性と多細胞:魅力と協力の創発

2006年07月02日 | 生きる意味

 去年の10月30日の記事で、こう書きました。


 少なくとも、宇宙で起っているすべてのことが宇宙の自己組織化――自分で自分をそう変容させてきた――の結果であるということについては、1977年プリゴジーヌのノーベル賞受賞以後の現代の科学者にとっては、当然の合意ラインだと思われます。


 カレンダーの11月21日(15億年前)頃に、有性生殖が創発したのも、もちろん宇宙の自己組織化です。

 つまり、宇宙がオスとメスに分化したのです。

 ここで、宇宙に初めて、存在するだけで惹かれ合うというオスとメスが織り成す魅力に溢れた生命世界が創発したわけです。

 同じ種として(統合)オスとメスとは惹かれ合いながら、お互いの遺伝子を交換し合うことによって、生命の多様性を生み出してきました。

 オスとメスとが存在しなかったら、今、私たちの地球はこんなに多様な生命に満ちた美しくて不思議な世界にはならなかっただろうといわれています。

 例えば、オシベとメシベの分化がなかったら、花粉を媒介する昆虫を誘うための花も必要なかったでしょう。

 オスとメスがいなかったら、もちろん私たち人間が恋をすることもなかったのです。

 人間においては、マナ識や神経症的欲求の問題があって、時に性は汚らしいものになることがありますが、しかしそれでも、生命世界に性があることは本質的にはすばらしいことなのですね。


 そして、有性生殖から5億年も経って生命の多様性が進んできた時に、12月5日(10億年前)、多細胞生物が創発します。

 複数の細胞が役割分担をしつつ(分化)協力し合って一つの生命体を成す(統合)ということが始まったのです。

 もちろん私たち人間も、6兆~60兆の細胞からなる多細胞生物です。

 1つだけで生きているというスタイルから、多数の細胞が集まり、役割分担をし、協力するというライフ・スタイルへと大きなジャンプを遂げてくれたお陰で、10億年ほど経ったら、私たち人間が存在できているわけです。

 これもまた、よく考えると驚くべきことですね。

 
 ……こんなふうに、宇宙カレンダーの大まかなストーリーはもちろん同じなのですが、学生たちに伝えながら、私自身、驚きと感動は去年よりもいっそう深くなっているのを感じています。



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生命の創発の「すごさ」

2006年07月01日 | いのちの大切さ

 このブログでもご紹介した宇宙137億年の歴史を365日に縮尺した「宇宙カレンダー」を使って、今も授業を行なっています。

 前期授業ももう数回で終わり、そろそろ人類の誕生、結論のあたりに差しかかっています。

 まとめ風にカレンダーを振り返りながら、改めて感じたことを学生たちに話しています。

 例えば、今から9月16日頃(40億年前)、〔今私たちの知るかぎりでは〕地球の海の中で生命が創発したわけですが、それは、それまでは生命の存在しなかった宇宙に生命が始めて誕生―創発したというです。

 なんという不思議でしょう。

 その生命はたった一匹の単細胞だったと推測されていますが、それから12月5日(10億年前)、多細胞生物が創発するまでなんと30億年間も生命は単細胞のまま、細胞分裂で自分の複製(コピー)を作るという単純な方法で、生命をつないできたのです。

 その単純さとその長さ――そしてそれはある種大変な努力だったと思われます――を想像すると、「すごい!」というほかありません。

 もっといい表現があるといいのですが、宇宙の歴史の話をしていると、もう「すごい」を連発するほかなくなります。

 しかし、この単純な「すごい!」を連発しながら語っていると、多くの学生たちに「すごい!」という共感が生まれてくるようです。



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