山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

石砂山ノスタルジア

2012-11-21 01:23:14 | 山歩き.散歩
久しぶりにカミさんと映画を観た、『北のカナリヤたち』
映画を観ていたら無性にあの山を歩きたくなった。

あくる朝、菅井小学校の脇に車を止めた。
校舎は建替えられて昔の面影はないが校庭はそのままで懐かしい。
11人の同級生と6年間を共に過ごした場所に佇むとあの頃のことが鮮明に浮かぶ。

小学校からしばらく車道を歩いて山道に入り30分も登ると伏馬田城跡に至る。
伏馬田(ふすまだ)は僕が生まれ育った集落の名で武田方の動静を探る北条方の出城の一つ。





あの頃は、この山でクリを拾ったり木に登ってアケビを採ったり





棒っ切れを背中にたすき掛けして忍者『霧のトンベえ』になったり





爺さんたちは大きな背負い篭に落ち葉を一杯にしてこの山道をせっせと運んでいたっけ





運んだ落ち葉は堆肥を作るために大きなプ-ルに集められてふわふわのリングになる





ふわふわのリングの上で大はしゃぎしてプロレスごっこに興じたものだ
子供たちが大暴れすればするほど落ち葉はこなごなにこなれて良い堆肥の素になる





この道を右に仕事道に入ると鰻がわんさか居る沢があった
マムシに注意しながらバケツ一杯の鰻が捕れたその沢も今はもう涸れて水がない





道の脇の小高い台地に唯一の人工物、寝そべってオニギリを食べたり取り留めのない話をしたり





焼山、黍殻山、姫次へと続くあの稜線を小学3年生の頃から5月の連休に毎年欠かさず歩いて山を覚えた





このもみじの前に立つといつものこと『よく来たね』と父と母の声が聞こえる
『またおいで』その声が聞きたくて200回を超えてこの道を辿っているのかも知れないとふと思うことがある。





11人の同級生の名を声に出してみた、誰の名も忘れてはいなかった





50年が過ぎたというのに一人一人の声も笑顔も着ていた洋服さえも脳裏に浮かぶ
僕の知らないところで11人それぞれが幸せに穏やかな人生を送っているものと信じたい





6年間の担任の先生方の優しさや厳しさも蘇る





最近、健忘症というよりもボケが始まっているような気がするけれど
あの頃のことに限っては記憶に深く刻み込まれているような気がする





山頂を少し下るとテントが2張ほど張れるほどの平地にがあって
ここに幼馴染のH君が設(しつら)えた古ぼけた腰掛とテ-ブルがある





雑木林に包まれたこの空間がいつしか僕の指定席になった





焼山へと続く稜線を眺めながら質素な酒肴を作って静かな秋の山を味わう
何か考え事をしたい時、柄にもなくノスタルジ-に浸りたい時、訪れる人の少ないこの山がいい








暖かい日差しの中で2時間ほど午睡を楽しんで満たされて山を下った。

自分にとっての心の山、この山のお蔭で心はいつも平静を保っていられるような気がするのです。












コメント (24)
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