志太泉オフィシャルブログ

静岡県藤枝市の地酒の蔵元。志太泉酒造のブログ。違う角度から見た日本酒の現在とは

普通の志太泉VS解凍後の志太泉

2008-05-02 19:02:17 | 地酒
昨晩はすごく眠くて10時すぎに寝てしまいました。
そのため昨晩アップする予定だったブログです。

私も、10数年日本酒の仕事をしておりますが
同じお酒を凍らせて解凍とした酒と通常の酒を
比較して利き酒した事はありません。

この度、あるお客様に志太泉のお酒を酒販店から
ご購入いただいたのですが、宅配会社のミスで
クール便(冷蔵)でのお届けをするべきなのに
冷凍で配達されるというハプニングがございました。

そのお客様からせっかくの機会なので比較してみたというメールを頂きました。
まずはこういう好奇心あふれる行動ってのは個人的に大好きです。

許可を頂きましたので(注記を除き)原文にまま掲載させて頂きます。

「純米 山田錦 生原酒」
無事な方は、飲んだ瞬間に「ああ、生酒飲んでいるな」という
舌をピシャリとひっぱたかれたようなツンとした味わいと
時間が経つにつれて表情がコロコロ変わる面白さがあったのですが
凍った方は、甘みだけが前面に出てきて
時間が経過しても、表情に変化がないという感じでした。
お燗した味に似てるかなと思い、無事な方をお燗して飲んでみたところ
やはり比べ物にならないほどまろやかで多層的な味わいだったので
凍って甘みだけが印象に残るだけで底は浅くなってしまっているなと感じました。

「芳醇清酒」(※ 注記 志太泉普通酒です)
ダメージ的には一番少なかった気はします。
ですが凍った方は、あの秀逸なまとまりが崩れ
全体としてバラバラにほどけているような印象でした。

「にゃんかっぷ」」(※ 注記 ●の部分は他の蔵のお酒です)
これが一番ダメージ大きかったです。香りも味も、メチャクチャに崩壊してました。
一升瓶に比べて容量が少ないため、たぶん完全に凍ってしまったからでしょう。
カップ酒は「静岡対決」と称して「●」のカップも購入したのですが
どちらも、スカスカになってしまっていて別物になってました。
試しに目隠しで当ててやろうとやってみたのですが
「にゃんかっぷ」の無事なものだけは確実に正解しました。
順番に飲んでいると、凍ったものの味の薄さで混乱し
分からなくなってしまうのですが、「にゃんかっぷ」は恐るべし
私の未熟な舌でも確実に届くパワフルな味わいでした。

なぜ解凍後に味わいの変化が起きたのか私にも正確な所はわかりません。
推測としては、凝固点の違いからアルコール分と水分が別々に凍ってから
また融解したため成分の均一性が失われたのではないかと思います。
ですから時間の経過である程度元にもどるのかもしれません。

ここら辺もっと詳しい方居られたらぜひ教えてください。