今回のヨーロッパ山行についてブログに書くこと自体が無意味に思えるのですが、長い休暇で皆様にもご迷惑をお掛けしていたこともあり取りあえずご報告ということでまとめてみました。
昨年は雨続きで全く登山活動自体がままならない状況でしたが、今年は一転約1ヶ月の滞在中にまとまった雨が降ったのは僅か1日のみ!という極端な晴れ続きでした。ただ「70年ぶりの超猛暑」ということで標高1000m余りのシャモニにおいてさえ連日35度越えの猛暑続き。その影響で氷河の状態が非常に悪くなってしまい、氷河を辿る「バリエーションルート」や「壁ルート」は殆ど取付くことさえ出来ない状況になってしまいました(モンブランのノーマルルートなど一部超人気ルートはトレース出来るようですしたがそれでも7月20日頃には一番ノーマルなグーテルートでさえ閉鎖になってしまいました)。
そういうことで超猛暑突入前に取付けた前哨戦的ルートは登ることが出来たのですが、メインの大物は登ることが出来ませんでした。結局仕方なくという訳ではありませんがロッククライミングばかりして過ごしました。まあそれはそれで充実した内容だったとは言えるのですがやはり「メイン」を登れなかったというのは悔しくてなりません。自分なりにかなりトレーニングをして臨んでいただけに力を出すまでもなく終わってしまったことが非常に悔しい思いです。それにしても私も8年連続でヨーロッパアルプスに通っていますがここ近年の環境変化には恐怖さえ感じます。夏シーズンに氷河を辿って登る「バリエーションルート」や「壁ルート」が殆ど登れなくなる日もそう遠くないように思います。しかし自分の情熱が続く限り、目標を達成する為にも通い続けていくことは間違いないので来年以降はちょっと時期を考え直して出かけるしかないかな?という思いに至っている今現在です。
フランスアルプス定番景色、ミディ針峰を望みます。大体初日はロープウェイで上がって高度順応を兼ねて上空からの氷河状況確認です。
ミディ駅からの景色、プラン針峰、ドロワット、クルトなどを望みます。
モンブラン・デュ・タキュル東面の大岩壁と氷壁。
右奥にモンブランとツールロンド。
シャモニのメイン通り。毎年何十回も行き来している通りなので「帰ってきたなぁ~」という思いにさせられます。
6月26日は先ずは前哨戦的にトライアングル・デュ・タキュル北壁のコンタミン・グリソーを単独登攀です。このルートは4年前にも同じく単独で登っているので2度目です。(赤線が登攀ライン)
ルート途中のクーロワールを登ります。フリーソロですがロープが重いので引っかかる心配がない場合は引きながら登っています(※これは私のやり方を自分の責任の上で行っています)。
頂上へ抜ける最後のアイスクーロワールを登ります。
頂上からはグランドジョラス、遠くマッターホルンまで望むことができました。
6月28日はトライアングル・デュ・タキュル北壁のコンタミン・マゾーを単独登攀です。一昨日のルートと同様、シャモニを代表するガイドの「アンドレ コンタミン」が1960年代に拓いたトライアングル北壁の3部作の一つです。このルートの登攀を以って3部作を全て単独で登ることができました。(赤線が登攀ライン)
核心部の70度の氷壁のフリーソロは流石に少々怖い思いをしながら登りましたが、核心部を越えて少し傾斜の緩んだ箇所に入ってようやく写真を撮ることが出来ました。やはりロープを引きながら登っています。ちなみにルート全般で余りにも氷が硬かったので左足親指の爪を潰してしまい帰宅した昨日完全に剥がれてしまいました。
ひたすらダブルアックス!
上部ミックス帯を登ります。
岩以外に何もない山頂へ到着です。後続して登ってきたイタリアのガイドパーティから「ブラボー!」の言葉と共に握手を求められたのは流石に嬉しかったです。
ベルト針峰方面を望みます。いつ見ても素晴らしい大絶景です。
ミディ駅への帰路、何気なく眺めた景色。
赤丸で囲った右からトラアングル、ツールロンド、遠くイタリアのグランパラディーソが綺麗に並んで見えるのを初めて発見しました。正面に見えるのが全て北壁で今までの山行でこれらの北壁を登ったことに少し感慨深い思いでした。
空き日にシャモニのゲレンデ、ガイアンの岩場で元地元在住のTガイド氏とクライミングを楽しんでいます。
次の山に向かいましたが超猛暑に突入してしまいルートに取付くことさえ出来ず、ただ帰るのは勿体ないのでツール針峰という非常に易しい山に初めて登ってみました。それでも例え易しくても山頂に立つというのは嬉しいものでした。
シャモニに戻ってからもキャンプ場でジッとしてられないのでミディのコスミックリッジというルートに登りました。このルートは3度目ですが独りだと毎回流石にチョッピリ刺激を楽しめるルートです。
この後は主に知り合いやキャンプ場で知り合った人、又は単独で「赤い針峰群」のマルチピッチのルートを6ルート登りました。
赤い針峰群の登攀
シャモニのクライミングは下山もガッツリ懸垂下降するルートが多く下山まで気が抜けません。
同じく赤い針峰群の登攀
同じく赤い針峰群の登攀
同じく赤い針峰群の登攀
赤い針峰群の単独登攀中のショット
同じく赤い針峰群の単独登攀中のショット
以上ざっくりと報告でした。メインを登ることは出来ませんでしたがひたすらクライミングの日々でそれなりに楽しめた1ヶ月間でした。
オマケ
な、な、なんとサプライズ!
史上最高のソロクライマー、スイスの「ウェリ シュテック」がキャンプ場に滞在しにきたので一緒に写真を撮ってもらいました。
感激と緊張で顔が引き攣ってしまいましたが単独登攀を主に活動している自分にとってこれ以上ない出来事でした。
終わり。