フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Paul Gadenne <<A propos du roman>> (1)

2014年01月22日 | Weblog

[注釈]
 * Cela ne doit pas nous empe^cher.… : cela は前文の内容を指しています。
 * celui de se voir fac e a` face... : celui = un autre tourment
 * Siloe' : 1941年に発表された一種のサナトリウム小説
 * Il rapportera avec lui le de'sir... : 文脈からすると Il = un nouveau monde
 * un maxium de signification et comme une e'ternelle frai^cheur... いずれもcette lumiere が人間の行為に与えるものの説明です。
 

[試訳]
ポール・ガデンヌ「小説について」
 不安は、人間であることの条件と切り離せないもののように私には思わる。それでも私たちは、探求の果てにあらたな不安を、ああ、求めるとは言わなくとも、発見せずにはいられない。たとえ非常に差し迫った経済的・社会的な問題が解決されたとしても、人間のあらゆる宿命がぶつかる困難の性質をただ変えただけではないのか、と私は思う。平安が同じようにもどって来ても、あらたな満足とともに、新しい嫌悪がどうしようもなく生まれ、今度は同じように新たな不安が首をもたげる。物質的な苦しみから解放された者がたちまち別個の、今まで知らなかった苦しみ、自らと向かい合う…といった苦しみを発見するだ。もっともそれはずっと意味のある、ずっと深い、したがってもっと望ましい苦しみだと言えるのだが…。

 形而上学的な、始源からある、人間に根ざした欲求は、根絶やしにすることができないであろう…。私が同胞たちの幸福を、ときには自分の幸福をさえ、いかに熱心に望んだとしても、私は自分の視界を人間的な地平にだけ限ることがどうしてもできないこと、そのことに嫌悪すら感じる。自分ではどうすることもできない。ただそんなふうに自分が出来上がっているとしか言えない。私が呼吸をするためには、今ここで私たちが取り込んでいる空気とは別の何かが必要なのだ。その空気はいつもやはり少し汚れている。『シロエ』はおおかたこうした気質から生まれた作品である。病は、人をその環境から、その根っこから引き離すことによって、すばらしい更新の機会となる。人に襲いかかる身体のこの不幸は、一種実験室ともなり、そこでは未知の室温、経験したことのない気圧のもと、新しい人間がやがて成長する。私の小説の登場人物はこうして少しずつ新たな世界を発見してゆく。そこでシロエは自らの行いの一つひとつによって、もっと高くにある、もっと広大な何かにかかわってゆく…。最高の意義と、淀むことのない清新な風のようなものを人間の行為に与える、あの光への希求、ノスタルジーを、その世界はやがてシロエにもたらすこととなるであろう。

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 ブログの更新、大変遅くなってしまいました。結局1週間遅れとなりました。ご迷惑をおかけしました。今日ようやく、一週間振りに寒風の中ペダルをこいで近所のスーパに買い物に出られました。そろそろ忙しくなる学年末に四日ほど臥せっていたわけで、しばらくはあたふたする日々が続きそうです。

 次回は、p.15 cela fait un livre. までの試訳を2月5日(水)にお目にかけます。

 Bonne continuation !


お詫び

2014年01月16日 | Weblog

 みなさんが一昨日15日(水)までに訳文を投稿して下さったにもかかわらず、ぼくのほうがいまだにブログを更新できずにいます。

 実は、予防接種を受けていたにもかかわらず、A型インフルエンザに捕まりました。昨日朝診察を受けましたが、今に至って熱が38度を下回りません。もうしばらくの辛抱だとは思いますが、体調が回復ししだい試訳をお目にかけることにします。申し訳ありません。もうしばらくお待ち下さい。Shuhei