@「内助の功」30数年後、妻の家計・家族への労りは死んだ妻の手をとって夫は初めて知った。荒れた手、それに遺された衣服は夏冬同じ木綿でできた継接ぎだらけで貧相な着物しか残っていなかった。「家族の絆」と言うものを思いきり感動させる短編小説だが、昔の女性・妻はとてつもなく凄い人が多かったのかと感心する。女房役・経営者補佐の地位・役割、発言を認める現代でも「影の苦労人」は表にはでないが企業に多く、その役割は超重要となっていると思う。ここで必要な才能は経営者の人を見る目と分かち合う、労り合う行動が必要だ。
『山本周五郎作品集3』山本周五郎
・「松の花」
藩譜編纂の役は烈女節婦の伝記、紀州家中、古今の誉高木女性たちを記録したものを編集する。30数年連れそった妻が亡くなり、妻の手を握るとその皮膚が荒れており知らなかった妻の一面に触れた。また、家中の多くが御伽を願い、実の親のように慕われていたことを感じた。また、妻の着古した木綿物は余りにも貧相なものばかりで夏物、冬物も同じものばかりだった。妻は常につましこと好きで『武家の奥はどのようにつましくとも恥にはならぬが、身分相応の御工法をするためには、常に千石千両の貯蓄を欠かしてはならぬ』としていた。それを知ると『なんと言う迂闊で愚かな目だ。自分のすぐそばにいる妻がどんな人間であるかさえ己は知らずにいた』『お前は儂に世に現れざる節婦が如何なるものかを教えてくれたぞ』と残した。
・「おさん」
中働きの女中おさんはある時酔っ払いの大工職人とひょっとしたことでできてしまった。職人は妻がいると言いながら家にはそれらしい気配もなく、おさんは時をみて泊まりに来た。職人は江戸に行くと言うと一緒にいかせて欲しいと、その間妻として旅を共して欲しいと連れ立った。上方に戻る時、必ず迎えに来ると言いながら、おさんは寂しさの余り他の男と住むようになる。それも数人が家を出入りし、最後にはそれがバレて殺されてしまう。誰もがあれほどの女はいないと褒め称え、いい女だったとも言われた。職人は必死に探すと既に無縁墓地に。妻にしようと探した時には既に姿なし、旅宿で知り合った他の女と一緒にと考え込む。
・「雨あがる」
長雨で旅ができず宿で逗留するのも10日以上、他の客も足止めされたまま、辛抱の時間が過ぎる。元侍で妻と旅をする夫婦も持ち金が少なく焦ったい天候回復を待っていた。そこで元侍の夫が剣術試合で賭け事をして大枚を獲、その金で宿に泊まる他の客たちと大盤振る舞いの飲み会を施す。妻には賭け事はしないと約束していたがついひもじい旅を紛らわすことで周りを楽しませた。ある日城下からその噂を聞きつけ藩内で召抱える話が出たが賭け事をしたと言う理由で辞退することになる。
