仕事のトラブルや失敗で客先に謝罪に行くことは、誰もが経験することである。その時の対応がその人間の将来を決める分岐点と言っても良い。謝罪に行っているにも関わらず、理の通らない言訳ばかりしている人間は大きなチャンスさえ逃している。
また、どう考えても自分に直接非がなくとも、その契約(商店で買い物するのも契約)は自分が所属している法人(会社などの組織)が当事者である以上謝罪せねばならない。
更に対面店舗では、理不尽な客へ謝罪しなければならない。
しかし正直言って、謝罪がストレスにならない人間はよほどの達観した方だけであろう。
コールセンターの謝罪に気分を害する方が多いのも、受け答えの人間が多数のクレームの謝罪にストレスが溜まっているためだ。
直接、相手に謝罪に行く時は、そのストレスは並大抵のものではない。しかしそこで逃げる上役がいる。自分の失敗を部下に押し付ける輩がいる。この様な上役は部下の手柄を自分の手柄とする。組織の癌である。これを見抜けないと経営者は社員のやる気を喪失させることになる。
また直接顧客に謝罪に行く時は、自分が置かれている状況がその心理状況に大きく影響する。仕事の調子が良い時は、「謝罪に行くのは当たり前で、一刻も早く謝罪に行かなければ」と自然に考える。しかし仕事や私生活の調子が悪いと「ナゼ自分ばかり、ツイていない。謝罪に行きたくない。自分には関係ない」等と、事態から逃げる心理状態となる。
しかし、逃げても事態は悪化するだけだ。特に日本社会では先ず「謝罪」が大切なことだ。外資の場合少し異なるようだが。誰でも逃げ出したいのである。しかしそこから逃げずに一歩前進しなければ、物事は好転しない。自分を守るために理屈をコネても意味が無い。自己満足だけだ、いやふっとした時に逃げたことが頭をもたげる。それに社会の中で自分の守るべきプライドにそれ程価値があるか見直してみたら解る。自分のプライドなど社会の中では小石程度の価値もないと気付く。
営業の達人と呼ばれる先人たちから、「謝罪に行く時こそチャンスである」と言った講演を何度も聴いた。しかし外注先の失敗で謝罪に行った時は、経過も事情も解らないことが多く肝を冷やすことが多々あった。これは私の拙い経験からであるが。
いずれにせよ逃げても良い結果になることは先ず無い。逃げたい時は自分が今仕事でも私生活でも上手く行っていない時と現状を再認識することだ。武道の「押忍」の心理状態こそ重要だ。