- 「言葉の由来」
「右翼」「左翼」の言葉の発祥はパリバスティーユ監獄での裁判、王党派が右側に、認めない側が左側に座った
「右岸」「左岸」もパリのセーヌ川を挟んだ街のあり方を記号とした。右岸はお金を使い、左岸は頭を使う所とした