@人情で働く長屋の住人の裏仕事が盗人、だが「善人長屋」としての噂が。火事で妻子を亡くしたと善人の錠前の男が「他人のお世話好き」で話が展開する面白さがある。最後は生きていた妻子と会うが悪に巻き込みたくないと妻子は惜しみながら別れる。人の生き方は自分で決めてこそ後悔しない、人生様々、だが悪への道は早めに引いたほうが無難ということだ。
『善人長屋』西条奈加
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買(けいずか)い。髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。唐吉、文吉兄弟は美人局(つつもたせ)。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……
一人の娘が一目惚れされたが本人は行きたがらない。そこで女装変装が上手い長屋住人に知恵と企みを企て、男に心移りをさせる。
ー泥棒簪
お使いに出た小娘が盗人に会う。盗まれたものは貴重なかんざしでそれを取り返してあげようと長屋の連中が知恵を出し合う。娘のお気に入りの櫛と交換させる。
ー源平蛍
身寄りのない娘を陰から支援したが嫁に行った先で神獣事件が起こる。だが嫁に行った先では逆に喜んでいるかのようで不気味に映る。それは姑と若亭主(義理の親子)との内密を隠そうと試みた事件で、それを処分する方法を考えた、火事で家財だけをもやす源平蛍だった。
ー夜叉坊主の代乃吉
加助は八幡の縁日に火事で亡くしたと思われた妻に似た女性を見て探すことにする。長屋の連中が探したところある寺にその加助の妻と子供がいることが分かったがその住職が悪党である蔵を狙っていた。それは加助の師匠が作った錠前でそこには何故か加助の妻が働いていた。
ー野州屋の蔵
強盗の為には人殺しも辞さないという悪が蔵を狙い押し入った。その蔵の錠前は前代未聞の難解乗と言われ数万両があるとの噂があり、悪党にとっては名誉もあり攻め入ると、そこには錠前の加助がおりその火事で死んだという妻もいた。
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