今月13日から大学の授業が始まりました。
使用するテキストや参考文献の紹介を少しずつするつもり、と学生に約束しましたので、まずテキストから紹介します。
授業のキー・コンセプトである「コスモロジー」とは、ギリシャ語のコスモスとロゴスの合成語で、「宇宙の秩序を語る言葉の体系」といった意味です。
言葉(ロゴス)を使う動物である人間は、言葉によって自分の生きている世界・宇宙がどうなっているのかを秩序だてて知ることなしには、心の秩序や行動の秩序を保つことができません。
人間はコスモロジーなしには生きられない生物なのです。
そして、ですから、人間は安心できるコスモロジーなしには安心して生きることはできませんし、安心して死ぬこともできません。
前近代、人間は神話的・宗教的コスモロジーによって安心を得ていました。
しかし、近代の理性・科学(主義)的なコスモロジーによって、神話的宗教は否定されることになりました。
ところが、近代の科学主義的なコスモロジーは、「すべてはモノにすぎない」と見えてくるようなコスモロジーであり、必然的にニヒリズムを招くことになります。
ニヒリズムに陥っては、もちろん安心して生きることも死ぬこともできません。
しかし幸いにして、近代科学を含んで超える「現代科学」のコスモロジーは、宗教のエッセンスと調和するものであり、ニヒリズムを超えるものだと思われます。
現代科学と宗教のエッセンスの統合から描き出される新しいコスモロジーは、理性・科学と反することなく、しかも人間が安心して生き死にできるベースになるものだ、と筆者は考えています。
そうした趣旨をいろいろな角度から論じたのが、下記のテキストです。
授業、ブログ授業で話しきれていないこともたくさんありますから、ぜひ、並行して読んでください。
きっと、自分と世界の未来に希望が見えてくると思います。
コスモロジーの創造―禅・唯識・トランス・パーソナル岡野 守也法蔵館このアイテムの詳細を見る |