社会科学上の不満

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デジタル難民 その2

2013-06-12 00:03:39 | 社会常識と教育

 私が高校生だった時、実家に帰省し朝から犬を散歩させていると近所に住む地元の農業高校の英語先生とよく一緒になった。その先生の話で驚愕したことがあった。4月の授業の第一回目に行うことが「アルファベットを全部書けるか?」と言うことだそうだ。高校の授業である、高校受験が済んだばかりの生徒にである。そして半数以上が書けないそうだ。更にそのまま卒業していくそうだ。これは数十年前の話であるが、地元の人間に確認したところ「田舎は時間が止まっている」そうだ。昔は、私の田舎は日教組が強く「高校全入」など言っていた。

 先日数十年ぶりに田舎の農家の知人から電話で相談があり資料を送ることになった。メールもFAXもダメ(出来ないし環境もない)で「郵便で送ってくれ」と言うことであった。これが田舎と言われる地方で農業を行う方たちの一般的な事例であるそうだ。それでも彼は数少ない若手になるそうだ。

 この状況で農業の自由化やTPPにどのように対応するのか?彼らは無視してよいのか?片や独自に販路を開拓しネットで果実の生産・販売に成功した者もいるが、極少数である。大半の農家が私の知人のような状況だそうだ。その膨大な票を無視して政治家の皆さんが、経済理論的に正しいとされるTPPを強行できるか疑問が残る。

  彼らと話してみると良く解る。理解しているように相槌を打ち話も合わせるが、暫くして同じ事を聞いても何も理解していないことに気付く。基本的なことが理解されていないことが多い。まして都会では考えられないほどインターネットから遠い存在である。まさにデジタル難民である。ネット(メールを含めた)は若者の遊び以外の何モノでもない。そしてその若者はこのような田舎に残らない。

 彼らの政治家を選ぶ基準は政策ではない。「あん人なら間違いない」と有力者の一言である場合が多いそうだ。自分で考えることをしないとUターンした知人が嘆いていた。殆どの農業従事者が70代以上であり60代で若造、50代で小僧、40代で洟垂れだそうだ。

 インターネットに触れたことがない人間が大多数と言う地域だ。

 まさにもう一つの世界が同時に存在する。デジタルディバイドとは此処まで両極端に社会を分けるものなのだ。

コメント
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