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「出た杭は打たれる」を「出過ぎるまでやってみる」に『はぐれ刺客』

2020-03-29 08:06:02 | 世界の動きから見えるもの
「出た杭は打たれる」まさにこの小説で「厄介者」武士への扱いは剣術が優れていても、家系の次男等は出過ぎたことはするな、と言う時代。「厄介者」は盗賊一味を斬殺したにも拘らず蟄居させた藩の理由は、まさにここにあった。現代でも「出る杭は打たれる」はある、だが、現実「出過ぎた杭は打たれない」がまかり通る世の中に変わりつつある。それは「出過ぎると今までの慣例等から処置できない」となるからだ。世の中を良くすることの一つは既成概念(常識・既得権)から外れることだ。 既得権益を超えるにはとにかく粘り強くやってみる事。

『はぐれ刺客』澤田ふじ子
「内容」大垣藩で代々祐筆を勤める甘利家の二男・甘利新蔵は、将来の展望もない部屋住みの身。武道に長け、道場でも破格の強さを誇りながら、尋常でない太刀筋を師範にうとまれ、剣術での出世もままならない。ある日、藩内の富商宅に賊が押し入った・・・・

その時代武家の家で次男、三男はただ飯食いの厄介者扱いを受けていた。だが、甘利新蔵は剣術に優れたことで、盗賊の一味を異常に惨殺したことが蟄居となる。出世どころか藩からの罪を担ってしまう。蟄居もあと数時間を残すところで脱藩し、逃亡した。それは武士の意地をかけた藩の重臣たちへの無言の反抗だった。蟄居する前、友人の家にいた娘と恋仲になっていたが、家系の理由で家督を譲った親友の武家に嫁ぐこととなる。がその舅から夫が江戸詰めになった日から嫌がらせを受け、夫にも言えず一子を授かっていたが舅の執拗な辱めで自殺する。
厄介者武士甘利新蔵は脱藩後5年ぶりに里帰りした。それは逃亡して2年後には罷免されており墓参りと昔馴染みの友人とその恋仲にあった娘に再会する目的だった。だが、その恋仲にあった娘が理由なく亡くなったことを知り、疑問に思い探索する。するとその家の舅の所為であったことが判明、新蔵は娘の無念さを思いその舅に抜刀し命をとった。
再び郷を離れ京へ落ち延びていたが、舅の敵討ちだとし藩から数十人が追う。ついに一人の槍にて無抵抗な甘利新蔵は刺殺されてしまう。舅の敵討ちだと言っていた親友の侍(恋仲の娘の夫)はその直後その理由を知ることになった。
書にある盗賊一味を斬殺してことで蟄居させた藩の理由は、
①剣術者であれば峰打ちで捕縛できたはずだ(武士の情け不足)
②武家の次男で、剣術だけが勝る世間での厄介者だった(剣術者への妬み)
③武家の家系を守らんとする古い習慣と拘り(厄介者は出世も分を超えた縁もない)
三戒:欲界・色界・無色界(過去、現在、未来)