そゆる日記

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『その鉄塔に男たちはいるという』(ネタバレあり)

2009年10月15日 | EXILE

EXILE・NAOKI、NAOTO出演の舞台

『その鉄塔に男たちはいるという』を見てきました。



会場は俳優座劇場
なんたって歴史のある劇場なので、初めて足を踏み入れるのも感激でした。
(座席のへたりぐあいもかなり歴史を感じたけど 笑)

300席というキャパも、セットの転換もない舞台も
「芝居小屋の芝居」らしくていい感じ。
凝った照明や大掛かりなセットに頼らない
ほんとうに芝居だけで勝負という本来のあり方が好感。



ストーリーは、戦争の慰問に行ったお笑い集団から
「あと一週間でゲリラを粛清したら戦いは終わる」と聞いたメンバー4人が
脱走し鉄塔に立てこもるという話。

その脱走の噂を聞いて、軍隊から逃れてきた兵士が加わり、彼の口から、
人を殺すことが手柄になる戦争の中で、価値観が狂って行く様子、
極限の恐怖が興奮を呼び感覚が麻痺していく様子が語られる。

立てこもる中で、
きちんと規律を守ろうとすることや真面目に一生懸命頑張ることが
他人にも同じ行動を求めることにつながり
怒りや争いにつながっていくエピソードがあったり
ちゃらんぽらんでいいかげんに見えるメンバーの中に
自分らしさを失わない自由さのヒントがあったりと
観る者の価値観をゆさぶってくるしかけもたくさん。

やっぱり、繰り返し上演される脚本には力があって
誰がどう演じても、それぞれに説得力があるのだろうと思わされた。



NAOKI、NAOTOと、一緒にメンバーを演じる
小椋毅さん中島徹さん(イケメン!)。
四者四様の個性が際立つキャスティングも良かったし、
その四人と対峙する位置にいる兵士役の井之上隆志さんの存在が大きい。

『SHIROH』 における江守徹さんもそう思ったけど
舞台って、ああいう重みのある方が中心にいてくれると
その存在感で芝居がぐっとしまるように感じる。

それは演技力うんぬんとかではなく
(江守さんなんか「歌、大丈夫か?」みたいな場面さえありながら 苦笑)
ほんと、存在感。
その力で舞台のリアリティ、重さが全然違う。

NAOKI、NAOTOも正直あんなに演技力あるとは思ってなかった。
NAOKIはでかいくせに甘ったれで頼りないっていうキャラクターが
本人に合っていたのか、すごく自然に演じていました。
雰囲気、松山ケンイチっぽい感じ(声も似てるね)。



戦争の狂気や、真面目さや一生懸命さが素晴らしいばかりではないジレンマ、
「正しいって何?」」ととても考えさせられる舞台だから
EXILE目当てだったとしても、
若い子達がこれを見るのはすごくいいと思いました。
(実際、舞台が終わったあとのカーテンコールにも
「きゃーきゃー」言う雰囲気はみじんもなかったし)

お芝居が終わった後の挨拶も、カーテンコールも、お辞儀のみで
出演者は、誰も、ひとことも声を発しませんでした。

「今日は見に来ていただいてありがとうございました」くらい
あってもいいんじゃないの?と思ったけど
その瞬間、お客さんが「きゃ~っ」とかなっちゃうと台無しだから
あれで良かったのかもな。


席は前から四列目だったけど、芝居の内容がいいと、
かえって近いからどうこうとかまったくないわね。

 

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