「いのちの意味の授業1:コスモロジー」では、最初のほうで、近代人は突き詰めて考えるとどうしてもニヒリズムに陥ってしまう、という話をします1) 2)。
学生時代、近代におけるニヒリズムの必然性とその克服の道について、京都学派宗教哲学の代表的な存在の一人、西谷啓治先生から、大きな示唆を与えられました。
西谷先生の思索によって、ニヒリズムから目をそらすことなく、徹底することによって克服するという道筋は、ニーチェをはるかに超えて根源に達している、と筆者は思っています。
学生時代以後の筆者の仕事は、ささやかながら西谷先生から受け継いだ問題意識をさらに深めたいという思いで続けてきたものという面があります。
若い世代にとっては、文体が格調高く、またそういう意味では古くて、読みこなすのがむずかしいかもしれませんが、それだけの労力を注ぐ価値のある本です。
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ニヒリズム (1966年)西谷 啓治国際日本研究所このアイテムの詳細を見る |
西谷啓治著作集 第8巻西谷 啓治創文社このアイテムの詳細を見る |