続・知青の丘

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熊本県現代俳句協会 会報 「現代俳句くまもと」 第17号 

2021-07-13 11:30:42 | 熊本県現代俳句協会
熊本県現代俳句協会 会報 2021年度 第2号
 現代俳句くまもと 第17号 

「まわるまわる時代は回る」   
熊本県現代俳句協会会長   加藤 知子

まわるまわる 時代は回る ~~~ 
生まれ変わってめぐり合うよ
 ときどき口ずさむ、中島みゆきの名曲「時代」の一節です。これを聴くといつも、作詞作曲できたらいいなあと思いますが、最短詩型の俳句の表現活動もまた、困難な人生において殊更に、活力を与えてくれるように思います。
 中村汀女は、先の大戦下、「三月十日東京空襲、B29幻の如く美し」という前書きをつけて、「火事明りまた輝きて一機過ぐ」と詠み、「炎天や早や焦土とも思はなく」とも詠みました。 
 台所俳句と揶揄気味に評される汀女俳句ではありますが、こういう句を書いていたことを最近知り、驚きました。過酷な事実の描写にも、詩人の眼は誠実に反応し、心情の純粋な吐露に向かわせました。汀女のこの句に対して不謹慎と非難されることもあるようですが、本当に悲しみの極限にあるときとは、このような真空状態なものといえましょう。2016年の熊本地震のときも、「もう笑うしかない」という人の声を聞きました。
 このようなことは、芭蕉の「喪に居る者は悲しみをあるじとし、酒を飲むものは楽しみをあるじとす」という言葉に通底することだと思えます。すなわち、負の世界に十分に浸ることに拠って、正の世界へ転じる、ということ。
俳句にもこういうことができる力のあることを教示してくれる先達に、感謝したい気持ちになります。

第2回紙上句会を始めます!

投句締切: 7月 31日
投句先: 吉 良  香 織 宛
 郵送またはメールにて受け付けます。
参加費:会員・準会員は無料
会員外の方は、投句とともに84円切手5枚
を同封してください
◎5句まで投句可能です。(1句でも受付可)

皆さま、積極的にご参加ください。

熊本県現代俳句協会創立30周年記念
合同句集から
一 句 評  (到着順)
梅の漬け方コロナ禍の過ごし方   真弓ぼたん
平行に二つが置かれた日常である。コロナ禍は非日常だと思っていたが、人類の、いや地球の歴史からみれば日常なのだと気づかされる。今年の梅に語りかけながら、何ごとにも逆らわずに生きるだけ。それが難しい。        (評者:西村楊子)

素麺を啜る音のみ誕生日    伊藤 健二
「糶り人」と題され、作者の生身から絞り出されたような十五句の中の一句。肉体労働を終え、静かに一人祝う誕生日。冷水の中の素麺が美しく、哀しい。喉の辺りがキュッと締め付けられるような、生の切なさ。           (評者:西口裕美子)

夜行列車きれいに蛇の穴渡る  加藤 知子
夜のトンネル?を「蛇の穴」と見立てたのか。夜行列車の窓から洩れる明かりが、徐々に消えて行く様は、正に大人の童話。人の命が終わる時も、このようなものかも知れない。ある日突然、人はきれいに向こう岸に渡って行く。  (評者:林よしこ)

かなかなや己の髪を嗅ぐ少女  青島 玄武
この中七下五は現実感が濃いが、不潔な感じがしないのは「少女」の行為だからであろう。
晩夏の頃の髪は汗の香りか、プール帰りの洗い髪か。季語が場面に広がりを与えている。作者の細やかな観察眼と的確な表現技術を感じる。
(評者:吉良香織)


梨を剥くこの山のこの風に住み 荒尾かのこ
もちろんこの句は自分を詠んでいる。が、読者もまるでそこの住人のような錯覚を覚える。「この山のこの風」と畳みかける言葉に、これまで決して楽なことばかりではなかったろうと、推察される。今あるのは、そういうことも含めての現在である。作者は穏やかで豊かな余生を楽しんでいる。         
(評者:真弓ぼたん)

新樹光形見の一本も混る    寺尾 敏子
 合同句集のあとがきのように昭和迄の感情は古典の域にあるようで私の感覚もアナログ世界で廻っている。紙上でずっと憧れてきた先輩の句は、常に颯爽として軽やかで前方に光を見せてくれる〈生き生きと死ぬつもりです実むらさき〉もそんな一句。 
(評者:丘菜月)

盲いたわれらのいのちもつれる秋の水 西口裕美子
 文明病で盲目になった人類は、今、新型コロナとかいう化物にふりまわされ、絶滅の危機にさらされているようだ。秋の水よ、せめて人類の未来の姿をその清冽な水面に写してみせてはくれまいか。
(評者:榮田しのぶ)

猟犬が魂を消す四丁目      徳山 直子
 ペットとして歩く犬。猟犬として人間のそばにいることになったのだが、時代の変遷とともに獲物を追うこともなく、新興住宅街をリードをつけられて歩く。かつて山野だった地も四丁目という新しい町名を与えられて。  
(評者:中山宙虫)


第27回全国俳句コンクール(全国俳誌協会主催)
参加作品抄
春の空大きく描く設計図      林よしこ
振り仮名のゑはうは恵方はるのそら 西村楊子
宿の灯の消えたる街や寒椿     徳山直子
藪椿の藪のそだちや陽の匂い    加藤知子


句集紹介
西口裕美子句集『群青い耳』
(文學の森、2021年5月)
よろず一斉に耳尖らせよ梅ひらく
鳴き終えてこおろぎ群(あ)青(おい)い谷探す
気化という選択もある秋の昼

新会員紹介
荒尾市在住の林紀子さんが、7月から現代俳句協会に入会されました。昨年度の熊本県民文芸賞川柳部門一席を受賞されており、川柳歴13年、俳句歴は6年ということです。
にんげんの奥へおくへと冬の霧   
わらべ唄月の匂ひになる母と

『 現代俳句 』 列 島 春 秋  掲載句 2021年  
二月 臥龍梅とんで異郷の鬼となる  木庭杏子
三月 野焼きして阿蘇に集まるあまのじゃく 田上公代
四月 若き日は知らんぷりした桜の国 加藤知子
五月 二天忌や背後から来る己の声  榮田しのぶ
六月 青天の天に挿したる余り苗   徳山直子
七月 崩落の岸に桑の実供物とす   志賀孝子

 お 知 ら せ 
◯ 現代俳句協会の年会費未納の方は、お振込みをお願いします。
◯ 準会員更新の方は、年会費千円をお願いします。
◯ 第58回 現代俳句全国大会
令和3年 10月30日の予定。
投句用紙は、6月と7月の『現代俳句』の巻末に挿入されました。
同封の投句用紙を使われても大丈夫です。

当協会 創立30周年記念 合同句集の
一 句 評 募 集 
好きな句とか共鳴句とかあれば、
引き続き一句評(100字以内)を募集中。
事務局までご送付ください(メール可)。
次号の会報に掲載したいと考えています。

色々とご不明な点は事務局まで
お気軽にお問合せください。

*吉良さんの住所とメールアドレスは個人情報のため
このブログでは削除しています。
また内容はテキストのみです。
*会員の皆様には昨日あたりお手元に届いていると思います。


7月4日の古墳館からの帰り道
鷺!?ですか~
トラクター(?)を怖がりませんね。

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夕方の散歩と紙上現代俳句くまもと句会

2021-03-15 20:20:33 | 熊本県現代俳句協会
一日の生活のなかで2000歩をめざして
(1000歩弱だったので)
やや暗くなった18時半頃から散歩へ
そうしたら
桜は場所によっては既に咲いているけれど
もう、あの、
小さいころ採って食べていた野イチゴ(?)の
白い花が咲いていたのでびっくり
家からカメラ持ち出してきて撮った。
(写真も暗くなりましたが)
(草イチゴというらしいですね~追記)

ついでに
庭の白い花も
名前は一度覚えたのだけど
忘れてしまった・・・・

話変わって
熊本県現代俳句協会の
紙上句会(70句)の選と評の締切が本日でしたが
参加者全員14名分戻ってきました。
真面目に取り組んでくださり
ありがとうございました。
事務局長が入力がんばっていますので
(9名分がメールではなくて)
17日には結果の発送できると思います。
佳句が沢山あり、
選に困った方もおられたことと思います。
なかなか面白い句会になりました。

*この句会に投句された句は
未発表句として大会などへ出されてかまいません。
会報掲載は来年1月以降の分にしますので。





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熊本県現代俳句協会会報2020年度第3号(2-2)

2021-01-17 12:48:28 | 熊本県現代俳句協会
(2-1から続く)

☆ 第56回 滔天忌俳句大会 
2020年12月6日 於荒尾
服部たか子選 佳作
コスモスの十七文字の詩情かな    徳山 直子
波高く寄する滔天忌の渚       荒尾かのこ
参加者の一句
石落つも水攻めくるも銀杏黄葉    右田 捷明
革命の先づは朝飯滔天忌       西村 楊子
梨を剥くもう後もどりできぬ齢    生田 一代
野に生きるものにあまねく冬日燦   宮中 康雄

☆ 第20回 湯河原文学賞 
俳句・小中学生の部 優秀賞  
かぶと虫木から落ちても起き上がる  荒尾 快晴
 荒尾の子ども俳句教室からの入賞でした。

 《会 員 句 集 書 籍 紹 介》 
・加藤知子第3句集『たかざれき』(弦書房)
母さんをすっぽり埋める人たらし
相聞のあわい北窓塞ぎけり
海に降る風花ならば抱きしめる

・いわさき(西村)楊子著
『川柳人がたのしむ エモい 漱石俳句』(飯塚書店)
贋作の贋作ならばシロだろう
鶴を折ったひとさし指でつぶす蟻
開戦忌レノン忌そして漱石忌

 《新 会 員》 
吉良 香織  月尾 山桜

《2020年度 総会に代わる
 緊 急 措 置 の お 知 ら せ》 

今年度の総会を、本年3月6日に国際交流会館で予定していました。
ところが、コロナ禍の緊急事態宣言が拡がるなか、熊本市でも独自の緊急事態宣言がなされました。
そこで、メールによる役員会を開いて協議した結果、「総会の開催は困難であるため、総会に代わる緊急措置を実施する」ことを決めましたので、この決定をご承認ください。
総会に代わる緊急措置は、
⓵ 会員の皆様には、会長に一任していただく。
② 事務局は、後日、監査後の会計報告コピーを
会報とともに配布する。
総会の場合の議案は、次のとおりでした。
第1号議案:2020年度活動報告・決算報告
第2号議案:2021年度活動計画・予算(案)
なお、この手続きに対し、ご意見やご異議がある方は、事務局長・西田和平あてにご連絡ください。

☆ 紙 上 句 会 の お 知 ら せ ☆  
紙上句会をしますので、ご参加ください。
投句 : 5句まで
締切り: 2021年2月 28日
投句先: 西田和平あて
◎ 会員・準会員は同封の葉書をご使用ください。
    メール送信可能な方は、メールでお願いします。
◎ 会員外のご参加の場合、投句とともに、
 84円切手5枚を同封してください。

 《各種俳句大会 投句募集のお知らせ》 
応募用紙を同封しています。
〇全国俳誌協会主催第27回全国俳句コンクール
        2月12日 締切
〇第32回伊藤園おーいお茶新俳句大賞
        2月28日 締切
〇俳人協会熊本県支部第22回俳句大会
        3月10日 締切
奮ってご応募ください。

*現代俳句協会の年会費の払込用紙が届いたら、お忘れなくお振込みお願いします。
*第58回 現代俳句全国大会は 令和3年 10月30日の予定となっています。
 
 《編 集 後 記》 
・当会に、昨年の後半期に2名の新会員を迎えることができました。
 まだ、顔を合わせての句会ができる状況にはないのですが、
 その時まで句作に励みたいと思います。
・熊本県現代俳句協会創立30周年記念合同句集は、いかがでしたか。
 ISBNも取得しました。ゆっくり味読してください。
(在庫少しあります。一冊千円で販売中。)
・俳句大会などに応募し、入選受賞された方はお知らせください。
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熊本県現代俳句協会 会報 第15号
2021(令和3)年1月20日 発行
発行人 会 長  加藤 知子 
編集人 事務局長 西田 和平

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熊本県現代俳句協会 会報 2020年度 第3号(2-1)

2021-01-17 09:57:15 | 熊本県現代俳句協会
《巻頭エッセイ》
「ゲーム散歩・吟行」の試み  吉良 香織

令和2年8月12日、勤め先の換気の良い教室で、有志の司書と学生ボランティアとで「ゲーム散歩・吟行」を敢行した。
ゲーム好きの同僚が、インターネットから見つけた「ゲーム散歩」というイベントを本学の学生にも体験してもらいたいと開いた、催しである。
 プレイステーション4「ゴースト・オブ・ツシマ」、Nintendo Switch「集まれ動物の森」を学生に操作してもらい、ゲーム好きは画面を観覧。俳句が詠めそうな人には、画面から季語を見つけては俳句を詠んでもらった。できた句がこちら。
〈吟行地「ゴースト・オブ・ツシマ」4句〉
 木漏れ日の中から見下ろす猛き熊    学生句
 夏風に吹かれて出会う狐かな      学生句
 なりゆきで熊と闘いゆく夏路      香織
 戦い疲れればトリカブト手に余るほど  香織
〈吟行地「集まれ動物の森」2句〉
 夏休みならばスズキもバッタもポッケに 香織
 夏帽子被れば友の来る気配       香織
出来、不出来は今回不問。刀を振るうアクションゲーム・ほのぼのとした動物の森、と舞台の雰囲気が句から伝わってくるのでこれでよしとした。
これが新しい吟行の形かどうかの判断は、時期尚早かと思う(第一手間が掛かる)。ゲーム画面を見ながら作句も可能という事を確認できたのが、今回自分にとって一番の収穫であった。
昨年度から現代俳句協会に入会しました、吉良香織と申します。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

 《30年永年会員 記念作品》 
『現代俳句』2020年12月号より
終章をぽっと照らして椿落つ   木庭 杏子
きらきらと余生に逸る秋景色   志賀 孝子
春は曙熊本平野ぴょんと跳ぶ   田上 公代

 《私の一句自句自解》 
もう一人母の居そうな花の雨
                丘 菜月
俳句と出合って年月を重ねてきたが、これほど長く何かを続けた事は無く、向き合う時間を楽しんでいる。脚を悪くしてからは外出も少ないが、何十年分もの思い出が季語と共にふつふつと浮かんで来る事を喜んでいる。
四年前に逝った母は桜色がよく似合った。無口で物静かだった母を桜色の中に詠み続けていきたい。

☆ 第4回「二百十日」俳句大会 
      (2020年8月28日 於阿蘇)
〈秀逸〉
水羊羹の纏ふ明かりを戴きぬ   西村 楊子
〈佳作〉
腹這の猫の親子の端居して    徳山 直子
〈熊本県現代俳句賞〉(加藤知子選)
噴煙を己が纏ひて阿蘇良夜    田代 幸子

☆ 第五七回 現代俳句 全国大会 
 2020年10月25日 参加4名
夏薊人を吸い込む献血車      荒尾かのこ
フライパンの丸へ四角へ夏来る   徳山 直子
黄水仙挿せば茶室の子宮めく    西村 楊子
電波塔新芽と競い林立す      右田 捷明

《『 現代俳句 』 列島春秋 掲載句》 
(2020年)
三月 肥後椿初陣前の咳払い 丘 菜月
四月 さくらさくら指の先までさくらの香
             佐藤恵美子
五月 鳥交るこゑしてしづか五高の森
             光永 忠夫
六月 竜神の泉の水をひとすすり
             田川ひろ子 
七月 ユダの子を産み継ぐ村の夏の霧
             西口裕美子
八月 裏阿蘇の一町二村 水の秋
             星永 文夫
九月 枯れはじめている野原聴く野原
             柏原喜久恵 
十月 遠祖の蹴りたる湖や大花野
             真弓ぼたん
十一月 てつがくのごろごろごろと零余子飯
             西村 楊子
十二月 神風連とうもっこす親爺の早生蜜柑
             伊藤 幸
(2021年)
一月 寒林に火の国風土記の瘤がある
             星永 文夫

《2-2に続く》
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「熊本県現代俳句協会三十周年記念合同句集刊行に寄せて」巻頭言

2020-12-07 10:06:01 | 熊本県現代俳句協会
(熊本県現代俳句協会へのいざない)

熊本県現代俳句協会三十周年記念合同句集刊行に寄せて
                                                             熊本県現代俳句協会会長 加藤知子
 当会は、一九九一年六月三〇日に窪田丈耳会長を中心に設立され、来年で創立三十周年を迎えます。このたび、熊本の現代俳句に携わってこられた先輩諸氏の句業の上に、現会員の皆様が新たに集い、合同句集を編むことが出来ました。大変喜ばしく有難いことだと存じます。
 さて、伝統文藝である俳句が継承されていく為に、その伝統は墨守されるものではなく、革新されるものであると考えます。芭蕉は、「俳諧二古人ナシ タダ後世ノ人ヲ恐ル」と宣いました。これは、古人の作品をなぞるのではなく常に新しみが要求されるという、自己模倣をも排除した自己革新性が求められるということ。また、水俣出身の徳富蘆花は「新しいものは常に謀叛である」と「謀反論」のなかで宣いました。それらの言葉に叱咤激励されつつ、時代の風を感じ新題材にも取り組み、表現の枠を広げて、常に自分も作品も更新していきたいものです。
 当会の皆様におかれましては、このことは先刻承知として日々精進されていることと存じます。いま、私達は、今年の正月以来蔓延している、COVID―19(新コロナウィルス感染症)禍のリスクで人との行き来やイベントの自粛など、「新しい生活様式」に慣れていかざるを得ない状況に遭遇しています。がしかし、そういう事態と向き合い闘いながらも、最短詩形の俳句を愛する心を変わらず持ち続け、どのような形であれ句作に邁進し、乗り超えていこうではありませんか。
 自分を見失わない自分を信じて。 
    二〇二〇年十月吉日
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今年は2名の入会者を迎えることができました。
県内の現代俳句に興味のある方のご入会をお待ちします。

お問い合せは、熊本県現代俳句協会
又は

この合同句集の販売は、
(株)トライには委託していませんので
ご留意ください。
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