いきなりのタイトルですが、以前から気になっていた「うんちく」
登山用品店のピッケル、アイゼン売り場などで必ず目にするのがこの「縦走用」や「クライミング用(登攀用)」といった分類。例えばピッケルの場合、「縦走用」はシャフトが長く、ピックの角度が緩いタイプ。「クライミング用」はシャフトが短く、ピックの角度が急なタイプ。となっている。 でもそもそもこの「縦走用」と「クライミング用」というのを同列に並べた分類って正しいの?っていうのが疑問なのです。 なぜなら「縦走」というのは『山から山へ、稜線通しにあるくこと(山と渓谷社 山用語なんでも辞典より)』の意味であり、「クライミング」とは『手を使って攀じ登ること』です。つまり縦走というのは例えば「ピストン」や「周回」などと同じく「登山形態」としての分類であるのに対して、クライミングというのは「ウォーキング」や「マウンテニアリング(基本的に手足だけで登れること)」などど同じく「行動形態」としての分類なのである。 例えば日本を代表する岩稜ルートの「剱岳 八ツ峰」。1峰~長次郎の頭まで連なるこのルートは完全に「クライミングルート」ですが実際にトポなどで紹介される場合は必ず「八ツ峰縦走」という表現がされます。また「雪の西穂~奥穂縦走」は限りなく「登攀(クライミング)ルート」です。 逆に「北八ヶ岳縦走」などは「マウンテニアリング」のコースです。このようなことは非常に沢山あります。つまり縦走に限らず、ピストン山行であってもクライミングをするコースもあれば、マウンテニアリング的なコースもあるというように、内容をみる必要があるのです。ですが実際にはこれらごちゃ混ぜになってしまっているようで、装備購入の際に余計ややこしくしてしまっているのでは?と思います。例えば冬の八ヶ岳の「赤岳から硫黄岳縦走」は手(ピッケル)を使っての登攀的な動作が出てくる箇所があちこちで出てきますが、こういう箇所で「縦走用」の長~いピッケルを使用していると、と~っても使い辛いのです。
結論をいうと、目的とするコース内で「最大どのような行動箇所があるのか?」ということこそ重要なことなのです。そして実際に装備を選ぶ際にも「縦走用」などという大雑把な表現に惑わされるのではなく、目的のコース中にクライミング要素がある。もしくは近い将来「クライミング要素のあるコースへ行きたい」というのであれば「クライミング用」を購入すれば良いわけだし、逆に目的のコースが歩き主体(マウンテニアリング)であれば「縦走用」として売られているようなタイプを購入すれば良いのではないかと思います。
まあ僕的には「マウンテニアリング用(基本的に手足だけで登ること)」と「クライミング用(手を使って攀じ登ること)」が最もスッキリして分かりやすいかなぁ~と思っていますね。
※雪山の場合はクライミングの中でもさらに「氷雪主体」と「岩主体」などによって異なるので注意が必要です。
まあ、文章下手なのでなかなか上手く伝わりにくいですが装備購入の際の参考にしていただければと思います。
今日はちょっと変わって以前から気になっていた靴についての小ネタ。
僕が一年間の山行で履き分けている様々な靴たち。ハードな雪山登攀用から雪山登山用、無雪期の岩場向け、クライミングシューズ・・・ 靴選びは奥深い!
ガイドという職業上、年齢、性別、登山経験など様々な方が参加されます。そしてその方々に接していてとても気になっているのが「靴の選び方の失敗」です。まず最も多いのがサイズ選びの間違いと、足型と異なる靴を選ぶことの間違いです。サイズの失敗について大雑把に言うと『登山靴系』は大きいサイズを選びすぎること。『クライミングシューズなどのテクニカル系』は小さいサイズを選びすぎること。これは驚くほど顕著な現象です。何故そのようなことが起こるのか?購入された時の話を聞いてみると「店員さんからそうように勧められた」という意見が圧倒的に多いのですね。思うに、どうも店員さんの考えの中に「随分と昔の知識の固執」があるように思われます(年配の店員さんの場合は自身の古い経験で、若い店員さんの場合はその伝達と登山に蔓延る固定観念による)。確かに昔の知識では、「登山靴は必ず普段の靴のサイズより1cmから1.5cm位大きめのサイズを」。「クライミングシューズ等は常に指が曲がっているくらい小さめのものを」という考えがあり、実際にそのような選び方をしていました。なぜなら簡単に言うと昔の靴というのは「靴に足を合わせる」的な選び方が一般的だったのです。昔の靴と現在の靴を比べてみると一番の違いは「足型の形状」です。昔の靴はどのブランドの靴であってもほぼ同じ形をしていました。しかし現在の靴の場合は幅細タイプ、幅広タイプ、爪先が丸いタイプ、逆に尖ったタイプ・・・などなど挙げたらきりがないくらい各ブランドごとで随分と違いがあります。また同じブランド内であっても用途によっても異なります。「ようやく登山の分野も他のスポーツと同様に足に合った靴を選ぶ時代になったのです。結論を言うと、様々なブランドや靴の中から「自分の足に合った靴を選ぶ」ことが重要なのです。言い換えればどんなに有名なブランドの多くの人が履いている靴であってもその人の足に合わなければそれはその人にとっては「駄靴」でしかないのです。 ダラダラとした説明になってしまいましたが、では実際に自分にあった靴を選ぶ為にどんな選び方をすればよいのか?
まず、
①多くの他人が履いている靴が自分にとって良い靴とは限らない。特に職業柄多くの方から「どの(ブランドの)靴が良いですか?」と質問されます。大切なことは。「どの(ブランドの)靴」ではなく、「どんな(足に合う)靴」なのです。ですから同業者の中には参加されるお客様にまるでユニフォームのように全身同じような格好をさせている方がありますが、ウェアは許せるにしても靴においてはこのようなことは絶対に間違いの元なのです。
②購入時の履き試しは、出来る限り入念に! ですがこれが実は非常に難しいのです。よく靴売り場に傾斜台が設置してあり、皆さん登ったり下りたりと試し歩きをされていますが、これでは殆ど効果はありません。なぜなら本当に一番加重がかかる状態の試しが出来ていないからです。一番良いのは実際の山で一日歩いて試してみること!でもこれをさせてくれることは不可能ですね。では何が良いか? 良い方法は「爪先立ち」をしてみることです。登山靴であってもクライミングシューズであっても一番加重がかかるのは爪先立ちの状態になった時です。そして爪先立ちの状態で踵の上げ下げ運動をしてみるのです。その次に爪先立ちで歩いてみます。その時に靴は「軋み」その軋みが指や甲、踵になんらかの刺激として現れます。例えば、登山靴では大き過ぎる場合、必ず踵が浮き、場合によっては脱げるような感覚になることがあります。クライミングシューズの場合は爪先辺りが圧迫されて僅かな時間も痛くて履いていられない。ということも分かったりします。普通の登り下りの運動では分からないようなことが「爪先立ち」で分かります。つまり実際の山行で最大にかかる運動に近い負荷をかけることによって分かるのです。
但し、爪先立ちをし過ぎると靴に少しシワが残ります。つま~り、あまり熱心に遣り過ぎると「そんなことすると売り物にならなくなるやろ!」という店員さんの厳しい(冷ややかな)視線に晒されること間違いなしでしょう。
まあ熱心な靴選び、装備選びは大切ですが、少し控えめにということもお忘れなく・・・
11/30~12/1で、岐阜県からご参加のお二人様をご案内して京都の大文字山と金比羅山を登ってきました。ちょうど紅葉真っ盛りの京都。 『これでもか!』というくらい紅葉を満喫した2日間でした。
京都駅で集合→大文字山→哲学の道→銀閣寺の庭園巡り→大原の里に宿泊→金比羅山→大原の里の紅葉→京都駅で解散。ねっ! 登山と観光をバッチリ楽しみましたYO~
今回の1座目、大文字山を登ります。美しい紅葉と京都市街地を足下に楽しい登りです。
大文字山の登山後は「哲学の道」を歩いて銀閣寺へ。さすがは京都を代表する紅葉の名所! すごい観光客でしたが納得の紅葉真っ盛りの美しい庭園を眺めて回りました。
2日目の本日は大原の名山、金比羅山登山。道中の「琴平新宮社」は隠れた紅葉の名所なのです。素晴らしい山もみじが出迎えてくれました。
「ワイケン尾根の頭」。いつもはクライミングで来る場所ですが、このようなハイキングで来てみるとまた新鮮味があります。向かいに連なる比叡山の山々の山肌の紅葉の美しさといったらタマリマセン!
金比羅山の山頂に到着です。この後、翠黛山を辿って大原の里へ下りました。
大原の里に下山後は、名物「味噌鍋」をいただきました。アツアツお鍋は寒さで冷えた体には最高でした!
紅葉を満喫した今回の登山、ホント、仕事を忘れて?? お客様と一緒に楽しんだ2日間でした。 さて、「紅葉」という言葉を何回書いたでしょうか~? まあそれくらい紅葉どっぷりの山歩きでした。